Conquest/Patti Page & The White Stripes

 The White Stripesの新譜"Icky Thump"については、興奮しすぎてハチャメチャな文章のまま、このブログで紹介してしまったが、その後もますますのめり込んだままの日々である。
 先日は、このアルバムについて1曲1曲云々するのは意味ない、的なことを書いているが、特に1曲、唯一のカバー曲であるm4"Conquest"に関してはどうしても書き加えたくなった。

 もちろん、それはストライプスのパフォーマンスが素晴らしいからなのだが、このアレンジはアメリカを代表する大歌手であるパティ・ペイジのバージョンのカバーなのだった。
 ジャック・ホワイトはかつてよりただのパンク小僧ではないことは十分承知していたし、カントリー女性歌手の重鎮ロレッタ・リンのプロデュースをしてグラミーを取ってしまう程の男だから、アメリカ音楽の伝統にもきっちりアクセスできる能力を兼ね備えていた。

 彼らの出世作と言える"Elephant"でのバカラックの"I Just Don't Know What To Do With Myself"や、ライブでもよくやっていたドリー・パートンの"Jolene"(日本ではオリビア・ニュートン・ジョンのヒットの方が有名か)といい、ジャックの選曲・アレンジのセンスには思わず唸らされていた私だが、今回の"Conquest"でとどめを刺された。あのパティ・ペイジまで料理してしまうとは!

 そこで、驚いた私はパティのオリジナル版を早速聞き直したところ、これが見事にマリアッチ・アレンジでイントロの輝かしいトランペットといい、全体の構成・キーもそのままであった。パティ・ペイジの美しく深みのある歌声と同じキーのまま、キレまくったようにシャウトして自らの世界に持って行ってしまうジャックの素晴らしさ、かっこいい!
 と同時に、このパティ・ペイジのオリジナル版の素晴らしさにも感動した。ジャックがこれを取り上げたのはジョークでも何でもなく、極めて真面目に、そして偉大なるパティへの敬意も込めてのことだろう。この辺に彼の伝統継承主義者的な側面を感じるのだった。

 それにしても、パティ・ペイジ! 私は4,5年前にボーカリストの川内マキさんに薫陶ご教授いただいて「アメリカ黄金時代の音楽」を勉強させてもらったのだが、その中でも別格のボーカリストであると認識させられた1人が彼女である。それまでほとんど聞いたことのなかったパティや、これまた別格のパッツィ・クラインが、未だにアメリカのミュージシャン・アーティストから敬意を集める理由が、その時わかったのだった。

 それ以来、パティ・ペイジは私の音楽ライブラリーの中でも重要なものとなった。まだ、聞いた事のない方にはベスト盤で良いので是非聞いていただきたい。「癒し系」などと言われる最近のフニャフニャで線の細いボーカルなどバカバカしく感じるほど、豊かで深く、そして気品にあふれる彼女の歌声を聞かないのはもったいないことだ。
 
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by harukko45 | 2007-07-04 17:01 | 聴いて書く

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