スター・ウォーズ・サーガ(1)

 って呼べば良いのでしょうか、いわゆるスター・ウォーズ6作。私は超熱狂的なSWフリークではないが、それでも、77年に公開された第一作(エピソード4/のちに"新たなる希望")には興奮した1人だし、今でもテレビで放送されればついつい見てしまうわけで。

 ということで、先日WOWOWが全6作品を一挙に放送して、それを録画した私はエピソード順(つまり公開順でなく物語の時系列順)に、数日かけて見倒したのだった。
 見終わって、それなりの充足感を得たし、非常に楽しめたのだが、あらためて見ることで公開当時の印象とはいくつか自分の感想も変わって来たな、とも思った。

 一番強く思ったのは、新3部作に含まれるエピソード1,2の評価を上げようかってこと。前は旧3部作に比べて、あまりにもCGに頼った映像にゲンナリしたし、ストーリーもその後の展開を知っているわけだから、だいたい見当つくわけで、その気分を上回るような刺激がなかった。
 だが昨年、全く期待しないままシリーズ最終作の"シスの復讐"をDVDで見たところ、アナキンの悲劇を中心としたそのストーリー展開が面白く、再びこのシリーズへの興味が湧いて来た。なので、そのせいもあるのと、CGに対する「免疫」みたいなものが出来たのか、数年前に感じた「どうでもいいや」的印象が薄れ、逆に「ふむふむ、なるほど」的好感度が増した。

e0093608_15264741.jpg それでも、"ファントム・メナス"はやはり「まぁまぁ」程度、全体に神話的な重厚さに欠けるし、役者達にあまり熱意が感じられない、というか、ジョージ・ルーカスの監督としての力量不足が明らか。そして一番の問題は、まるでキリストの誕生に似せたように語られるアナキン・スカイウォーカー出生の話。これが、ただ母の台詞のみでほんの少しだけ示されて、全く神秘性がないのだ。せめて、映画の冒頭か前半部分のどこかで、この悲劇の主人公生誕とそれにまつわる謎についてのシーンを描くべきだったのでは。

 とにかく、スター・ウォーズにおける最も重要な人物はアナキン(のちのダース・ヴェイダー)なのだから、その人生の後半を知っている観客に対して、彼の持って生まれた悲劇性と神秘性を表すのにいくら時間をかけても良かったのだ。
 まぁ、何とも意味不明で曖昧な言葉やセリフ回しで物語を進めるのがスター・ウォーズ的なのだろうが、特に序章とも言えるこの作品では、長ったらしいCGの戦闘シーンよりも、アナキンの生い立ちをきっちりと描いて欲しかった(でも、ポッド・レースのシーンはベン・ハーのそれを意識していて、結構好き)。そうすれば、アナキンという人物造形に深みや奥行きを感じられ、その後の展開への共感もより深まったことだろう。

e0093608_1527093.jpg だが、"クローンの攻撃"は内容としてはかなり健闘してくれた。特にアナキンの理性で抑えようのない感情(パドメへのよく言えば純粋、翻って実に子供っぽい恋愛の情と、死んだ母の復讐へ向かわせる激烈な憎しみと怒り)が、ルーカスにしてはかなり細やかに描かれていたと思う。なので、前作での不満を少し解消してくれた。

 だが、演じた若い2人の役者(ヘイデン・クリステンセンとナタリー・ポートマン)は、恋愛シーンに深く感情移入できるほどの演技になっておらず、公開年度のラジー賞で最悪スクリーンカップルに選ばれてしまうのだから、これまたさんざんな事だった。私は今回見たら、そんなに酷くはないかな、って思えたけどね。

 なので、この映画ではユアン・マクレガーのオビ=ワンでの好演と、圧倒的な存在感でさすがだったクリストファー・リーによるドゥークー伯爵と、誰もが驚き感動したCGによるヨーダとの対決シーンに尽きる。

e0093608_15271017.jpg と、批判的に見えるだろうが、私は次の最終作"シスの復讐"がかなり好きなのだ。まず、ヘイデン・クリステンセンはこの映画で主役であるにもかかわらず、前作に続いて最悪助演男優に選ばれてしまったが、私はかなり好感をもって見たし、アナキンの悲劇的な人生にすっかりのめり込んでしまった。

 彼の精神構造は全く持って単純明解であり、そんな男がふさわしくないほどに強いフォース(最初は理力って訳されてましたっけ!)を、他のジェダイの誰よりも持ってしまったことが悲劇の要因であり、かつての偉大な悲劇物語の台本に通じる「何でこんなチッポケで、個人的な感情問題が、これほどまで悲惨な結末を引き起こすのか!」と同じなのだ。ハムレットもオセロもクレオパトラも、ひょっとしたら、ヒトラーもスターリンも、中国の文化大革命もベトナム戦争もカンボジアのクメール・ルージュも、ルワンダも9.11もイラク戦争も....。
 ちょっと大袈裟に考え過ぎか?まぁ、いいや。

 とにかく、私はここでクリステンセンは頑張っていたと思うし、このイメージが残ってしまい、旧3部作でのダース・ヴェイダーに少し不満を感じ始めてもいるのだった。
 他にもユアン・マクレガーはずっと好演を続けて、オビ=ワンという人物の魅力を十二分に見せてくれたし、全体の品位を保つのに大いに貢献している。それと、この新3部作で共通するのがヨーダを始めとするジェダイ達が決して完全無欠な存在ではなく、かなり「間抜け」で判断ミスも多く、実際に戦闘でも簡単に負けるというのが、とてもリアリティがあった。この事で、逆に旧作でのジェダイの完全性と神秘性はごく一部の超マスターのみ(ヨーダ、オビ=ワン)が持ち得るのだということも理解できたわけだ。

 さて、ファンの間では続くエピソード4以降のストーリーへのこじつけだ、との批判も多いようだが、私としてはこの作品は高く評価したい。これにより、前の2作の内容が高められたとも言える。ルーカスもこの作品をうまく仕上げたことで、何とか面目を保ったとも言えるだろう。
[PR]
by harukko45 | 2007-06-10 19:40 | 映画・TV

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31