大橋純子/スイートベイジル139の詳細(2)

 スイートベイジルの後半です。

m9.What's Going On
 このマーヴィン・ゲイの超名曲には代表的な名演が2つあって、1つはもちろん本人によるモータウン・オリジナル盤。そのグルーヴ感は大変個性的で、ちょっと異常な感じもある(あのアルバム全体に漂っている悪魔性)。マーヴィン・ゲイとファンク・ブラザーズが、あの時代だったからこそ作り出せた奇跡のようなものだろう。
 もう1つはダニー・ハサウェイのライブ盤における名演。これも、歴史上に燦然と輝く名パフォーマンスだが、モータウン盤のような解読・再現不可能な感じでもなく、よりアグレッシブで分かりやすいグルーヴで、我々にも取っ付きやすい。なので、主にセッションなどでは「ダニー・ハサウェイ的」にアプローチすることが多いだろう。
 最初はそんな気分だったが、ジュンコさんケンさんは2年前ぐらいに出たマイケル・マクドナルドのモータウン・カバー集を参考にしていて、もうちょっとメローでクールなサウンドを求めていた。普段ライブハウスでついつい盛り上がってしまう我々は、その辺りを注意して今回は演奏したつもりだ。
 で、かなりその狙いは成功したと思う。ジュンコさんがゆったりと語りかけるように歌っていて気持ち良さそうだし、バックも肩の力が抜けたビートを常に供給している。

 後半の私のソロはうれしくなってて、ちょっと弾き過ぎてるかもしれないが、まぁ、ここは最後まで弾き倒したので大めに見ます。続くゴトウさんはさすがに堂々たる歌いっぷりです。
 全編に効果的なのが、ユキコ&ヒロコの女性コーラスで、実にいいムードを作ってくれていた。

m10.I'm Not In Love
 もう1曲カバー。10ccの大ヒットでジュンコさんもレコーディングしているし、ライブでも前に取り上げているのでおなじみの方もいるでしょう。
 これに関しては、ジュンコ・バンドの良さ、特に私のキーボードを良さが生きているかな。ある意味オリジナルをリスペクトしつつも別のアプローチの方法で成功したパフォーマンスでレパートリーとしての価値は高いと思う。ウエちゃんのメリハリの付け方がうまくキマッテいてカッコイイです。

m11.Soul Trainまっしぐら
 美乃家における土屋昌巳さんの代表作ファンクチューンの1つ。私もリスナーとしてこのスタジオ盤は大好きであります。これはギターのニュアンスが大事なので、タマちゃんはよく頑張ってくれました。おいしい部分をちゃんと再現してくれましたね。
 ギター以外はわりと今の気分で自由に、そしてよりワイルドにファンクしております。
 にしても、このテイク、かなりのヘビーファンクでイイんじゃないの!誰がどうのと言うより一丸となったグルーヴが最高です。全員がイってないと「Special」なグルーヴなんか生まれません。このツアー中のベストでしょう。
 それと、やっぱりこういう曲でのジュンコさんのボーカルは誰にも真似できません。自由奔放なゴトウさんのソロも最高。

m12.サファリ・ナイト
 もうすっかりおなじみの終盤戦の定番曲。ここまで来ると、演奏する方もある種の充実感を感じています。が、今回は簡単には終わらない。2コーラス後についに登場、植村昌広君の大ドラム・ソロ。一部ネット上では「変態ドラマー」として注目を浴びているらしいですが、「変態さ」というのは天才的とも読めるし、アーティスティックとも言えるのです。彼のような超個性派をバンドに迎え入れる我々の懐の広さったらどうですか!!
 いやはや、ちょっと話が脱線しましたが、とにかくどの会場でもバカ受けの大盛り上がりだったウエちゃんのドラム・ソロのおかげで、今回のライブ全てがハジけきったと言えますね。バンド内MVPをウエちゃんにあげましょう。

m13.ペイパー・ムーン
 しっかしまぁ、この日の「盛り上がり3曲」での全員の16分のキレの良さは尋常じゃないね。素晴らしいもんです。特にこの曲のイントロでのタマちゃんの歪んで過激なカッティングとそれに絡む私のブラス・シンセはかなりのものです。
 で、その後も怒濤の疾走で展開する演奏には強力なカオス感があり、ただのバックバンドではないことを証明していると自信を持って言えます。そんな強力なパワーでお贈りするファスト・ファンク化した筒美京平ポップに敵なしじゃわい。

m14.星を探して
 ついに本編ラスト曲。近年のケンさんによる代表作。マイナー・バラード書かせたら天下一の真骨頂が出た曲であります。
 なので、ここでは確かにレコーディングにおける土屋マー坊さんの素晴らしいギターソロのイメージも強いですが、やはりジュンコさんのボーカルこそが圧倒的な印象を持っているわけです。それだけ彼女の思い入れの強さが表れた素晴らしい歌だと思います。
 不思議なもので、前半よりも声が透き通って来ているではありませんか。おそるべし!

En1.We'll Be Together
 アンコールにお応えして、スティングの大ヒットのカバー。今回の主旨に一番ふさわしいとも言える曲調と詞の内容。もう楽しみましょう、それっきゃないでしょ!と全員で高らかに宣言しているわけです。タマちゃんとロクさんは飛び跳ねておりましたし、コーラスお二人も踊り放し。おっとロクさんが途中見失いましが、無事に復帰してきました。これもご愛嬌。最後には女性ボーカル陣3人によるシャウト大会ね。やっぱり「女は強し」。男性陣バンドはちょっとヘトヘトですが必死についていっております。

En2.Cry Me A River
 ダブル・アンコールに応えて、実にシブイ選曲。これも意外に思われた方が多かったようだけど、ジュンコさんのこういうスタンダードは本当に素晴らしいです。過去にボサノバの名曲カバーでもそのことは証明されていますからね。また今回は特に思い入れも強い曲だったのと、シンプルの極みのような曲調なので、お客さん達もボーカルのうまさを十分堪能されたのではないでしょうか。
 で、この伴奏のピアノの人、なかなかウマイじゃないですか。何だやればできるもんですね。これなら、もうちょっと年取っても音楽で飯食えるかも?
 いやはや、これまでなかなか、ジュンコさんのご希望通りにつけられなかったのですが、この日が一番良く出来ました。またまた勉強になりました。日々精進でありますな。


 
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Photographs/クラブサーキット2006六本木STB139スイートベイジル編

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by harukko45 | 2006-07-30 23:09 | 音楽の仕事

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