JabBee/velvetsun presents"GOING INSIDE"

 荻窪にある小さなライブハウス「ヴェルヴェット・サン」には若くて(でも、じょじょに30代が中心かな?)やる気のあるミュージシャンとバンドが集まっている。お店の形態上、出演者にはジャズ系の人達も多いけど、店長でギタリスト&シンガーの黒澤大介君(ダイちゃん、帯広出身)はコテコテのロック野郎なので、彼がお気に入りの個性派ポップを指向する連中が中心だ。

 そのダイちゃんが、いつも出演しているバンドに声をかけて企画したライブ・イベントが「velvetsun presents"GOING INSIDE〜SPECIAL EDITION〜"」。その第1回が昨日、高円寺ショーボートでおこなわれた。
 出演はダイちゃんのハードロック・バンド「with bis」、エフェクティブなギターをバックにボエムを朗読する「千夜子」、70年代のニューソウルから今のサーフ・ロックあたりの色合いを持つ「JabBee」、不思議系なヒネリを入れながらもとことんポップな「リナン」、そして60,70年代のブラック・ミュージックを確信犯的にパクリながら、あくまでエンターテインメントにこだわる「ソウルパウダードレッシング」の5バンド。

 さて、私はJabBeeとともに3番手でやってまいりました。演奏はメンバー皆よかった。おかげですごく楽しめたし、お客さん達も喜んでくれた感じだった。私としてはこのバンドのライブでの可能性がより広がったと強く思ったよ。
 ボーカルのシゲルさんはもともとの声質の良さに加えて、歌の説得力が強まったし、今回はアコギを捨てエレキに持ち替え、よりアグレッシブな姿勢になったこともバンドにエネルギーを与えた(ディランの影響?)。終わってから「幸せそうに歌っていたね」というお客さんからのコメントがすべてを表していた。
 ベースの飯田君は今回久しぶりの参加で(普段は時宗のお坊さん!という変わり種)、私ともお初だったが、さすがにオリジナルメンバーである彼は曲のポイントをよく心得たいいプレイをしていた。
 特筆すべきはガッツ君のドラムで、彼は曲の全体をよく見渡していて、メリハリの付け方のセンスがとってもいい。また、いろんな音色を持ち合わせていて、小さな音でもグルーヴを決して失わず今風のループぽいニュアンスを出すところもおいしい(ループぽいニュアンスとは、そのリズムパターンではなく、あくまで音色である)。で、後半への盛り上がりではかなり大胆に行ってくれるので、コチラも夢中で盛り上がっていけるのだった。

 ところで、「with bis」にはダイちゃんとドラムのアチョー、「リナン」にはベースのヤマちゃんと、何て事はないシーマ・バンドの面々が総出演。それぞれ、一緒にやっている時以上に燃えていた(?)のか、その演奏ぶりに、「なかなか個性の強いミュージシャン達だなぁ」と感心したし、それぞれ自分達の音楽ってものをしっかり持ち続けていることも素晴らしいなと思ったよ。

 「with bis」はギタートリオ3人のバランス感覚が絶妙で完璧。マーシャル&レスポールのトーンも「でかいが耳に痛くない」サウンドで最高。ドラムの麻生君は風格さえも感じさせる懐の深い、そしてある意味優雅なプレイが素晴らしかった。
 極端な例えだが、The WhoとSystem Of A Downのような大きな構成と繊細な感情と挑発的なエネルギーを持つ曲(そんなの出来りゃ誰でも売れる?)を生み出していけば、コアなファンがより増えるのではないか? それほど演奏力とサウンドが充実しているので期待してしまう。

 私が時々参加している女性シンガーのリナンさんも、今回はギタートリオによるロック・コンセプトでのパフォーマンス。普段の彼女のキャラとのギャップは?とも思っていたが、なかなかのマッチングの良さに驚き(ちょっと嫉妬も?)。私が大好きで、かつて自分で組んでいたバンドのモデルであるBlondieのデボラ・ハリーを一瞬思わせる感じだった。あういうムードならいつでもオルガン持って行きますよ。リナン自身のダンス(?)か振り(?)か微妙な動きも、80年代初期のニューウェイブ時代を蘇らせて、えらくイケておりました。
 それからベースの山本君は、バンマス特権を使って全てのおいしいインスト部分を(ベースにもかかわらず!)担っておりました。間奏がハードなベース・ソロっていうのもすごい徹底ぶりでした、お見事!

 プロデュースした黒澤君はこのイベントをただの仲良しの集まりに終わらせず、じょじょに拡大をはかって、何らかのムーブメントに押し上げたいとの野心を打ち上げの席で語ってくれた。素晴らしい事だと思う。彼の熱意とリーダーシップには共感できるものがあるので、こうして人が集まってくるのだろう。もちろん、それが彼の夢に終わらないように、それぞれのバンド、ミュージシャンがいい意味でのライバル心を持って刺激し合い、切磋琢磨していかなくてはならない。

 各自が強く意識して共通のヴィジョンを描いて努力して行けば、60年代初期のソーホーや70年代後期のCBGBを中心としたムーブメントのような大きな仕事に結びつくかもしれない。大きな夢だが、飲み会のジャレ事に終わらせたくないほど魅力的な物語だ。
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by harukko45 | 2006-07-23 16:58 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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