ここ最近の仕事ぶり?

 今週は前半、打ち込みで1曲仕上げて、後半はライブのリハーサルに追われたのでした。それだけ書くと、さもよく働くみたいな感じだけど、打ち込みに関しては、せっかく完成した直後にいきなり制作延期の知らせ。何でも作曲家(アメリカ人)が著作権のことでもめているらしい。いやはや、こちらとしては関与しようのないところだから、何ともしょうがないわけだが、どうも仕事としては困ってしまう、やれやれって静観するのみ。

 しかしまぁ、モーツァルトやベートーヴェンは1曲いくらの買い取り(主に譜面代)、宮廷作曲家としての報酬か貴族やパトロンからの援助で生活していたわけだし、19世紀後半のマーラーでさえ、職業としては指揮者であり、作曲はあくまで副業で、それで食えていたわけじゃない。
 現在までで著作権という権利のおかげでいちばん儲かっているのはビル・ゲイツってことになるだろうが、世界制覇の大好きな人々は「錦の御旗」のように振りかざして、正義と正当な権利として声高に主張するわけです。
 ちなみに、ヨーロッパでは15世紀ぐらいからそういう考え方があったようだが、音楽に関してはかなり遅くて19世紀ぐらいからで、実際にそれより前の時代ではモーツァルトも盛んに盗作、というか他人の曲の改変、引用をやっていたらしい。
 最近のポップス音楽界では何と言ってもヒップホップでサンプリングされる過去のレコード音源への報酬問題が一番大きかったかな。それが認められて大いに得をした典型的な例は1997年パフ・ダディのビッグ・ヒット"I'll Be Missing You"(11週間1位)で、その元ネタ"Every Breath You Take"の作曲家、元The Policeのスティングは「あの頃は毎週毎週、何もしてないのにものすごい金額が振り込まれていたよ。」と皮肉とも感謝とも受け取れるコメントを最近のインタビューで語っていたっけ。

 さて、私のような音楽界の末席にいるものは、相変わらず1曲いくらでお引き受けしておりますよ。それに、今回の仕事は元のテイクのほぼフル・コピーというのがご要望だったから、微に入り細に入りよくよく聞き取って再現しましたので(とは言え、ちょっとはこちらの好みで変えたけど)、この点では問題なく、あくまで「お金」のことらしい。だからこそ、かえって厄介なようだ。日本は中国なんかに比べてかなりその辺の問題はクリアにされている(欧米に譲歩している?)んだけどね。
 とにかくそう言った権利の主張は、かつての「芸術家の保護」という観点から、現代では「権利ビジネス」に変貌していっているのは明らか。そろそろ、昔の「芸術家不遇の時代」に帰ってもいいのかも。その方がいかにもヒットねらいのありきたりな作品ばかりにならず、新鮮な刺激を結果として人々が味わえるようになるかもしれない。

 実は先日WOWOWで放映された、フランスの偉大な画家クロード・モネを始めとすると「印象派の巨匠」についてのドラマ(さすがBBC制作、美しい映像と細かい検証が立派)を観て、その不遇の時代における過酷な生活とその中から生まれでる大傑作の数々とそれに没頭して戦い続けて行く真のアーティスト達の姿に、あらためて大きく感動してしまい、ますます現代の「ビジネス優先主義」に疑問を感じてしまうのだった。
 ここに登場する芸術家達は極めて繊細な感性の持ち主でありながら、実は世の中の無視に決して屈しない「タフさ」をも獲得しているのだった。だからこそ、その作品に迷いがなく強さと豊かさと深さを持ち合わせているのだ。
 (パリからウィーンに貸し出されたモネの「睡蓮」を、幸運にも観れた時の感動が再び蘇った!)
 まぁ、このような考え思いは現代の経済中心社会においては「ナイーブすぎる」し、子供っぽいだろう。それに実際には自らもまんまとビジネスの枠組みにはまっているのだし。だが、かと言って今の状況を全面的に肯定し続けることにはやはり抵抗を感じるのだった。
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by harukko45 | 2007-05-12 17:15 | 音楽の仕事

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