レッド、ホワイト&ブルース

 「The BLUES Movie Project」シリーズの5作目「レッド、ホワイト&ブルース」は大変面白かった。監督のマイク・フィッギスは「よく音楽をわかってるなぁ」と感心して観ていくうちに、1時間40分があっという間に過ぎた。後で調べてみたら彼は元ミュージシャンで、ニューカッスルの大学生時代にはブライアン・フェリーと学友でバンドをやっていたという。なるほど、である。

 それと、イギリス人はこの手の「過去もの」ドキュメンタリーを作るのがうまい。いわゆる海外のドキュメンタリーもので、「いい出来だなぁ」と思うとBBC制作だったりする。名監督のケン・ラッセルもBBCドキュメンタリー出身だし。
 そういう伝統なのか、とにかく彼の場合、テンポの早いカット切り替えが見ている者をノセるのだ。その編集のセンスの良さが実に光ると思う。
 それでいて、肝心のブルーズとイギリスの関係とその歴史について、エリック・クラプトンやスティービー・ウィンウッドなどの有名ミュージシャン達多数とのインタビューで、とてもよく理解できるようになっているし、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、ヴァン・モリソン達によるスタジオ・ライブもかなり良くって、目が離せない構成になっていた。

 これは、ここまでの中で一番の出来かもしれない。出てくる人々が私もよく知っているロック・ミュージシャンが中心だったのも、すごく興味深かった要因だろう。

 驚いたのはエリック・クラプトンが非常に熱く「ブルーズと自分の歴史」を語っていることだ。そして、「音楽は私にとって『シリアス』なもの。常にシリアスなものなのだ。」とそれこそ「真剣」に答えていたことに心を打たれた。私は、現在のクラプトンの音楽があまり好きにはなれないが、とは言え、彼が60年代からずっと第一線で活躍できている秘密は、この真面目さなのではないか、と思う。
 だから、その時代時代に彼は自分の音楽とその周辺を取り巻く様々な物事について、ちゃんとよく考えていたに違いないと思った。そうでなければ、この映画の中でのように過去についてキチっと話をすることは出来ない。

 そして、この映画の結論として、アメリカ人が捨てた偉大な黒人文化をイギリス人が再認識し、本国に逆輸入したことで、アメリカ人はその素晴らしさをやっと理解した、となるのだった。(これはイギリス人特有の皮肉か?)
 それは終わり近くで、B・Bキングがインタビューで語った言葉が象徴的だ。
「もし、イギリス人がいなかったら、私は今でも『暗闇』だったろう。イギリス人よ、ありがとう。」
あのB・Bがここまで言うとは、かなりの驚きである。
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by harukko45 | 2006-01-12 00:25 | 映画・TV

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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