アジア・カップ予選/日本2-0イエメン
2006年 08月 17日
とにかく、攻めても攻めても相手DFがいっぱい、苦し紛れのクロスを上げても可能性を感じないものばかり、たとえFWに渡ってもシュートは外れてばかり。実は、見ている時はすでに結果を知っていたので、イライラすることはなかったが、テレビに映るオシム監督の不機嫌さの方に興味津々といった具合だった。
後半、セットプレイで2点取って何とか面目を保ったが、オシムの選手交代(羽生、佐藤)がずばり的中したと言ってもいいかな。サントスはFKで2アシストだったが、それ以外は前の代表チーム時代を思わせるようなプレイが目立って、ちっともいいとは言えなかったし、遠藤もしかり。要はドイツ組が増えたことで、全体的にも前のイメージに近いサッカーだった。それで、ギリギリの時間で何とか勝利するパターン。
もし、ジーコだったら「苦しい状況の中、最後まであきらめない気持ちを持って、勝ち点3をもぎとった!」と絶賛するだろうが、今のオシムは試合後の記者会見で、煮え切らないありきたりの質問ばかりのマスコミ関係者に愛想を尽かして、「皆さんが聞かないので、私からお話しよう。私は(今日の試合は)不満だ!」とぶちまけた。
スポーツ・ニュース等で報道されている通り、オシムの分析では「アイデアのある攻撃ができていない。ディフェンス・ラインでのボール回しが遅すぎる。まるで各駅停車で、その駅も多い。その間に敵の守備は整ってしまう。これでは崩せない。FKも打ち合わせとは違う蹴り方をしていた。」等、苦言の嵐。
はっきり言って、試合そのものよりもオシムの会見の方が、数段面白かったよ。もし、私が報道記者だったら、彼の会見はたまらなく楽しいだろうし、実にやりがいのある仕事となるだろうと思う。
次の9月の中東でのアウェイ戦では、選手の入れ替えも示唆。常に選手達を刺激し、奮起を促す。それは、選手だけでなく、マスコミや我々サポーターにも刺激的だ。
実際の選手が注目されないのは問題ではあるが、何だかんだ言っても今の現状ではオシム監督の言動に注目せざるを得まい。十分な経験と実績のみならず、豊かな知性と哲学を持ち合わせた外国人「教師」の登場は、サッカーのみならず日本の社会論や日本人論にまで波及していくかもしれない。
目先の勝利は有るに越した事はない。が、彼が描く「日本化=世界化」サッカーという長期ヴィジョンへの道のりを見守ることはもっと大きな楽しみ与えてくれる気がする。