Kate Bush/Aerial
2006年 07月 26日
イギリスの天才女性アーティストのケイト・ブッシュについては、日本でも強力なファンが多く、このアルバムについての深い考察はネット上でもいろいろ見る事が出来る。だから、私は今そういう方々からいろいろ学ばせてもらっている感じだ。特に歌詞について、テーマについてなどはまさにそう。
私が初めてケイトを知ったのは、80年代中頃に飯島真理さんのバックバンド「たこやき大将」(すげぇー名前?!)をやっている時だった。その頃のツアーで、真理さんは"Oh England My Lionheart"という曲をピアノの弾き語りで歌っていた。私はすっかりその曲にまいってしまい、真理さんからオリジナルはケイト・ブッシュであることを教えてもらったのだった。
で、すぐに全アルバム(当時は"The Dreaming"までの4枚)を購入して、プロモ・ビデオやコンサート映像もそろえたほど、一瞬にして大好きになったのだった。
その頃のアルバムにはそれぞれ聴き所があって、どれも素晴らしいし、美しく刺激的な楽想にあふれている。
だが、その後"Hounds Of Love"以降の3枚には、あまり共感できなかった。さすがの天才も燃え尽きたか?
そこへ、ずいぶん経ってからの新作だ。実は最初あまりピンと来なかった。かつての「天使か悪魔か」といった、一歩間違うと狂気の世界に落ち込んでしまう表現は聴かれなくなっていたし、全体のサウンドもおとなしい感じがして、いま一つ食い足りない印象だったのだ。
が、ここ最近やけにこのアルバムのサウンドを欲してたまらない。とにかく「美しい」音楽だ。別にポップかどうかはどうでもいいかもしれない。基本的には生の楽器、ミュージシャン、もちろんその中心に彼女自身の美しい美しいピアノ。何と言うコードワークの素晴らしさだろう!
ボーカルはぐっと控えめで、抑制された歌い方に徹している。でも、それがいい!
それと、全体の音質があまり今っぽいコンプレッション・サウンドでなく、生演奏の良さを生かした自然なダイナミクスを持ったもので、ぱっと聴きの迫力は他の新作に負けるが、そのかわり何度聴いても耳が疲れない。これは大変素晴らしいことだと思う。だからこそ、長く飽きずに聴き続けられるのだった。
全体としては「癒し系」「アンビエント・ミュージック」とも言えるが、やはり彼女はその程度の枠におさまるアーティストではない。特に際立って目立つ曲がないかわりに、Disc1,2を1部2部としてとらえ、その豊かな流れに身を委ねていけばいい。そうして聴き進めて行くうちに、いろんなところに多くの発見のある深い作品であることに気づくのだった。
「デュラン・デュラン」なども聴いていた。そして「極めつけ」が「ケイト・ブッシュ」。ファーストアルバムの「ザ・マン・ウイズ・ザ・チャイルド・イン・ヒズ・アイズ」に心奪われてから、「幾度となくケイトのファンをやめよう」と思いつつ、未だに「聴いている」。さすがに「ドリーミング」では、「気がふれたか?」とも感じたが、その後の「名曲」(クラウド・バスティングやビッグ・スカイなど)を聞くと、また元に戻りたくなる。実は「アエリアル」は「未だ」聴いていない。なぜ?と聞かれると困るが・・・。「心」を整えてから、としかいえない「部分」がある。「彼女」を聴くには、「心構え」が必要なのだ。「どんな音」が出てこようが、「それ」を受け入れる「準備」が。「その日」は近いと、感じている。
是非「Aerial」お聴きになってください。後で、感想もおしえてくださいね。コメントありがとう。
このアルバムは久々の彼女からのうれしい贈り物でした。いつもコメント&TBありがとう。
彼女の天才ぶりとか、詳しいことはわかんないけど、人に何かを目覚めさせることが出来る人間はすごい、と思います。今は薬代わりに毎日聴いてる感じ。離れがたいですね。
ゆらぎ」では、と感じた。また、彼女のこれまでの「作品」を「短編小説」とするならば、「エアリアル」は「長編小説」なのではないか?とも感じた。(レイ・ブラッドべりふうにいうと、いままでは「ウは宇宙のウ」とか「霧笛」だった世界が、「火星年代記」になったということか)ますます「深く」なる「彼女」の世界に「酔いしれる」夜であった。(最後の曲、表題曲「エアリアル」が、「昔」の彼女の「音」(声?)であったのが、おもしろかったな)