フィール・ライク・ゴーイング・ホーム

e0093608_1611575.jpg マーティン・スコセッシ制作総指揮による「The BLUES Movie Project」は前半の4本を観た。3本目の「デビルズ・ファイヤー」はチャールス・バーネット監督自身の生い立ちをたどりながらブルーズの魅力を語っていくドラマ仕立ての映画だったが、ちょっとパーソナルすぎて、ブルーズそのものを期待していたので、いまいち共感できずに終わった。
 監督のナイーブな感性は随所に感じられたけど、それが「悪魔の音楽」としてのブルーズの根幹まで深まっていかないのが残念だった。


 一方4本目の「フィール・ライク・ゴーイング・ホーム」はスコセッシ自らが監督したもので、「さすが!」という仕上がり。名人はやはり映画作りがうまい、と感心した。正直、彼のある種の「強引さ」が時々見えるものの、最後には結局納得させられてしまうところがあって、こちらにちゃんと満足感を与えてくれる。

 内容は若手ブルーズマンのコーリー・ハリスがミシシッピのデルタから最後は西アフリカのマリにまで旅して、ブルーズのルーツを探るというもの。前半はブルーズ入門として最適なもので歴史上の名だたるブルーズメンの貴重な映像と音楽(サン・ハウスすげぇー!)がすごく楽しい。ただ、ここで実は表だってはブルーズメンの紹介しつつ、裏ではその当時名も知られる事のなかったブルーズメンを探し出しては、こつこつ録音していた白人ブルーズおたく(!)、ローマックス親子の功績も大いに称えているのだった。

 その後、オサー・ターナー達の素晴らしいファイフとドラムの音楽をきっかけに、映画は一気に単なるブルーズ入門ドキュメンタリーを越えて、アフリカへ「真理探求」の旅に出かける。
 この辺が監督の力技を感じさせるところで、多少独善的にも思えて一瞬引くのだが、この後登場するアフリカのミュージシャン達がまたまた素晴らしくって、どんどん引き込まれてしまうのだった。
 特にアリ・ファルカ・トゥーレは演奏だけでなく語りにおいても実に雄弁だった。おかげで、若きコーリー・ハリスはまるで巡礼者のよう。終わりが近づくにつれ、誇り高きアフリカ人芸術家に圧倒されて、真理を説く師の従順な弟子となったようだ。

 そして私は彼らをひどく羨ましく思った。彼らが関わる音楽にちゃんとルーツがあること。伝説と系譜があること。民族性が残っていること。それが誇りであり、時が経ち状況が変わろうが、「文化」は決して消えないということ。翻って、我々はどうだろう?
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by harukko45 | 2006-01-07 17:33 | 映画・TV

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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