The Rolling Stones/'80~'81

 70年代までに活躍したアーティストの多くが、80年代入って突然ダメになってしまう例は多い。でも、その中にあってストーンズはかなり健闘していたと思う。80年の"Emotional Rescue"も81年の"Tatoo You"も大ヒット・アルバムだし、シングル・ヒットもコンスタントに出していた。MTVにおいても頑張ってカッコいいビデオ・クリップ作っていた。
 しかし、残念ながらこの時期のポップ・ミュージックの真の推進者はブルース・スプリングスティーンやプリンス、マイケル・ジャクソンあたりでローリング・ストーンズではなかった。実のところ、彼らは(特にミックは)時代に乗り遅れないように懸命だったようだ。
 そして私自身もブロンディ、トーキング・ヘッズ、ポリス、XTCなんかに夢中だった。

 "Emotinal Rescue"は70曲以上レコーディングした中からの厳選10曲とのことだが、正直たくさん録音しすぎてカスだらけになってしまったのではないか? いろんなことやってるんだけど、どれも淡白でひっかからない。特にR&Rナンバーは、みんなパンク、ニューウェイブ風のノリでつまらない。"Some Girls"では同じ曲調でも気迫を感じたけど、こちらには感じないし、全体に軽い。
 唯一、ラストのキースが歌う"All About You"でホッとする。

 それに比べて、"Tatoo You"は内容が段違いに濃くて、楽しめる。でも、実は新録ではなくて今までのストックの寄せ集めだ。だから、72年頃のものまで入っている。それにしては完成度はかなり高く、80年代の代表作と言える。ここで注目したいのは、この寄せ集めを見事に一つにまとめあげた、当時の超人気ミキサー、ボブ・クリアマウンテンの仕事だ。

 彼の起用の効果が最大限に発揮されたのは、何と言ってもm1"Start Me Up"だ。このやたらめったらカッコいいイントロのサウンドにしびれない人はいないだろう。まさに「奇跡的」な傑作となってオープニングを飾っているので、それだけで全体の評価は上がる。そして、このような時代性を越えた名曲を再び作り出したストーンズは偉い!
 m3"Slave"も好き。スケールのでかいミックスで、かなり洗練されたサウンドになっている。それと、特筆すべきは、ジャズの偉大なるサックス奏者ソニー・ロリンズがソロとっている。これがたまりません!後ろのリフもマイルス・デイビスの"It's About That Time"みたい。もしくはダニー・ハサウェイの"Ghetto"か?(どっちも違った、失礼)

 その他にもなかなか聴かせる部分が多いのだが、ちょっと気になるのはドラムのサウンド、特にスネアのリバーブが今聴くと何ともなぁ。あと、ギターにもショート・ディレイやコーラスのようなエフェクトがいっぱい。全体のエコーも深い。もっとザックリした音で仕上げてくれたら、文句なく傑作としたいのだが。
 まぁ、この時代でボブ・クリアマウンテンだから、こうなるのはしかたないか。

 とは言え、スロー・ナンバーを集めたLPでのB面はすべて素晴らしい。

 m7"Worried About You"は"Black & Blue"のアウト・テイクとは驚きの名曲。続くm8"Tops"もソウル度数のかなり高い強力なバラード。
 m9"Heaven"は次への橋渡しの役割も持った幻想的なムードが良くて、この辺の流れが絶妙。それを受け継ぐm10"No Use In Crying"で泣き泣き、ついに、どうにもたまらんm11"Waiting On A Freind"となる。間奏では再びソニー・ロリンズが登場して、これまたいいソロを聴かせてくれるのだった。

 このバラード5曲だけを楽しむのもいい。一つの組曲のように統一感があり、豊かな流れがある。ここでのボブ・クリはさすが!と言える仕事をしていると思う。うーん、やっぱり傑作ってことにしておくかな。
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by harukko45 | 2006-04-09 03:57 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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