水越けいこ/名古屋ムジカ(3)

(2)からの続き。

 m8.Throw A Kiss〜9.モナムール〜10.Loneliness and Blue

e0093608_6421936.jpg ライブの後半戦は、8ビート系のオリジナル3曲つなぎ。まずは89年「Dramatically」のm8は爽やかな80年代ロックなんだけど、間奏に妖しげな仕掛けが来るのが、この当時っぽい。ヘンっていやぁヘンなんですけど、これで良いって言えばこれで良い(何じゃ?)。
 とにかく、ここの部分は演奏してると順当な流れで行かないから、かなり意識して立ち向かっていかないと見失う危険があるのです。この曲以外でもアルバムでは、森園勝敏さんが個性的なサウンド・メイクしているのが耳に残ります。なので、やっぱりギターが欲しい。

e0093608_2310161.jpg ヘンさ加減では、小島良喜さんのm9も負けてない、というか、これはかなりカッコイイでしょ。テクノ・ポップっぽいニュアンスとジャズ・フュージョンぽさが、ビミョーなスレスレ感でミックスされていて、間奏のジェフ・バクスターみたいなギター・ソロもいい。イントロの大げささ加減もゲセワで大変よろしい。
 そして何より、サビのシンセによるバッキングがすごく気持ちいい。この部分のグッド・アレンジさ加減は演奏してみて、より実感できるのです。それらの上に乗っかるボーカルが、全く別次元でフワフワと漂っている感じになっているのがミソで、タイトルのイメージどおり「フランス」風。ただし、この当時の打ち込みリズムはタイトすぎるので、よりエスプリを効かせるには、今なら少しチープなリズム・トラックにしてるかな。
 と、そんな事を考えながら、ピアノとアコギだけで頑張るのはなかなか楽しいです。ひょっとしたら、少ない人数だからこそ、その良さが見えてくることもありますから。

e0093608_1149691.jpg このコーナーの最後は、ライブではおなじみのm10。前の曲のインパクトが強いので、最初はバラード風に静かに始めて、じょじょにリズムを強調するようにしてみました。哀愁感あるサビがとても印象的なので、あまり小細工せずに流れに任せればうまくいく曲です。そうしていると、前の2曲よりも淡々としたニュアンスになるのが面白かったです。

 m11.ゆるやかな時間〜12.ゆれて二人〜13.apartment

e0093608_2310161.jpg 森さんが下がって、再び、私とけいこさんのみでの3曲で、濃いめの内容を持ったものが並びました。最初に、今回のメニューのキーは「Proportion」の曲だと書きましたが、その3曲目である"ゆるやかな時間"は、ライブでやるのは初めてでしたが、実にやりがいのある曲で、自然と集中力が高まる感じでした。けいこさんが父上に捧げた曲とのことですが、それに相応しい深みがあり、幻想的なムードに包まれていて、とても好きです。
 スタジオ・バージョンはサビでドラムとベースが入ってきてロックぽくなるのですが、今回のようにリズムがない方が、幻想性が壊れないで良いと思いましたし、全体に曲を支えているアルペジオもシンセでの打ち込みよりもピアノ一色で弾いたことで、少しクラシカルな感じにもなったと思います。

e0093608_9321461.jpg "ゆるやかな時間"の余韻が残っているところで、"ゆれて二人"につないでみました。この曲は本当に名曲で大好きです。まず詞が最高です。完璧と言ってもいいでしょう。この歌詞の中の恋の行方は果たしてどうなるのか、ものすごく気になります。こんなにも幸せそうな二人なのに、どことなく悲恋の香りもするではありませんか。もしくは、女性の妄想、夢の世界にも思えるし。それでいて、ちょっとした描写が細やかでリアリティを感じます。そして上品にセクシーなのです。
 メロディもこの歌詞によく合っていて、聴き手に言葉がすんなり入っていくスムースさがあります。全体に、歌謡曲的なのが良いのです。サトジュンさんのアレンジはムーディですが、ちゃんと洗練されていて、とてもセンスが良いです。なので、ピアノ一本でも最大限の効果を出さなければならないと強く思います。
 基本的にはボサ・ロック風なのですが、Bメロの部分では2コーラス共に、歌詞とメロディがダンスを強く想起させるので、思わずこちらのバッキングもよりラテン色が強くなります。でも、それも自然に導かれるように変化していくのは、曲自体に強さがあるからです。
 もちろん、「く〜たまらん」リストの上位にランク・インです。

e0093608_22414119.jpg 94年の「The Sketch Of A Woman」に入っている"apartment"もなかなか深みのある曲で、ちょっと映画的でストーリー性がある歌詞が素敵なのと、シンプルながら前向きなムードを感じさせる、塩次伸二さんのアレンジに好感を持ちます。それに彼のギターの音色とプレイが実に良いです。それは、このアルバム全体に言えるのです。
 同じ8ビートの刻みによるロックでも、80年代の楽曲とはムードが全然違うのも面白い。とてもシブめなのですが、それがカッコイイです。

(4)に続く。
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by harukko45 | 2013-02-07 22:39 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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