ザ・モーツァルト・セラピー

 今年はモーツァルト生誕250年ということで、いろんな場面でモーツァルトの作品が紹介されているのに出くわすが、最近、ロックチッパー・レコードから「ザ・モーツァルト・セラピー」というCDのサンプル盤をいただいた。
 これはいわゆる音楽療法という立場から、彼の音楽を長く研究なさっている和合治久教授のプロデュースによる、科学的根拠に基づいて選曲されたシリーズで、様々な効能向けにまとめられているようだ。

 正直、そのような感覚で音楽を今まで聴いていないので、最初はかなりうさんくさいような気持ちでいたが、私は元来モーツァルトが好きなので、結局は聴いて楽しんでしまった。それに、ちょうど疲れていた時だったので、良い気分転換にもなったし、確かに心身がリラックスしたように感じた。

 教授によると、モーツァルトの音楽には高周波音が豊富で、またその音同士がぶつかりあってより高い1万5千ヘルツ以上もの高周波を生み出す倍音があるとのこと。高周波音は脳神経に多くの刺激を与え、副交感神経が作用してくるのだそうだ。現代人は交感神経優位な状態だから、彼の音楽を聴く事が、自律神経のバランスをとるのに効果があるということらしい。

 モーツァルトが精神病治療に昔から使われていたのは知っていたし、自分でもリラックスしたい時にCDをかけていたが、高周波成分を多く含むということはなかなか興味深いね。

 実際、そういった療法的でなく、純粋に音楽的にみても、彼の作品はオケの編成が小さい割にライブで他の作曲家のものと聴き比べても、よく響くのだった。もちろんオーケストレーションの才能に他ならないが、結果として高周波の多さが聴き手に音量以上の豊かな音楽的刺激を感じさせていたとも言えるかもね。

 そういえば一時、バリのガムラン音楽も高周波音を多く含んでいて、脳にいい刺激を与えるって言われてたなぁ。

 さて、私がもらった「肩こり予防編」には、全曲チェコ・フィルを中心とした演奏の新録で親しみやすい曲が並んでいるが、特に名曲は「フルートとハープのための協奏曲」。で、私はこの曲が大好きなのだった。チェコ・フィルも良かったが、実は私の中ではお気に入りの盤がある。

 それはミュンヒンガー指揮ウィーン・フィルのもので、フルートはトリップ、ハープはイェリネックだ。録音はいつもながら古いもので1962年だが、演奏は最高なのだ。
 とにかくこの曲はパリの公爵(フルート)とその令嬢(ハープ)が演奏するために依頼されて作曲したもの、つまりは貴族のサロン用の音楽なのだが、彼は全く手を抜かずに美しい傑作を書き上げた。

 で、このミュンヒンガー盤は大抵の演奏より遅いテンポで始まるが、他の演奏にはない何とも言えない気品と豊潤さを私に感じさせる。音が出た瞬間、そこに貴族の邸宅の豪華な一室がパーっと現れるようだ。オケの美音はもちろんだが、独奏者もウィーン・フィルの楽員でそのニュアンスが繊細で上品で最高だ(多少ピッチが高めなのだが)。
 「ザ・モーツァルト・セラピー」では1楽章しか収録されていないが、実は2,3楽章がより素晴らしいのだ。特にモーツァルトの複雑で不健康な感情表現を楽しむには全曲聴かなくてはわからない。あれ、結局それじゃ音楽療法にならない?

 P.S それにカップリングに大傑作「クラリネット協奏曲」が入ってる。クラリネットは名手プリンツで、こちらも超名曲名演だろう。
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by harukko45 | 2006-05-05 03:38 | 聴いて書く

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