ウィーンからの帰国

 ウィーンから帰ってまいりました。今回の宿、ホテル・ヴィエンナート"Viennart"は私にはとても快適でした。ザッハーやブリストルやインペリアルのような超高級ホテルには元々ガラじゃないし、だいいちそんな贅沢もできないし。かと言って、団体ツアーで組まれるような所じゃ嫌だし。そんな気分にちょうどいいホテルでした。
 とにかく、全体にシンプル。余計な装飾も気遣いもなし。スタッフは皆しっかりとした女性ばかりで対応も良かった。(おー、湯沸かし器の没収事件がありましたが、これはこちらのミスだし。)24時間フリードリンクでコーヒー等が飲めて、カフェに行く回数が激減したのも、ホテルの居心地が良かったから。
 それにテレビのチャンネルも多く、ブンデスリーガ中心のサッカーも見れたし(元浦和監督のブッフバルトさんが、もう番組の解説やってた! 高原のゴールも見たよ。)、MTVとgo-tvの2局が音楽専門で最新PVもずいぶん見れて満足でありました。

 それで、オイルヒーターによるやさしい暖かさの中、気持ちのよい目覚めと、最後の晩餐ならぬ朝食をこれまでどおり美味しくいただき、その後のチェックアウトも実にスムースに終わったのでした。お決まりの英語しかできないけど、いつものフロントの女性スタッフにお礼を言ってお別れしました。うーん、ちょっとエキゾティックな感じの美人で、部屋のキーを受けとる時にスマイルされるとオジサンはもうねぇ....イガったなぁ。

 さて、それからウィーン・ミッテのシティ・エア・ターミナルでチェック・インをすませ、CATで空港へ。チケットはすでに日本からネットで予約済みで、プリントアウトを見せるだけ。Tax Refundで戻って来たユーロで、搭乗前に小さなグラスでビールも飲めたし、搭乗後にはゲームをやったり、食事もバッチリ完食したし、万事満足の感慨にふける中、ドーンと睡魔がおそい、どうやら1時間程は熟睡していたらしい。

 が、何やら回りの騒々しさと圧迫感に目が覚めてしまった。もう、上空にいて3時間は経っていたでしょうか、私の席の通路では男女が飲みまくって、大声でドイツ語を喋っておりました。ある女性はワイン・ボトルを持ちながら通路を堂々と闊歩し、仲間達にワインをついで回っていますし、比較的若い女性達はそれはもうケタタマしく、やったらめったら抜けてくる笑い声を上げていますし、その雰囲気にのせられて前から後ろからどんどん席を立って人々が集いはじめておりました。
 これは、いかにも和やかなワインケラーやビアホールの一幕ではありません。空の上の飛行機の中です!

 とにかく、私の席の回りは立って飲んで大声で語らっている人がたくさん。トイレに行くのもままならない。どんどんエスカレートして声もでかくなりイヤフォンで音楽を聴いてもかないません。
 で、その中心にいる、かなりデブったビール腹のオヤジ殿がまぁ、凄まじく飲むは飲むは、とにかく1人ではじっとしていられないらしく、あっち行ったりこっち行ったりして、そこらじゅうの人を巻き込んでおりました。それと、さっきのワインボトル持ったオバハンもね!

 しばらくは我慢しておりました。だって、ここは空の上ですから、当然ブラブラ通路を歩き回ってはならないし、まして立ったまま酒飲んで騒ぐなんぞはもってのほか。フライト・アテンダントも何度か注意しに来ました。が、全くおさまりません。それどころか、彼らは自ら酒を取りに行き、ビールからワインから、ついにウィスキーのミニボトルを数本指にはさみながら、戻ってきました。
 で、とにかく男女が肩組み合って、大笑いして飲んだくれていやがるのだ。

 もうー、ブチギレました。で、怒鳴りましたよ、エーエー。相変わらずブロークンなイングリッシュではありますが、(ま、こういう時は中学生英語で十分)「お前達の話し声はデケェーんだよ!とっとと自分の席に戻って座りやがれってんだ!」というような気持ちを込めて語りかけました。が、それは結構怒鳴っていたようです。
 すると、どうでしょう。こいつら!まぁ、よくある手ですが、とっても簡単な英語であるにも関わらず、意味がわからないフリをしてキョトンとこちらを見ているのでした。
 で、すぐにまた何もなかったようにペラペラと陽気なドイツ人(じゃないオーストリア人)をよそおっておるのでした。意味わかっているはずなのによ!

 しばらく、いい加減にしろってポーズで睨みつけておりましたが、効果ないので日本人スチュワーデスさんにクレームをつけたところ、「何度も注意しているのですが、全然言うことをきかなくて。」と弱々しい。「どっかの楽団員達らしいのですが。」
 まぁズウタイのでかい連中にドイツ語で対抗するのも大変ではあろう。が、これがもしアメリカの航空会社だったら、こいつらは法律違反で逮捕されかねない状態だ。それにしてもミュージシャンかよ。そういえばケースに入ったヴァイオリンがいっぱいあったっけ。

 この便はほぼ満席。でも、普通は日本の団体さん達で一杯という感じなのに、今日はやけに地元の人が多いなぁと不思議に思っていたが、これで判明した。要はこの一団は日本に公演旅行に行くどこかのオーケストラだったのだ。
 だから、かなりの人数なのだが、それを一カ所にまとめて座らせりゃいいものを、あちらこちらにばらけさせたらしいので、宴会が始まった途端、あちらこちらから集まってきたのだった。と、同時にあちらでもこちらでも宴会は飛び火してもいたのだ。恐るべしオーケストラよ!

