EURO2004/素晴らしきかなチェコ

 Euro2004、このとんでもないおもしろさ! 正直言って、何万人もの観客を前に、また世界中のテレビを見ているファンを前に、これほどまでに興奮、感動を人々に与えられるものが、他にあるだろうか。かつて、70年代初期はロックが世界を変えるかもしれないと若者達は本気で考えていた。が、それはただの幻想だった。21世紀の現在、音楽ではマスを動かすような巨大なエネルギーは作り出されなくなった。いや、音楽は本来の姿に戻りつつあるとも言えるが、それにしても音楽そのものはとっても小さな、ひどく個人的な存在になりつつある。私達はつねに孤独で、何かしら他の人々と共感、共鳴を求めてやまないのに、それに応えるようなものはどんどんなくなってきているのだ。

 現代では、スポーツこそがほとんど唯一の救いかもしれない。もちろん、興味のない人、嫌いな人も多い。が、スポーツ以上に数多くの人々の心に響くものが他にあるとも思えない。それは、人類にとって幸か不幸かわからないが、少なくともスポーツ以上のものはないとだけは言えるのではないだろうか。

 さて、そこでサッカーだ。それもヨーロッパに限られた大会だ。それを、極東の国からテレビで見てるだけだ。なのに、幸せを味わえる! なかにはあまりの素晴らしさに感動してしまう。ジネディーヌ・ジダン、デイビット・ベッカム、ルイス・フィーゴ、パヴェル・ネドベド・・・、彼らを芸術家と呼ぶことに不思議は全然感じない。むしろ、このスポーツ文化の時代を象徴する偉大なる存在として、積極的に讃えたい。

 Euroはまだ、グループリーグ戦の2戦目が終わったばかりだ。これまでの大会では、強豪国は2戦連勝して、早々と勝ち抜けすることが多かった。が、今回はポルトガルの悪夢からここまで予想外の展開が続き(フランスがクロアチアに引き分け、イタリアもスウェーデンに引き分け、ドイツもラトビアに引き分け)大混戦の様相で、わずかにチェコだけが決勝トーナメント進出を決めただけだ。そのチェコはオランダと早くも今大会のベストにもあげられそうな、素晴らしい、あまりにも素晴らしい試合をおこなった。結果は3-2でチェコの逆転勝ちだったが、両チームともスペクタクルでファンタジーにあふれるパフォーマンスをしつづけ、まさに歴史に残る名勝負が誕生したのだった。

 にしても、チェコ。何というスーパー・チームだろうか! 中心選手のネドベドは超人だ。彼を始め、その他の有能なタレント達もブリュックネル監督のもと「共通の法則」をもって戦っているのだそうだ。それは、堅苦しい戦術論ではない。観ている者全てを魅了する魔法のサッカーだ。かつて、そういうサッカーをおこなっていたのはオランダだったが、その意地が2点先制という形になってあらわれ、前半はチェコを圧倒する攻撃で、そのまま勝利を呼び込みそうだった。が、追加点の決定機でのシュート・ミスや後半に入ると疑問な選手交代、そしてレッド・カード退場で、流れはどんどんチェコに傾いていった。

 そういった幸運もあったとは言え、この日のチェコの選手達のプレイぶりの素晴らしさは大絶賛に値する。こんなにすごいサッカーを見せられることはなかなかないのだ。これほどまでに、人間は速く動き、瞬時に豊かに発想し、そしてまた動くのか。「共通の法則」により、11人はおそろしく有機的に連動し、共通意識のもとゴール目指していけるのか。それは、ロボットや操り人形ではない。個人はちゃんと主張し、その個性は最大限発揮される。その個性が発揮されればされるほど、「共通の法則」がそれを結びつけ、11人の個が強力な1つの組織として機能するのだ。

 その成果が3つのゴールなわけだが、その瞬間はからだが震える感覚があった。もう一度言う。あまりにもあまりにも素晴らしい体験。それが「オランダ-チェコ」だった。負けたオランダも最後まで「美しい試合」にこだわった戦いぶりも大いに讃えたい。まだ、彼らにも望みは残されている。
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by harukko45 | 2004-06-20 00:00 | スポーツ

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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