年末年始クラシック三昧

 大晦日から元旦にかけては、毎年クラシック音楽のTV番組が多くあり、ちょうど酒飲みながらお祝い気分で聴くにはもってこいの感じ。

 まずは大晦日のNHK教育テレビでの「モーツァルト・イヤー2006 ハイライト」。ここでは昨年ヨーロッパと日本でいろいろとおこなわれたモーツァルト生誕250年の記念コンサートをダイジェストで見ることができ、その演奏の比較が出来て興味深かった。
 で、数々の大物有名指揮者、演奏家がどんどん登場する中、だんトツに惹き付けられたのはまたまたダニエル・ハーディングだった。前にも書いたザルツブルグ音楽祭での「モーツァルト・ガラ」での抜粋だったが、それまでホロ酔いもあって、「可もなく不可もなく」の印象で聞き流していたのが、彼のドン・ジョバンニ序曲が始まった途端、全神経が集中したのだった。やはり、彼は面白いし、情熱を感じるし、センスがいい。今年も引き続き要注目。

 次に年明け早々、現地はまだ大晦日だが、毎年恒例のベルリン・フィルのシルヴェスター・コンサート。今回はリヒャルト・シュトラウス、モーツァルト、ヨハン・シュトラウス、ドボルザークと比較的多彩(?)なメニュー。いつもは、何らかなテーマを持ってやっていたが、今回は何だったのだろう。実は、サー・ラトルとベルリン・フィルの組み合わせはこれまであまり感動したことがない。本当に合っているのだろうか。
 それと、いつも思うが、録音の関係か、残響が多いサウンドと過度なリミッターによるつぶれた感じがあまり心地よくないし、聴いてて疲れる。

 が、プログラムの2番目に登場した内田光子さんとのモーツァルト・ピアノ協奏曲20番は素晴らしかった。久々に、この曲を聴いて涙が出そうになった。内田さんのピアノが最高だったのだ。これほど深みのあるモーツァルトはなかなか聴けない。ほとんどのモーツァルト演奏は、もっと軽いパフォーマンスばかりに思える。
 まずは、オーケストラのみの序奏の部分で、それを聴き入る内田さんの表情からして凄い。完全に音楽の中に入り込み、自ら音楽の化身に姿を変えていた。
 そして、彼女のピアノの美音に心を奪われる。素晴らしいタッチ、強弱の表情の豊かさ、そして何より心のこもった、そして作品に共感しまくったフレージングにただただ引き込まれて、息も出来ない感じだった。
 2楽章の有名な主題で、これほどジーンと来て熱いものがこみ上げたのは、映画「アマデウス」のエンドロールでこの曲を初めて聞いた時以来だった。
 とにかく全楽章を通じ、悲しみをたたえた味わいのある音と心から歌う演奏に感動しまくった。ラトルの伴奏も素晴らしかったが、そのベルリン・フィルの重厚なサウンドにけっして負けない、内田さんのフォルテッシモを絶賛したい。また、あらためて20番の素晴らしさを再認識させられた。
 もう一度言う、こんなに深いモーツァルトはなかなか聴けない。
 なので、その後の「ばらの騎士」の抜粋などの演奏は、自分にはつまらなかった。それだけ内田さんが最高だった。

 さて、元旦になって今度はウィーンのニューイヤー・コンサート。指揮はズービン・メータ。私は彼の指揮をロサンゼルスとフィレンツェで見たことがある。私の印象では、ずいぶんオケに任せてしまう感じで、出たとこ勝負のような演奏に聞こえ、その時はあまり共感できなかった。ロスの時はオケも良くなくて、無難な演奏に終始していたし、フィレンツェでの「魔笛」は歌手の出来がすこぶる良かったので、それにかなり助けられていたと思った(オケだけによる序曲にはがっかりさせられた)。
 逆に言えば、いいオケと組めば、そのオケの良さをじゃませずに引出すということになるのだろう。それに、ウィーン音楽大学で学んでいたという経歴から、現在のウィーン・フィルにはその時の同級生が多くいるとのこと。そういう点では、実に新年らしい和気あいあいとしたムードで楽しい内容だったかな。

 でも、せっかくなんだから何かしら「こりゃ、たまらん」ってもんが聴きたかった。唯一「エルンストの思い出」での各楽団員のパフォーマンスをフィーチャアしたのは面白かったけど(ピッコロの超絶技巧に大喝采)。というわけで、去年のヤンソンスのようなワクワク感はなく、あっさりしたものだった。若きハーディングがここに登場するのは何年後か?意外に早いかな?
 
 そうそう、暮れに録画していた音楽歴史上に残る伝説のソプラノ、ビルギット・ニルソンの生涯を紹介した番組も面白かった。彼女は特にワーグナーで超有名だが、こうして聴くと、昔の音楽家には何とも言えない気品があるなぁ、と強く思った。それと、当たり前だが、歌が断然素晴らしい。これぞ、ディーヴァでしょう。今じゃ、ディーヴァって言葉、デビューしたてのJ-POPの新人歌手やら、何でもかんでも簡単に使ってるけど、少し控えましょうね。
[PR]
by harukko45 | 2007-01-03 15:23 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31