デイヴィッド・ボウイ
2016年 01月 19日
私がボウイの音楽に出会ったのは遅く、デビューからジギー・スターダスト時代の彼には全く興味がなかったのだが、ボウイ・ファンの友人から「『Space Oddity』だけでも聴け」との言葉をきっかけに、一気にはまり込み、続いて「Aladdin Sane」に惚れ込んだ。マイク・ガーソンのピアノにもガツーンとやられた。
また、74年の「David Live」と75年の「Young Americans」では、当時まだそれほど有名ではなかったデイヴィッド・サンボーンを大々的にフィーチャアしていて、このサックス・プレイヤーに注目するきっかけになったし、今聴いても新鮮でユニークなボウイ流ソウル・ミュージック。
77年からのベルリン三部作は、かなり実験的な世界に踏み込みながら、根底にはポップ・ミュージックを忘れなかったギリギリ感と、インチキ臭さがたまらん。
で、カルト的な教祖さまで居続けるかと思いきや、83年の「Let's Dance」で世界的大ブレイク。MTV時代のボウイも文句なくカッコよかった。ここでも、スティーヴィー・レイボーンを大抜擢して、相変わらず才能あるミュージシャンを選ぶ、目利きの良さにも感心した。
21世紀になっても創作意欲は衰えず、2002年「Heathen」2003年「Reality」の素晴らしさには感嘆と、心から敬意の気持ちでいっぱいになった。
病気からの奇跡の復活と言えた2013年「The Next Day」のアグレッシブさにも驚かされたが、今回の新作で遺作となった「Blackstar」には、さらにさらに驚かされ、彼の飽くなき探究心と新しいものへのチャレンジ精神には、本当に感動した。それもただ挑戦しただけの問題作ではなく、結果として何度も聴き返したくなる魅力ある作品に仕上げたのだった。
そして、バック・ミュージシャンに起用されたニューヨークのジャズ・ミュージシャン達、ドニー・マッカスリンらの演奏も素晴らしい。
デイヴィッド・ボウイ、最後まで見事なキメ方に、もはや言葉はない。