D'Angelo/Brown Sugar

 90年代はHip-Hopのもっとも輝いていた時代。ロックもソウルもその影響から逃れることが出来ない雰囲気だった。それで他のジャンルでは、ずいぶん陳腐な打ち込みものがアメリカでも日本でも席巻していたのだが、95年にデビューアルバム"Brown Sugar"を発表した、ディアンジェロによって全てが変わった。

 Hip-Hopの方法論を巧みに使いながらも、70年代のソウル黄金期に回帰していく「ネオ・ソウル」「ニュークラシック・ソウル」はここに始まったわけで、彼のあとにエリカ・バドゥやマックスウェル、ジル・スコットとつながって、現在ではアリシア・キーズやアンソニー・ハミルトン、ジョン・レジェンドあたりも絡んでくるんじゃないかな。
 デビューにしてR&B史上に残る大傑作をモノしてしまった彼は、この時まだ20才だったとは!

 m1の"Brown Sugar"にシビレない人はいないだろう、本当にソウル好きなら。
 全体にフェンダー・ローズやハモンドなのか、それとももっとチープなサンプリング・シンセなのかわからないのだが、そのエレピとオルガンのサウンドが「悪魔的」で「幻想的」で心底マイッてしまう。
 あとは打ち込みのビートで、これに(後ろでノって)粘っこく絡み付く、彼のファルセット・ボイスが超「ヤバイ」。マーヴィンもスティービーもカーティスもプリンスも、全てが濃縮されて組み込まれているが、決してノスタルジーでなく、Hip-Hopのフィルターを通して新鮮な響きを獲得している。
 本当に凄い才能だと思ったし、今聴いても凄い。これぞ、ブラックであり、黒人音楽にいくら憧れても、絶対にたどり着かない音楽世界だと感じる。
 
 m2以降もどれも素晴らしいが、特にm4の"Me and Those Dreamin' Eyes of Mine"からm5,6と続く流れは、マイルス亡きあとのジャズ・シーンを軽く凌駕してしまうようなカッコよさ。
 m7のスモーキー・ロビンソンのカヴァーも最高に良い。ボーカルの後ろでなってるストリングスのモノラル処理がニクイ。m9"Lady"には体が自然に揺れてしまうし、続くm10での大ゴスペル仕上げに感動する。ここでは完全にハモンドを使ってるでしょう。
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by harukko45 | 2006-05-23 23:59 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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