人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Kate Bush/「嵐ケ丘」と「少年の瞳を持った男」

 ケイト・ブッシュの1st"The Kick Inside"に入っている2つの有名曲のコード進行を追ってみましょう。それだけでも、なかなか楽しいし、刺激的です。

 Wuthering Heights(嵐ヶ丘)
イントロ(4)
 ‖A(add9) | A  | A(add9) | A   ‖
 (1拍目から/♪ミド#シミド#シミド#|ミド#ラ...| X2)
Aメロ(13)
 ‖A  | F  | E  | C# (2拍目から/♪ミファソ#ファ↓ソ#ド# )‖X2
 ‖A  | F  | E  | C#  | A♭  ‖
Bメロ(7)
 ‖E♭m7/ G♭| F   | E♭m7/ G♭| F   |
 | E♭m7/ G♭| F   | F     ‖
Chorus(7X2)
 ‖G♭(2拍目8分裏bassF)/ E♭m7 | A♭ ‖2/4) D♭
 ‖4/4) G♭ | G♭ / A♭  ‖2/4) D♭‖4/4) G♭ ‖X2/ D.S time to Coda
Bridge(1)
 ‖A(add9)  ‖D.S to A

Coda/ Dメロ(13)
 ‖B♭m  | A♭  | G♭  | E♭m7/ D♭ ‖X2
 ‖B♭m  | A♭onB♭| G♭(add9)| B♭m(sus4) |
 | B♭m(sus4)
Chorus X-times Repeat & Fade Out.

 イントロをAで始まっていながら、Aメロで1小節ごとにあちらこちらに彷徨い、BメロではB♭m想起しながら、サビはD♭へ。しかし、微妙に配置された2/4が常に刺激する。で、G♭から短3度上のAのコードに跳躍して、2コーラス目へ。
 丸2コーラス終了後に、D♭の平行調B♭mで進む大サビともいう部分は、この中でも一番分かりやすい。が、サビに戻るところのG♭、B♭mのアルペジオがなかなか凝ってる。
 で、この曲の印象的なサビは決して終結することなく永遠に続く。

 The Man With The Child In His Eyes(少年の瞳を持った男)
Aメロ(12)
 ‖Em(1拍目から♪ミソミ↑ミー)| GonD | C / GonB| Am  ‖X2
 ‖Bm / F#monA | A / Asus4 A | B♭ / FonA | Gsus4 G / G
Bメロ(6)
 ‖G / F#onG| FonG / EmonG| E♭onG ‖
 ‖DmonG / ConG| BdimonG / AmonG| A♭M7onG ‖
Chorus(9)
 ‖C GonC/ C GonC | B♭ FonB♭/ B♭ FonB♭ |
 | B♭ / FonA | Gsus4  ‖
 ‖C GonC/ C GonC | B♭ FonB♭/ B♭ FonB♭ |
 | B♭ / FonA | C(add9)  |
 | C(add9)  ‖D.C

Kate Bush/「嵐ケ丘」と「少年の瞳を持った男」_e0093608_16502882.jpg 美しいメロディを持った、比較的分かりやすい曲なのだが、実際にはなかなか凝っている。それをあまり感じさせずに、流れよく進んでいくあたりが才能の見せ所?
 Bメロはかなりメルヘン・チックなアルペジオで、コードネームだけでは表しにくいし、人によっては違う表記になるだろう。でも、素晴らしい構成力。なぜなら、Em/Gのキーで始まった曲が、このBメロ前2小節で展開して、妖しく幻想的な和音の流れに惑わされながら、いつのまにかCへ転調していく、それもサビ前のコードとピアノの崩れるような短いフレーズがオシャレ。サビの4小節目、7,8小節目のピアノのアルペジオの決め方もカッコイイ。ただし、激しくアルペジオを弾いた後に、すぐに弱音でEmの頭に戻るところはむずかしい。
Commented by フレ at 2006-07-29 11:20 x
おぉ〜、なるほど♪そういうことでしたか…。この不思議な進行は一体どうなっているのだろうと思ってましたが、かなり変態的な曲作りですね、これ。英国人ならでは、な感じもします…。う〜む、天才的。
Commented by harukko45 at 2006-07-30 03:31
フレさん、どうもです。「嵐が丘」、変態的ですよね確かに。それと、実に英国風とも言えますね。やっぱり曇り空ばかり見てると、ひねくれた感性が育つのでしょうね。
でも、日本のポップス・シーンでは絶対に受け入れられないような難曲でも、ちゃんと評価する土壌は文化芸術を重んじる伝統だと考えるしかありませんね。
Commented by 吉岡登美雄 at 2006-08-07 12:35 x
 「ザ・マン・ウイズ・ザ・チャイルド・イン・ヒズ・アイズ」(邦題:少年の瞳を持つ男)は、私の「テーマソング」にしたいな~と思うほど(ファンから、殴り殺されそうだな)、「心を奪われた」曲。20歳の頃、レディオから「ローリン・ザ・ボール」という曲が流れてきたのを聴き、「面白いアーティストが出てきたな」と思った。(ロンドンのハマースミス・オデオンでのファースト・コンサートでのライブ。CD化されてないが、是非フル・バージョンで出して欲しい。当時たしか「4曲いり」のレコードだった。また、その時の「ビデオ」
もあったが、何故かそれも「DVD」化されていない。ケイトが「許可」しないのか?出たら必ず「買う!)それから、彼女のレコードを片っぱしから「購入し、今に至る。「只の綺麗なおねえちゃん」ではなく、すんばらし~才能の持ち主である。月夜に「この曲」をかけることが多いが、「月」に向かって
吼えたりはしない。「この唄」は、すべてのものを「内包」している。そしてまた「「全ての方向に、パワーを放射している」フォースみたいなものを、感じている。この「曲」のチカラは、「不滅」なのである。
Commented by harukko45 at 2006-08-07 16:02
ハマースミス・オデオンのライブって、モダン・ダンス風のパフォーマンスがあるやつでしたっけ? 昔ビデオで見たやつかな? それもかなり面白かったです。
名前
URL
削除用パスワード
by harukko45 | 2006-07-28 02:28 | 聴いて書く | Comments(4)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


by harukko45