The Rolling Stones/'95~?

 ここのところ、ストーンズについてクドクド書いてきたが、ライブ盤とビデオ、DVDに関しては除いていた。ストーンズの場合、スタジオ盤の方が、その仕事の面白さがよくわかるからだが、90年代に入ってからはそのリリースのペースが著しく落ちた。年齢・体力的な面もあるだろうが、残念ながらバンドとしての創造力の枯渇を指摘せざるを得ない。

 80年代までは、成功失敗いろいろあっても、常に新しい刺激を音楽界に与えるたくましさが溢れていた。が、"Steel Wheels"から明らかに彼らの音楽そのものに新鮮な驚きはなくなってしまった。
 普通は円熟したパフォーマンスを披露する大人のバンドとなっていくところだが、彼らはいつまでも若く、永遠のワルガキのような外見と振る舞いは変わらない。確かにその姿に憧れをいだくし、すごいと思う。が、肝心の音楽、彼らの新曲には若ぶる「あざとさ」が目立って、あまり楽しめない。正直、過去の自分達の良さをプロデューサーに分析してもらい、それを現代風にシュミレーションして、バンドを「ブランド化」することで生き延びているように思える。

 その証拠として、90年代で一番良いアルバムは、新曲によるものではなく、過去の名曲をライブとリハーサルで収録した95年の"Stripped"なのだ。ここでは、とてもリラックスして楽しんでいるストーンズがいる。もっと言えば、これこそが昔のストーンズの音に近い。
 そして何より、曲が良い。つまりは時代など関係なく良い曲は常に良い、ということだった。選曲の良さもあって、このアルバムは新録による裏ベストだろう。

 ただ、ボブ・ディランの60年代の代表作"Like A Rolling Stone"をなぜかこの時期初録音で、その出来は良いとは思うが、かたやディランは97年に"Time Out Of Mind"という驚きの傑作で、ファンを驚喜させてグラミーまで取ったという違いが何とも皮肉っぽい。

 そして最も悲しむべきは、その同じ年に発表された"Bridges to Babylon"はローリング・ストーンズ史上最悪の駄作だということだ。
 ついに、このアルバムでは聴きたくても聴きたい曲がない、という状況に陥った。よっぽどの事がなければ、もう聴くことはないだろう。何もかもがあざとくて、ただただ疲れる音だ。
 このアルバムは最後まで聴くのがつらい。そして、我慢してつき合っても思いがけないプレゼントは何もない。

 たとえ失敗作でも、80年代の諸作の方が内容は数段素晴らしい。とにかく、ストーンズとあろうものが、「いかにも」ロックしてるのがイヤになる。

 と、ストーンズの未来にはひどく悲観的だったものの、去年リリースされた新作は私に予想外の喜びを与えてくれた。プロデューサーのドン・ウォズ曰く、「60年代の頃のように、協力しあって曲作りをした」アルバムだということだ。そして、演奏もゴテゴテした装飾なしの基本に立ち返ったバンド・サウンドで、久々の傑作だった。"A Bigger Bang"についてはこちら

 もう、ダメかと思ったら、再び充実したアルバムを我々に届けてくれたことに敬意を表したいと思う。そして、再び彼らの音楽を楽しめることを素直に喜びたい。
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by harukko45 | 2006-04-12 01:53 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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