EURO2004/さよならフランス

 Euro2004準々決勝2試合目、「フランス-ギリシャ」は前日の「ポルトガル-イングランド」が歴史に残る名勝負だったのに比べ、全く期待はずれの凡戦だった。それも、王者フランスのていたらくぶりばかりが目立つゲームになってしまった。

 確かに、ギリシャは良いチームであり、レーハーゲル監督の采配も見事だ。だが、我々が見ていておもしろいサッカーをやっているわけではない。今回も初戦のポルトガル戦同様に、フランスの攻撃陣にぴったりマンマークして、彼らの動きを封じ込めた。そして、前がかりになっているところに鋭いカウンターをあびせて、してやったりのゴールを生んだのである。当然格下のチームが王者に立ち向かうのに、守備を固めて相手のスキをつくのは常套手段。これに関して、ギリシャを非難する道理はない。「失うものは何もない」の言葉通り、強敵に勇気と知力で立ち向かい、見事に勝利したことは賞賛されるべきだ。問題は、各国クラブ・リーグのスーパースターを揃えているフランスの方にある。

 結局、今大会のフランスは一度たりとも華麗なる「シャンパン・サッカー」を披露することはなかったが、よく考えれば2002日韓W杯の時もそうであり、実はこのチームはすでに98年W杯、Euro2000制覇でピークだったのである。その時のメンバーを引っ張り続けて、チームとして何も進化せずにここにきていたとしか言いようがない。

 確かに、各個人は素晴らしい。本当のスーパースター達だ。だが組織になったとき、それを束ね、一つの目標に向かっていくには、有能な指導者がいなくては勝負に勝てるわけがない。サンティニ監督は、どうやら戦略もビジョンも気概もなかったようだ。「どんなサッカーをするのか。誰を中心にするのか。どうやって勝つのか。新たな人材をどうスター達と共存させるのか。」・・。やらねばならないことはたくさんあったはず。まして、優勝ないしはそれに匹敵する成績を当然期待されるのだから。

 しかし、この監督は大会前に次の就職先を決めて発表していた。戦う前にそんなことする上司に誰がついていこうというのか! では選手達はどうか。ジダンはすでに十分すぎるほどの栄光を勝ち得て、その選手人生をレアル・マドリーで優雅に幕を閉じるつもりらしい。そんな彼は失礼ながらキャプテンという大役の資質はない。彼は根っからのアーティストであり、自由奔放にしていることが望ましい。キャプテンに指名する方もいかがなものか。アーセナル所属のアンリやピレス、ビエラは、今シーズン、プレミア・リーグで無敗優勝という快挙をなしとげたばかりだった。リザラス、デサイー、テュラムのディフェンダー陣も98年組で、功も財も各所属チームで成し遂げたベテラン達だ。もう、すっかり落ち着いて満足しきった彼らのパフォーマンスは、華麗なるシャンパンどころか、コレステロール過多の超グルメ体質だったのだ。

 こうしてみると、サッカーをはじめ団体スポーツにおけるチームとは、社会の縮図を見るようで実に興味深い。それに、勝ち負けという明解な結果がでるから、ますますわかりやすい。つまり、有能な人材を集めても、トップがアホなら意味がないとか、個人個人はまだまだ非力でも、リーダーが「ちゃんとした」ビジョンや方法論を持っていれば、組織は強くなり、個人は自信をつけて成長するとか。

 そういったことはいろいろな企業にも、我々のやっているバンドにも当てはまって行くわけだ。そう言えば、音楽業界においても「スーパー」何とかと名の付くものにろくなものはない。「スーパー・セッション」だ、「スーパー・バンド」だ、要するに何もアイデアが浮かばないから、有名人を集めときゃあ何とかなるだろうというわけだ。今までの歴史では、その失敗例がいくつもある。今回のフランスがまさにそういうことだった。

 この敗退で、フランスは「黄金時代」が完全に終焉し、新しい改革に迫られた。ジダンをはじめとする98年組の多くは代表を退くだろう。しかし、ここ数年おごれるフランスは彼らの後継者を育ててこなかった。前途多難である。とりあえず、「さよならフランス」。
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by harukko45 | 2004-06-26 00:00 | スポーツ

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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