ジョン・レノン・スーパーライヴ2013の詳細(7)

詳細(6)からの続き。

LOVE PSYCHDELICO/Glass Onion~I Am The Walrus

 2012年のスーパーライヴでのデリコとの"Kiss Kiss Kiss〜Cold Turkey"は本当に良かった。個人的にはベスト・アクトだったと思っている。彼らは、今回も2曲をメドレー形式でつなげるアレンジを考え、事前にデモを作ってくれた。Kumiさんの歌入り、ギターのダビングはもちろんのこと、何と、ドラム・ソロまで打ち込んであった!

 ここまで、きっちり作り込んでくれば、我々バンドの方も目指すものが見えるし、共感度も高まる。とは言え、全てをデモのままやったわけでなく、構成やグルーヴの方向性はデモに準じたものの、その他の上物の扱いやオリジナルにあるフレーズの選択はバンドに任せられた。ただ、使う楽器はシンセでなく、オルガンやピアノ、ギターで再現しようということだけ決めたのだった。そこはデリコらしい。Naokiくんはカラオケのようになることを嫌うのだった。

e0093608_1840312.jpg さて、「セイウチ」つながりの2曲は、ビートルズ中期におけるジョンの「ヘンな曲」メドレーとなった。68年の「ホワイト・アルバム」収録の"Glass Onion"は、「歌詞の意味を解読して、なんやかんやと言う連中をからかうために、わざと誤解しやすい歌詞を書いた」というジョンだったが、彼の意図とは逆に、「セイウチとはポールのことさ」というくだりが、「ポール死亡説」の根拠の一つになってしまったという迷曲。

 試行錯誤を繰り返した制作は、歌詞の"Fool On The Hill"部分にリコーダーを加え、エンディングにいろいろなSEを入れたりしたが、最終的にSEはボツになり、ジョージ・マーティンによるストリングスを入れて完成した。「Anthology 3」に入っている弾き語りによるデモを聞くと、もっといろいろと発展していきそうな期待感が膨らむのだが、残念ながらそうはならず「小さなセイウチ」程度に収まった。

 ジョンとしては、この1年前に録音した"I Am The Walrus"の出来があまりにも素晴らしかったので、「二匹目のドジョウ」を狙ったのだろうか。この曲はパロディなんだ、何から何までワザとやっているんだってことにしても良いが、ジョンの皮肉屋加減が効きすぎて、曲自体がウンザリしているようで、最後のストリングスの響きが実に空しい。
 おっと、それじゃお前はこの曲が嫌いなのか?と思うかもしれないが、実は大好きなのだ。リンゴとポールのリズム・セクションは相当良いし、リマスターのおかげでますますカッコ良く聴こえる。私は「ホワイト・アルバム」自体がすごく好きなので、"Dear Prudence"からの流れでの"Glass Onion"はサイコーなのである。少々、偏屈な言い方だが、"Glass Onion"は単独でどうのこうのではなく、あくまで「ホワイト・アルバム」の中で楽しみたい。

e0093608_18403232.jpg だが、"I Am The Walrus"は真の傑作、それも特大級の名作だろう。ジョン自身も満足していて、「100年後も通用する曲」と自負しているし、ジョンの最高作に上げるファンも多いに違いない。

 ジョンの場合、他にも落とせない傑作がずらりと並ぶので、「Walrus is No.1」とは言い切れないが、それにしても、これほどまでに聴き手の想像力・創造力を刺激する曲はなかなかないし、これほどまでにダビングしたオーケストラやSEが場所場所でピタっとキマッてる曲はないだろう。ほとんど奇跡ではないかと思うほどの素晴らしい仕上がりに、もはや言葉はない。

 同じサイケデリック曲の傑作として、メロディの親しみやすさとポップ感では"Strawberry Fields Forever"が上だが、全ての完成度の高さでは"Walrus"だと思う。ちなみに4人の一体感を取るなら"Rain"。

 さて、こんなに凄い曲に手を付けると、いろいろ大変ではあるが、ある瞬間から曲自体が演奏する者を導いて行く感覚になる。デリコとのセッションでもそうで、やはりどうしても外せないフレーズやサウンドがあり、それは自然に弾くようになり、それを加えると圧倒的に盛り上がり、曲への敬意も深まるのだった。

詳細(8)へ続く。
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by harukko45 | 2013-12-21 12:13 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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