The Rolling Stones/Exile On Main Street

 72年にこれが新作として発表された時、私と友人はすぐに買った。2枚組かぁ、痛いよね。3,600円ぐらいでしたかねぇ。
 で、みんなでワクワクしながら針を落としたんだけど、実はかなりガックリきた。あのチョーカッコイイ"Brown Sugar""Bitch"、子供だって泣いちゃう"Wild Horses"を期待したのに、なんか違ったのだった。

 私が嫌だったのは音がえらく悪い気がしたのだ。前作の"Sticky Fingers"がすごくビシっと耳から脳に響くのに、"Main Street"のレコードを家のステレオで鳴らすと、なんだかモヤモヤして、グチャグチャした感じだった。
 それに、わかりやすいポップな曲は"Tumbling Dice"ぐらいだった。

 そんなわけで、しばらくは放っといた。世評的にも当時はあまり高くなかったし。

 ただ、今不思議なのは、その頃ザ・バンドの音楽は好きだったのに、何でこのアルバムを理解できなかったのだろうと思う。ある意味、このアルバムとザ・バンドの諸作は「未来のブルーズ」を示すもので、その取り組みは同じだった。
 でも、当時の中学生にはそんなことはよくわかってない。ロック体験だってまだ2,3年だ。ノリがよくて、ガンガンくるハードなものに飛びつくに決まってる。だから、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルの方に心は移ってしまった。

 さて、本当にこのアルバムがストーンズの最高傑作と思えたのは30過ぎてからだ。それほど、彼らは進んでいたとも言えるし、深いレベルでルーツ・ミュージックに対して真摯に向き合っていたのだと理解した。

 一つ言えるのはアルバム全てが「塊」だということ。そしてそこにある感覚は、外に向かって広がっていくというよりも、地の底に向かってどんどんディープにディープに掘り下げていったあげくドロドロのマグマにたどり着いたというものだ。それがストーンズのソウルそのもので、異常に粘着質な特性を持っていた。

 だから、1曲1曲についてクドクド語る事はあまり意味がない。どの曲もたまらなく最高であるが、同時に全然受け付けないところもある。相反する情緒を同時に扱えることのできる音楽というのは奥深い。だから、最初からピンとくるかどうかはわからない。
 現代では「最高傑作」との評価がほぼ定着しているが、それは各自がかなり聴き込んだあげくに聴き手の側がつかみ取ったものに違いない。それほど、聴く者の力を試すアルバムだ。だが、一度その素晴らしさに気づいた時、たぶん一生の宝になる価値を持っている音楽だと思う。

 "Jumpin' Jack Flash"に始まったストーンズの「悪魔」シリーズの完成が"Exile On Main Street"だ。これがドロドロの極致で、この後彼らはじょじょに路線を変えていく(ドロドロを薄めていく?)。でも、元から保守的で慎重な彼らは、新しいトレンドを加えながらも、けっして自分達の原点を忘れずにあまり過激な変化はしなかった。それが、彼らを聴く時の「安心感」につながる部分だ。でも、それが「ブランド化」したロックバンドとして揶揄されるところでもある。
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by harukko45 | 2006-04-05 21:51 | 聴いて書く

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