 そして、名前をつかんだぞ!

そのオーケストラの正体は「RSO Wien」である!! ウィーン放送交響楽団Radio-Symphonieorchester Wien

 彼らは今月日本各地で公演する。何と常任指揮者で音楽監督は先日「イドメネオ」でウィーンフィルを振ったベルトラン・ドゥ・ビリー氏だったとは!

 それにしても音楽家であるからとは言え、無邪気を通り越し、公共のマナーを無視した交響ガクダンではないか! こいつら海外公演がそんなにうれしいのか?!仲がいいのもほどがある。毎度顔を突きつけ合わせている連中といまさら親交を深めてどこがおもしろいのか? 今時ロックバンドだって、こんなバカさわぎ、それも場所もわきまえないような盛り上がりはしないだろう。そー、時代が違うんだよ。
 あー、そして思った。こんな下品で自分勝手な連中が、本番ではタキシードとロングドレスを着て、すました顔でベートーヴェンやワーグナーを演奏するのだ。そして、何も知らない日本人達は、音楽の都ウィーンからの使者の演奏を「ありがたく、ありがたく」拝聴するわけだ。で、どんな内容だろうと「ブラボー!」ってやるにきまってるんだ。

 あのクダ巻いたデブ親父がティンパニでも神妙な顔で叩いていたらどうする? あのワイン漬けのオバハンがヴィオラでも弾いていたらどうするよ?
 そして、思った。こいつらの世話をするイベンターさん達は大変だよ。酒代がいくらになるの?普通の人だって日本人とヨーロッパ人じゃ、飲む量が違うのに、このオーケストラはどこでもおかまいなしだよ。

 もちろん、天下のウィーンの歴史あるオーケストラでありますから、もちろんそれなりの演奏を聴かせることは間違いないでしょうが、やっぱりこんな品性のない状態を見ては、好意的にはみれませんよ。


 すると、突然「シートベルトを締めよ」のライト点灯。しかし、これにも動じないオーケストラ団員様達は、一向に戻ろうとしない。うーむ、とんでもなく恐るべし、オーケストラよ。そこへ、チーフ格の女性アテンダントが登場。強いドイツ語と身振り手振りで、「警告ランプを見なさい!席に戻りなさい!」と指示。これには、さすがにかなりの人が自分の席に戻って行った。
 実は全然揺れていなかったのだが、策がなくて警告を出したのだろう。1時間程ランプはつきっ放しだった。そして、その女性アテンダントが、例のデブ親父にとくとくと注意。酒を求めても与えないような話っぷりだった。そんな経過で、ようやく私の回りは平穏になった。が、もちろんこれで終わったわけじゃない。
 ほとんどは爆睡状態になったが、一部の飲み足りない連中は用足しに立つのをきっかけに、トイレの前で2次会を始めて、歌まで歌っている様子。それに、あのワイン・オバハンがふらふらして邪魔でしょうがない。なので、私は「イクスキューズミィーー!」と強く言うと、「ノー・プロブレム」と抜かしやがった。「オフ・コース!俺はノープロブレムだ。」ついでに「あんたがプロブレムだ!」って付け加えるべきだった。もちろん、デブ親父も何だかわからんドイツ語を言っておった。

 2次会は私の席からは離れていたが、トイレ付近の日本人観光客にはずいぶん迷惑だったろう。だが、そこは我慢する日本民族ね。頑張って寝た振りしてたみたい。酔っぱらいには誰も関わりたくないものね。でも、あの時いてウンザリしていた皆さんはこのオーケストラの名前を忘れないでください!

 そうです、RSO-Wien、ウィーン放送交響楽団Radio-Symphonieorchester Wien ですよ!

 もちろん、全員が愚か者ではないでしょう。仲にはおとなしくしていた人々もいます。でも、誰もこの状況をコントロールできなかったのですから、レベルは皆一緒でしょう。
 うーむ、私の経験ではどんなに騒いで盛り上がっても、ポップス系のミュージシャンの方が品位があったぞ。

 その後、ついに男性アテンダントにかなり注意されたのか、トイレ前の2次会は解散。デブ親父はワイン・オバハンになぐさめられながら席に戻りました。そして彼はかなりの酩酊状態で、飲もうとする水は自分のズボンにこぼしまくった後に爆睡したものの、着陸間際になって腹がすいたらしく、朝食を2人前持ってこさせ、コーヒーがないぞと、スチュワーデスを呼びつけておりました。このころにはほとんどのスチュワーデスは無視していましたが、たまたま通りかかる日本人アテンダントが捕まってしまうのでした。
 しかし、やっぱり肝臓の出来が違うのだろうなぁ。全然平気で飛行機降りていったからなぁ。本当に凄い飲みっぷりだったんですから。

 と、まぁ、さんざんでしたが、これもまたとんでもないものを見れたということで。
恐るべし、オーケストラ団員よ!
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by harukko45 | 2007-02-03 02:31 | 旅行

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