Blood,Sweat & Tears

 昨夜NHK-BSで懐かしいB,S&Tのライブを放送しとりました。イヤー、たまらん感じでしたよ。何しろ私が中学生で始めて買った洋楽(!)LPこそが、B,S&Tのベストでありましたから。
 オンエアされたのは70年のスウェーデンでのライブを中心にイロイロと。ちょうど3枚目がリリースされた直後、初の日本公演の前にあたる時期。つまりはB,S&Tというバンドの歴史上、最も輝いていた頃であり、メンバーも最高のラインナップが揃っているのだった!

 まずは、3枚目のB面に収録されていた"Symphony For The Devil"。これはストーンズの"Sympathy For The Devil"をメインにキーボードとトロンボーンとフルートを巧みに演奏するディック・ハリガンが作った組曲。荘厳で現代音楽風のブラス・イントロから"Sympathy.."が始まり、その後はアフリカン・ジャズのようなリズムをバックに、これまたアルト・サックスとキーボードを巧みに演奏するフレッド・リプシウスがフリーキーなアルト・ソロを聴かせる。
 はい、この時点で私としてはかなりの盛り上がりであります。

 その後も、スティーブ・カッツの叙情的な名曲(と言うより、叙情的なハリガンの名アレンジ曲)"Sometimes In Winter"、いかにも彼らのグルーヴとサウンドの特徴がよく出ている"Lucretia MacEvil"は本編後に続けて、フリーインプロヴィゼイション風に展開する"Lucretia' Reprise"で、ルー・ソルフのトランペット・ソロが炸裂。おなじみの"And When I Die""You've Made Me So Very Happy"は、あらためてリピシウス&ハリガンのアレンジ能力の高さに感心する。

 スティービー・ウィンウッド作の"Smiling Faces"は始めてみる映像に驚き。アルバムと違って、ドラム・ソロをはさんで、リピシウスの指揮によるブラス・アンサンブルのパフォーマンスがあったなんて! ずいぶんあの当時はいろいろやってたんだなぁ。
 かたや、キャロル・キングのシティ時代の名曲"Hi-De-Ho"は、フレッド・リプシウスの名アレンジが光ってオリジナルよりも数段優れたものなので、ライブではほぼアルバムに忠実だった。
この辺もファンとしてはうれしいね。

 私は、最初に自分で買った洋楽という縁もあり、彼らには当時かなりのめり込んだ。最近では再評価の高いアル・クーパーの仕事の一つとして、ファースト"Child Is Father To The Man"(左)を代表作にする人も多いが、やはり彼らの真骨頂を味わえるのはアル・クーパー脱退(というかクビ)後の大傑作セカンド(左下)であり、その勢いを持続したサード(右下)となるだろう。

 とにかく、彼らの最高の魅力は、アレンジの凄さにつきる。その展開力の大胆さや過激な和声を取り込みながらも、都会的な洗練さを持ち合わせていたし、今聴いてもホレボレするような仕上がりだ。もちろん、その音楽的優秀さを見事に表現できる演奏のうまさと、それをバックに野性的で堂々たるボーカルを聴かせたD.C.トーマスの存在も大きかった。

 ある意味、今では彼らを「ロック」というジャンルで語るのは疑問が残る。当時もドラマーでリーダーのボビー・コロンビーは自分達の音楽を「アメリカン・ミュージック」と言っていた。つまりはいろいろな音楽要素のミクスチャーだ、ということなのだが、その後のクロスオーバーやフュージョンなどにはない、実験的なトンガッタ感性があって大好きだった。
 まぁ、そういう意味じゃイギリスのプログレなどにも通じるものがあるのだろうが、いかんせん実際のサウンドにおいて、B,S&Tはアメリカ音楽の伝統的メインストリームな感じがあり、圧倒的に垢抜けていたのだ。

 それと、彼らはアル・クーパーが去ってからオリジナルが少なくなったものの、カバーの選曲センスが最高だった。キャロル・キング、ローラ・ニーロ、スティーヴィー・ウィンウッドからビリー・ホリディにエリック・サティと、こちらも多彩だったし、それらを見事にアレンジしてオリジナルよりも良い仕上がりにしてしまったのが素晴らしかった。

 この当時のフレッド・リプシウスとディック・ハリガンは今でも尊敬に値するプロの仕事というものを見せてくれていた。これほどまでに、曲をアレンジするとは自由なのか、と思ったものだった。

 さて、この番組ではおまけにシカゴの映像も少し放送されたが、やはりデビュー直後の"I'm A Man"(おー、これもウィンウッドの名曲じゃわい!)が最高だった。昔は「B,S&Tかシカゴか」なんていう議論をマジにやっていたけど、今じゃどちらも魅力的だったな、と思える(当時はコテコテのB,S&T派でありながら、よくシカゴにも浮気をしていた)。
 シカゴの映像を断片的ながら時代時代での変貌を見ていくと、やはり70年代初期の演奏には段違いのエネルギーを感じたのだった。それにしてもテリー・キャスのギターとボーカル!最高でした。
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by harukko45 | 2006-08-06 19:39 | 聴いて書く

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