大橋純子/九十九島観光ホテル
2006年 12月 27日
タケカワさんのところでも書いたけど、ジュンコさんチームも正真正銘のプロフェッショナルであることを示してくれましたね。それも、音楽そのもの歌そのもの演奏そのものにこだわり続けた「プロ中のプロ」の集団です。ご本人はもちろん、バンドだけでなくPA、照明、舞台にいたるスタッフ全員がです。
やはり、久々とは言え、ここに帰ってきて演奏する気分は、サッカーなんかに例えると、まるで他の国のリーグで活躍していたメンバーがワールドカップのために母国代表に招集されたような感じです。それだけ、誇りとやりがい、そして信頼がしっかり根付いていると言えるのでした。
ただし、個人的には非常につらいコンディションでした。前日の仙台でのタケカワさんのショウ終演後、深夜バスで帰京し、そのまま羽田の始発に乗っての佐世保。予想以上に体力を消耗しました。前に、タレントの大泉洋さんがテレビ番組で、北海道から九州までの高速バスによる旅行レポをやってたけど、「とてもじゃないけど、仕事にならないよ」と思わずボヤいていたのを思い出しました。
それに加えて、私的な事情による問題が発覚し、リハ前は気分的にはイライラして、落ち込んで、言い知れぬ怒りがこみ上げて、最後には「もーウンザリ」しか思い浮かびませんでした。
でも、時間がきてカウントされたら演奏は始めなきゃならない、そんな気分でもピアノは弾くんだ。ま、ここからは眉唾ものに感じられる人もいるかもしれませんが、不思議なものなんです、音楽というのは。
つまり、一度演奏に入ったならば、演奏家は他のことにほとんど気を取られなくなるもの。だから、それまでのイヤな思いはどこかに消えているのです。特にそれまでに自分の気分は最低なので、実際には「もうあきらめるしかない」って思ってる、よって余計な野心や欲もすっかり消えて、本当に一音一音、目の前の音を弾いて行くことだけって思いになるのでした。音楽が進めば進むうちに、その状況が気持ちよくてたまらない。この演奏中の実に達観しつつも集中しきった感じがとても心地よかった。
それと、バンドで演奏するということは同時に他のメンバーの演奏をよく聴くことでもあるのだが、この日はすぐ横にいたせいもあるが、ベースの六川さんのプレイがほんとに素晴らしかった。彼とは他の現場でもちょくちょくご一緒してるし、常にいいプレイをしてくれるエキスパートであるのだが、その彼でさえ、これほどまでに素晴らしいプレイをするのはジュンコさんとの仕事だからこそと思った。
そして、ジュンコさんは先月の松崎さんとのジョイントでも感じた、豊かにのび、そしてスピードのある声の復活とも言える絶好調ぶりで、非常に強いオーラを感じさせた。「どっからでも、かかってらっしゃい」的な懐の深い歌は、大きな安心感をバンドに与えて、それがバンドの良いパフォーマンスも引き出して行ったとも言えるだろう。
こうなってくると、"シルエット・ロマンス"も"サファリ・ナイト"も"Happy X'mas"も、どれがオリジナルでどれがガヴァーで、どれがヒット曲か、なんて関係なくなってくる。全てが「大橋純子の音」の世界で統一されて、濃密で充実した時間が過ぎていったのだった。
それから、佐世保のお客さん達、1回目2回目ともにとても元気で反応もいい方達でした。だから、最終的にはステージ上と客席とのプラスのエネルギー相乗効果によって、2回のショウともにとても盛り上がったのでしょう。こちらサイドだけの自己満足で終わっては意味がない、何よりもお客さんが喜んでくれることにつきるのでした。
さて、とは言え音楽の宿命というか、終わってしまうと消えてしまう夢のような時間、その後には現実が帰って来て、私はその後、トラブルの処理と疲労で、今年最後の宴会には欠席しました。つまり2日連ちゃんで宴会キャンセルしたわけでした。これも、私の歴史上初とも言えることでした。なので、ジュンコさんを始めバンドのメンバー、スタッフの皆さんには今年一年のお礼を言うことが出来ず申し訳なく思います。とりあえず、この場で遅ればせながらお礼したいと思います。本当にこの一年お世話になりました。そして、来年もよろしくです。
ジュンコさんのコメントから来年はよりはじけたライヴが期待できそうだし、そうすると私の長年の夢であるライヴ盤だって、夢じゃなくなるかも知れないし・・・。
私も父の死や仕事のごたごた等、非常に疲れる年末ですが、ジュンコさんのシャウトを聴いて、頑張りまっす。
ジュンコさんは今とても調子が良さそうですよ。きっと何かが吹っ切れたんじゃないかと勝手に思っています。ヤマケンさんも健康でご活躍されますように。これからもよろしくお願いします。