大橋純子/In San Francisco(1)

 昨日、大橋チーム7名のうち、和田・六川・植村の3人が帰国しました。11,12,13日と濃い内容の3日間を過ごした疲れからか、帰国便での3人はほとんど爆睡状態でした。おかげで、11時間のフライトはさして苦痛に感じられず、無事に帰国することができたのでした。

 まずは、とにかく13日のWestin St.Francis Hotelのボール・ルームにおけるライブ・ステージ(北カリフォルニア商工会議所主催の新年会におけるディナーショウ)について書いておかなくてはね。

 当日、夕方4時からリハーサルの予定だったが、ことのほか会場でのセッティングに時間がかかった。これは、事前のアメリカ・スタッフと我々とのコミュニケーション不足があったかもしれないが、それでもお互い協力しながら、残された短い時間でリハーサルをこなしていった。とにかく、PAと照明のスタッフは、我々の曲を知らないわけだし、そのステージングがどのように展開されるかも初めて見る訳で、私達はメニューの全曲を演奏してそれを伝えなければならないのだ。
 なので、リハが終了してから本番までの準備(特にジュンコさん)は慌ただしくなってしまった。食事も用意していただいたサンドイッチに各自かぶりついたのだった。

 8時半頃にショウがスタート。司会の方のコールを受けて、オープニングは"シンプル・ラブ"。

 まず始まって驚いたのは、ステージのモニター・スピーカーから出てくるサウンドのタイトさとクリアさだ。リハーサル時と違って、広い会場にお客さん達が入ったことも大きいだろうが、それにしても短い時間内でキッチリと仕事をしてくるアメリカ・スタッフのレベルの高さに敬服した。とにかく、"シンプル・ラブ"の一発目を弾いた瞬間に「これはイケル!」と思い、それまでのナーバスに緊張した気分から解放されて、とてもリラックスすることができたのだった。

 それと、会場にセットされたMeyerのPAシステムは大変ナチュラルで効率の良いサウンドを出していたとのこと。何しろ、よく見かけるようなステージ両脇に積み上げられた巨大スピーカーは一切ない。そのかわりに、会場の各ポイントに小さいながらハイパワーなスピーカーが設置されていて、最前列から最後尾まであまり落差のない音響であり、それはステージ上のサウンドとも違和感なく、自然な音響空間になっていた、と私以外のプレイヤー、スタッフ達がそれぞれ話してくれた。(私は休める曲がないので、会場の音は残念ながら聴けなかった)

 照明に関しても、ほぼ担当者の感性と即興性に任せた感じにも関わらず、それぞれの曲の雰囲気と的確にフィーチャアするポイントをつかむ早さは素晴らしいと思った。それは、ショウが進むにつれてますます感じられていった。
 
 そういった環境の中、1曲目からすでに今回の4リズムでもいつもと遜色ない仕上がりだと思った。なぜ、そう思うかと言うと、ドラムのウエちゃんがステージ上でデジタル録音したMP3を今聴きながら書いているからでした。
 私が演奏時に広々とした雰囲気を感じたオープニング1発目の「Dm7/Gのジャーン!」がやっぱりたまらなく気持ちよいじゃないか!それに絡まるポルタメントが効いたモノ・シンセのトーンがワクワク感を駆り立てるのだ。4人のコンビネーションがいいなぁ。ドラムとベースのディスコ・グルーヴがイキイキしてて心地よいです。それに乗ったジュンコさんのボイスと私のエレピが会話しているみたいで楽しいよ。で、オッサンのギターね。ソロ完璧。カッティングも文句なくクールです。

 2曲目は"摩天楼のヒロイン"。いつもなら、サックスとコーラスの加わったゴージャスなイントロだけど、キーボードのみでのシスコ・バージョンも悪くないでしょう。感じるのはこの「限られた音」の中で曲を演奏すると、より「バンド色」が強まることの面白さだった。
 ほとんどの印象的なフレーズと間奏のソロをキーボードでやっていて、個人的には多少気負い過ぎの部分が感じられる演奏だけど、トライしている内容は自分でも好感が持てる。ただ、ボーカル・スタート前のブリッジなどは、逆にもっと思いっきり隙間のあるフレーズに変えた方が、オッサンのカッティングがより生きたかもしれないな。
 まぁ、そんな私をしっかり支えてくれる3人のバックの安定感が素晴らしいね。おかげで、2コーラスあたりから俄然良くなってきた。この辺が生きたバンドの楽しさ。

 3曲目の"たそがれマイラブ"の出来は良い。会場も拍手喝采、「サイコー!」の声も。「アンコール!」って声には、まだちょっと早いでしょ?って感じだけど、それだけ喜んでいただければ何も言うことはありません。
 続く"ビューティフル・ミー"も負けない名曲だし、前曲のいいムードを引き継いで、まさにBeautifulではないか、ウムウム。サビで、かなりR&Bぽいグルーヴでグイグイあおっていくドラムがかっこいいです。それを、まぁまぁとなだめるようなベースも素敵。オッサンのソロ、いつもながら最高です。ジュンコさんもオープニングあたりの力強さから一転、グっと落ち着いた表情がいいし、後半のサビの歌声が気持ちよかった。

 5曲目には久々に"愛は時を越えて"。ここで、アコースティック・セットのようにしたかったが、そこまで徹せられなかった雰囲気がするのが、ちょっと残念。全体にもう少し粘った感触や抑えた表情が必要だったかも。
 それは、続く"My Journey"にも言える。前半少し落ち着かないムードがしてしまうが、2コーラス前でウエちゃんが、ググっと後ろに引っ張ったのが功を奏して、とても良くなった。個人的にはピアノの間奏はうまくまとめることが出来たと思う。
 やはり、この手のシンプルなアコースティック・バラードはむずかしい。曲順によってもかなり影響を受けるし、とことんこなれた演奏でなければ満足な結果は得られない。

 さて、そんな事を本番中には考えていないけど、このコーナーが終わって、ある意味「解放感」があったのだろう。7曲目にやったジョルジ・ベン作、セルジオ・メンデス&ブラジル'66のヒットで有名な"マシュ・ケ・ナダ"の元気の良さったらどうでしょう!
 今回はかなり自由度を広げたアプローチにしてみた。シスコでしょ、ラテンでしょ、で思い浮かぶのって60年代後期から70年代初期、まさにデビュー当時のサンタナ、ボサボサの長髪でむさ苦しいヒゲ面のカルロス・サンタナと、気持ちよく歪んだハモンド・オルガンを弾き倒していたグレッグ・ローリー達は、まさにこのサンフランシスコのフィルモアで強烈な演奏してたんだ!ってこと。
 そんな気分と思い入れを反映させて、オシャレなセルメンと同時に偉大なるロック・バンドであるサンタナにも敬意を表したつもりです。
 で、ここではバンドの一体感と熱さがたまりません。ステージ上ではかなり頭に血がのぼって鼻息の荒い私と、常にクールにきめるオッサンが好対照。そしてどちらにも瞬時に反応していくリズム・セクションが頼もしいです。ジュンコさんのボーカルがセルメンのダブリング・ボイスを吹っ飛ばして、強烈にソウルフル、オリジナルであるジョルジ・ベンの野生味に近い歌声が楽しかった。
 全体的には、ボサノバというよりもサンバ・ファンク風なサウンドに仕上がっていて、なかなかエキサイティング。エンディング間近でのウエちゃんのドラム・フィルの応酬も盛り上がった。ビシっとエンディングをきめてからの拍手と歓声の多さが凄くうれしかったよ。(続く...)
[PR]
by harukko45 | 2007-01-16 04:38 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31