安倍なつみ/"twinkle night live"の詳細(1)

 今月、東名阪3カ所で8公演を行った、安倍なつみさんのライブについて、セットメニューにそって振り返っていきます。

 まずは、今回のライブでは、ギターが久保田邦夫さんから黒沢和貴(カズ)さんに代わり、新たにヴァイオリンの雨宮麻未子(アメマ)さんを加えた5人編成になりました。経験豊富で頼りになる久保田くんが参加できなかったのは、とても残念でしたが、その分、若いエネルギーにあふれたカズとアメマの登場は、バンド全体に新鮮さをもたらしてくれ、素晴らしい音楽的成果を上げることになりました。
 これは、私にとっては思いがけない喜びであり、今回のメンバー・チョイスが大成功であったと言う事でもあります。
 また、私以外がなっちを含め、ほぼ同世代のミュージシャンがそろい、女性が4人になったことも大きいかも。それにより、私は一人オヤジ状況となりましたが、まぁそれも良し。若くイキのいいミュージシャン達の演奏や日々の振る舞い方に接するのも、すごく刺激的でありました。

 Opening Theme〜m1.ふるさと〜2.夕暮れ作戦会議

 今回の会場が「コットンクラブ」「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」「ブルーノート名古屋」と言う事で、そのイメージが全体に影響した構成になったようです。特に「コットンクラブ」と「ブルーノート名古屋」はステージに上がるのに、客席を通っていくので、バンドが先に演奏を始めて、なっちを呼び込むようなオープニング・テーマを作ることになりました。
 それと、ある程度「ジャズ」っぽいムードも取り入れて、とのこと。ギターのカズは、フュージョン系のテクニカルなギタリストでもあるので、ピタっとハマります。それと、アメマもポップス的なノリをちゃんと理解しているヴァイオリニストで、フレージングの一つ一つをグルーヴィに弾いてくれるので、本当にありがたかった。
 割とシンプルなブルーズっぽいインスト曲になりましたが、あまり「ジャズ」系に行き過ぎず、なっちのポップさとうまくリンクするように心がけました。なかなか良かったと思ってます。

 で、なっちがステージに上がって、おなじみの"ふるさと"へ。
 
 私やアサミンは、何度もやっている曲だけど、正直、今回の"ふるさと"はこれまでで一番の仕上がりと個人的にはかなり悦に入っています。ここでは、ヴァイオリンとシンセ、ギターとピアノ、ベースとヴァイオリン、といったそれぞれの関係性をうまく生かしながら、スタジオ版のおいしい部分をライブで十分に再現出来たと思いますし、ライブらしいダイナミクスに富んだパフォーマンスになりました。歌ものっけからビシっと来てたし。
 私は、なっちが"ふるさと"を歌うと、特別な感情がいつも沸き上がりますね。それから、コットンクラブの2日目には彼女のお母様がいらしていたので、さらに思いが詰まったものになりました。

 続けての"夕暮れ..."は一転してのロックですが、ジャズ〜バラード〜ロックと音楽のスタイルの違いを明確につけることも、今回のテーマでもありました。ライブハウスでは何より「音楽」「演奏」「歌」が中心になるのは当たり前なので、当然、それだけで楽しませるための頑張りや工夫は必要なのでした。
 ここでは、ハードなディストーション・ギターとヴァイオリンのからみが、70年代っぽくって面白かったし、私のキーボードもかなり歪んでいて、あの時代的。とは言え、実はこの曲はAメロの静かな部分が一番カッコいいところで、ほぼベースのグルーヴだけで歌が乗っかるのが良いのです。

 m3.ヴァンサンク〜4.I'm In Love〜5.息を重ねましょう

 続くコーナーは、今回の中でもバンド的には一番難しい部分。"ヴァンサンク"には「27」バージョン」もあって、そっちの方がやりやすい部分もあるのですが、自分が聴き手として、どっちが好きかと言えば、圧倒的に「25」。それに、ちょっと室内楽的・サロン的なムードのある「25」が会場の雰囲気にも合うと思いました。ただし、イントロはカットしてボーカルから入るのは「27」の形。
 スタジオ版のフルートやストリングスがやっている部分をピアノとヴァイオリンに移し、ガット・ギターでさりげなく色づけをしてもらいました。曲自体はシンプルながら、コード使いがジャズ的で複雑なので、なかなかやっかいな所も多いのですが、大阪あたりから全員の固さが取れて、すごく良くなりました。

 "I'm In Love"は当初、"ヴァンサンク"からの流れでアコースティックっぽいニュアンス、あるいはフォーク的なアプローチにしようかと考えたのですが、リハーサルでやっているうちに変化してきて、スタジオ版のAOR的なノリも取り入れつつ、ギターもエレキにすることになりました。
 なので、最初のアイデアとは違うものの、元々、私にはこの曲が70年代の名ポップ・ロック・バンドであった「Three Dog Night」の大ヒット"An Old Fashioned Love Song"を思い起こさせるものだったので、結果として、そっち方面のサウンドでまとまったのは、ちょっとうれしかったです。

 歌とともに主要なパートは、ほとんどヴァイオリンに任せましたが、アメマは実に素敵な表情を出してくれて、よく歌ってくれました。なっちのボーカルを引き立たせたり、からんだりする差し引きも的確で、本当に素晴らしかった。

 続けた"イキカサ"はファンにはすっかりおなじみの定番曲。だから、いろいろなアレンジでやることも多い曲の一つ。それだけ、曲としてよく出来ているから、どうアレンジを変えても成立するということです。
 とは言え、「今回はジャズ風に」との注文があり、実はちょっと不安でもありました。そもそもメロディのノリ方が違ってくるからです。なのでこれは、なっちが登場して合わせるまで、どうなるかはわかりませんでした。しかし、勘のいい彼女はすぐにノリを理解してくれました。ミュージシャン的には「ハネる」って言っている感じです。

 この曲のサビはどう転んでも、パーっと広がっていく作りになっているので、そこまでの部分で、ジャズ的なオシャレ感とか、大人っぽさが作れれば御の字でした。
 ここでは、私、ナカムラ、アサミンの3人がうまく「それっぽさ」を出さないといけないのでした。アサミンはブラシとスティックを持ち替えたりして、器用さも見せてくれましたし、ショーコちゃんは元々いいグルーヴを持っているのと、どんどんトライしてくる姿勢が楽しいのです。

 それで正直、リハよりも本番の方がうまくいったと思いました。常日頃、ジャズって「ムード」が大事なんだと考えていましたが、やはり、実際にそういう空間でそういう気持ちでやると、ちゃんと「ムード」が生まれるのでした。リハでは、うまくまとまっていても、あと一つ足りないものは、その「ムード」だったわけです。

 途中で、メンバー紹介も含めたソロ回しもあり、ファンの皆さんの手拍子なんかも効果的で、すごく楽しい仕上がりになりました。
 で、個人的なイメージでは、このジャズ・バージョンは夢の中の世界の出来事で、楽しい夢が終わって目覚めたら、オルゴールみたいにエンディングのメロディが聞こえる、って感じにしたかったのでした。まぁまぁ、そういう雰囲気(twinkle,twinkle...)には近かったかな、とは思っています。

(2)へ続く。
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by harukko45 | 2013-03-31 17:37 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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