Robert Johnson

 ディアンジェロのような音楽を聴き続けると、その毒性の強さゆえに、他のものがひどく軽く聴こえて困ってしまう。とりあえず、どれもこれも面白くなくなってしまう。
 こういう時は「目には目を」「毒には毒をもって制す」。マイルスの"Sorcerer"かボブ・ディランの"Blonde On Blonde"あたりも考えたが、ロバート・ジョンソンを聴くことにした。こりゃ、かなり毒強いでしょ!

 とにかく、この人は27才でもろに毒殺されてしまって、残っているのはその2年前(36年)と前年(37年)の全部で29曲41テイク、2枚組のCDだけしかない。だが、70年前の演奏なのに、やたらめったらリアルの音なんだよね。それにギターがとんでもなくうまい。キース・リチャーズが初めて聴いた時に、ギタリストが二人いると思ったという話には、こちらも納得しちゃう。
 今回聴いて思ったけど、36年のテイクより37年のものの方が、歌に包容力がある。ギターにもやさしさがあるように感じる。たった1年でも彼は深みを増したということかな。その分36年には尖った勢いがあって、これはこれで凄いわけです。にしても、内容は絶望的なものだったりするんだろうけど、えらくノリのいい歌と演奏だよなぁ。
 ジャンルは違えど、モーツァルトも「音楽は常に楽しくなくてはいけません。」って言っている。悲しくたって辛くたって、楽しく聴かせる。だからこそ、その裏にある暗闇を聴き手が発見した時に衝撃的な感動となるのだった。

 でもまぁ、細かいことよりも、全ての曲に一貫して存在する「何か」にうっとりしてしまうわけ。何と言うか、死者の霊魂が語るのを聞いているのだな、これは。彼の声、歌、ギター、録音された部屋の臨場感、すべてが一つなんだ。録音された時は当然彼は生きてたんだけど、音楽自体は霊魂そのものがやっていたのかもしれない。だから、時間を越えちゃうのだった。
 
 ますます生きてる自分の小ささに嫌になる。こういうすごいものを聴くと自分の死ってやつがとっても身近に感じるのだった。
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by harukko45 | 2006-05-27 02:26 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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