EURO2004/夢かなわず
2004年 07月 05日
しかし、本心はくやしく、悲しく、落ち込んだ気分だ。私のアイドル、ルイス・フィーゴとマニュエル・ルイ・コスタの夢はまたしてもうち砕かれた。やはりポルトガル人は結局、「サウダージ」に帰着してしまうのだろうか。サッカーの神様は、ポルトガルに対して出来過ぎのようなシナリオを書いた。初戦敗退での絶望、その後の奮起。ドラマティックな試合展開からの勝利、快進撃による歓喜。そして、決勝進出を決めた試合終了後、健闘をたたえ合うゴールデン・エイジの二人、フィーゴとルイ・コスタの長い抱擁はあまりにも感動的だった。そして、ルイ・コスタは決勝を最後に代表から引退することを宣言した。
艱難辛苦の末たどり着いた約束の地、リスボンのルス・スタジアムでの二人のパフォーマンスはやはり素晴らしかった。いや、私にはそう見えた。二人が狭いディフェンス陣の間にパスをとおし、ドリブルを仕掛け、ゴールに向かう姿にただただ心を突き動かされた。彼ら二人だけが持つ独特の空間は、はっきり言って勝負の世界とは別のものとして私には存在する。しかし、敗れた。彼らはあとちょっとのところで、アンリ・ドロネー杯に手が届かなかった。
6月12日から23日間、私はポルトガル代表とともにあり、彼らに共感し、応援し続けた。それも、もう終わりだ。今後、二人のいないポルトガルはどうなるのだろう。今大会で若手への切り替えも成功し、たぶん真に強いサッカーをより身につけていくだろう。がしかし、ゴールデン・エイジ達のような優雅さは、勝つためにはじょじょに消えていくのかもしれない。これからのポルトガル代表に私が魅了されるのかはわからない。今はフィーゴ、ルイ・コスタの無念の気持ちに同情するだけだ。そして、彼らの今までの美しいパフォーマンスを思いだし、涙するのだった。やはり、「サウダージ」。