トロイ、アレキサンダー、キング・アーサー

 やっと、史劇映画3本見終わった。特に「アレキサンダー」は長かったなぁ。それと、やったら「血だらけ」だった。

 「アレキサンダー」はオリバー・ストーン監督のいつもながらの肩に力が入り過ぎた感じが、ずーっと映画を支配していて、大変疲れる。救いは主役のコリン・ファレルの熱演だ。彼がいるので最後まで見る事ができた。
 とにかく、これが現代風リアリズムなのか、要するに一切のロマンはない。映像は確かに迫力あるが、見終わった印象は、アレキサンダーという史上最大の狂人が神話の英雄に憧れて侵略と虐殺を繰り返した物語、というだけになってしまった。あまり意味のない冗長なシーンもあったりして緊張感がとぎれるし、物語の山場がはっきりしない編集がイマイチではないか?

 ただ、アレキサンダーの内面の描写はファレルの好演もあり、かなり深く(魔性の母の溺愛によって強度のマザコンとなり、男色となった若者として)エグっていたのは面白かった。が、結局「なぜ、彼はそこまでしてアジア(ペルシャ征服以後の東征)を目指さなければならなかったのか?」が見えてこない。王がさかんに言う「ヨーロッパとアジアの融合」という理想?永遠に歴史に名を残すためだけ?

 「トロイ」も負けずにリアルな戦闘シーンで迫力満点だ。だが、ホメロスの話とはだいぶ違うようだ。だいたい神や魔術がぜんぜん出てこない。あくまで人間としてのアキレスとトロイの物語であり、人間同士の殺し合いによるアクション映画だ。
 そういった意味の見せ場は多いし、メリハリもテンポも良かったし、マッチョなブラッド・ピットは予想以上に好演していたのだが、見終わって全然感動しないのが何とも。ポイントとなる恋沙汰(パリスとヘレネの不倫と駆け落ち、アキレスとパトロクロス、これは男同士ね。そしてアキレスとプリセイス、戦利品で妾となった敵の王の娘)のエグリが軽くって、それが国家同士、英雄同士の戦いに結びついていくところまで入り込めない。だいたいヘレネってもっと凄い(怖い)女性じゃなかったか?

 ウォルフガング・ピーターゼン監督は全体をまとめるのがうまいと思うが、じゃあ何が言いたいのか、が全然感じられなかった。セリフにある「愛のために戦う」がそうだったのなら、ちょっと違うんじゃない?

 人類ってやつは昔から、こういう血生臭い世界を神話化することで浄化し、そこから何らかの意味を学んできたんだろうが、今やこれらの題材もアクション戦争ものと変わらなくなったようだ。「ベン・ハー」や「スパルタカス」が懐かしい。

 で、「キング・アーサー」も「アーサー王と円卓の騎士」の物語ではなかった。こちらも伝説や神話は皆無だ。でも、映画の最初にそれは「ことわり」として明示された。それと1時間半程度で、意外にあっさりしたつくりだ。おまけに、たくさん殺し合うのだが「血」が描かれていないし、カリスマ性を持ったスターが一人も出ていない。
 だが、一番楽しめたかも。だって、まるで「七人の侍」だからだ。と思ったら、最初からそのつもりでアントワン・フークワ監督は作っていたのだった。

 私は黒沢作品をほとんど観ているので、そういう点で好感を持ったのかもしれない。映像的にも美しいし、巨匠的な風格があった。
 が、そのかわり人物描写は物足りない。アーサーもランスロットもトリスタンもこんな? 黒沢の7人の武士達はそれぞれ個性的だったけどなぁ。
 それと、「自由のため、自由のため」って言い過ぎ。ただただ「義と名誉のため」でいいじゃない。「愛だ、自由だ、平等だ」なんて主張するほうが違和感を感じるし、人間界すぎる発想で高貴さに欠けると思う。
 それからラストのハッピーエンドもいかにもハリウッド的な軽薄さで、残念。 
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by harukko45 | 2006-01-10 05:29 | 映画・TV

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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