水越けいこ/名古屋ムジカ(1)

 一昨日、昨日と2日間に渡った水越けいこさんとの名古屋ライブ・ツアー、無事に終了しました。お越し下さったファンの皆様には厚く熱く御礼申し上げます。そのおかげもあって、先月19日の江古田マーキーと同じセットによるワンマン・ライブであった1日と、地元・名古屋のミュージシャン、アーティスト達とのジョイント・ライブだった2日の両日ともに、満足の行く内容でやれたと思っています。
 また、名古屋でのライブでは毎回お世話になっているヤイリギターの松尾さん、それに「New✩StarRing」のtokuxuさんとsakkoさんのお二人に大感謝です。こういう方々に支えられての我々ですから、本当に幸せ者です。

 さて、ここでは江古田と名古屋初日でのセットにそって、今回のライブについて書いていきます。いつものようにかなり自分本位な私見をダラダラと書くのみですが。

 m1.飛べるかもしれない〜2.朝やけのメモランダム

e0093608_2310161.jpg オープニング曲となったm1は87年の「Proportion」からですが、今回はこのアルバムから3曲選ばれました。けいこさんが意識していたのかどうかは不明ですが、セット・メニューのポイントとなる部分に「Proportion」からの曲が配置されて、重要な役回りを担っていたのは確かだったと思います。
 アルバムでも1曲目だった"飛べるかも..."は、スケールの大きな曲調と80年代の明るい色彩を持っているので、歌詞の「かもしれない」はあくまで前向きにとらえるべきでしょう。ボーカリストにとっては、サビをビシっと張って歌い切らないといけないので、1曲目からプレッシャーがかかると思いますが、そのバックをするものにとっては堂々と真っ向勝負な感じが実に気持ちいいのでした。
 この曲に関しては、あまりオリジナル版を意識せずに、かなり感覚的なアプローチでやっています。元のアレンジにこだわりすぎると、小さくまとまってしまう危険があるように感じます。だから、毎回微妙に変わってしまうのですが、それも二人だけのライブらしくて面白いと思います。

e0093608_074836.jpg m2は実に不思議な曲。初めて聴いた時は普通に思えたんだけど、演奏している時にすごく「不健康感」を感じたんですなぁ。で、もう一度CDを聴き直してみると、おお、やっぱり普通じゃない。どこから、この不思議さが生まれるのかも不思議なんだけど、サトジュンさんのアレンジはさほどヘンじゃないので、これは歌詞の妖しさとけいこさんの声による惑わしによるものと思うのです。

 詞だけを読むとタイトル通り「メモ書き」のごとく、その場の状況や印象を表す言葉やフレーズが並んでいるんだけど、それがきちんと筋が通るような文章にはなっていない。だが、そのつながっていない隙間に、複雑な感情が横たわっているのでは?そうやっていろいろと想像力を働かせて行くと、どんどんこの曲が官能的に思えてくる。
 だから、淡々としたAメロでのThe Police風なアレンジが、曲にうまく絡んでいるのだなぁ、と思え、何とも言えない気怠さが心地よく感じるようになるわけで。ただし、この部分を演奏している時は、じーっと耐え忍ぶようにキープしていくので、苦行でもあります。その分、Bメロでのちょっとした開放感がうれしいものの、その後も随所に扱いが難しい部分が登場するので、なかなか気が抜けない楽曲。とは言え、私の「くー、たまらん」リストに入る曲であることは間違いないです。

 m3.My Guy〜4.ミラクル・タウンへ(幸せを戻すために)〜5.さよならは本気じゃないの

e0093608_11154334.jpg "My Guy"はちょっとハードボイルド系な男性を想像しちゃいます。アルバム「Actress」は全体に映画や演劇的な要素がベースにあって、架空のイメージが各曲に設定されていたように思います。さて、この曲をピアノだけでやると、かなり酒場っぽいイメージが強くなったかも。おっと、それは奏者の趣味嗜好に関わることかな。


e0093608_1837214.jpg 続けてのm4は初めてやりました。90年の「Sepia」は全曲アレンジを小島良喜さんが担当していて、アルバム全体のトータル性を感じます。それがタイトルの「セピア」に象徴されているのでしょう。
 そのラストに置かれた"ミラクル・タウン"は曲名のSF的なイメージとは違う静謐で幻想的な世界観を持つ曲で、小島さんの自由で卓越したキーボード・プレイに惹き込まれました。なので、彼の美味しい演奏部分を大いに参考にしています。元々、キーボードとボーカルのみで十分成立しているので、他に余計なものは入らないのでした。

e0093608_117441.jpg そして、3曲つなぎのラストで、前半戦の締めくくりが、今回の中での一番の難曲"さよならは本気じゃないの"。92年の「Precious」収録で、アレンジャーは山川恵津子さん。彼女はプロ中のプロと言える人で、まさに「出来る」人であります。だから、仕上がりがどれも良い。「Precious」に入っているもう1曲、"第二章"の方も完成度が高い。
 なので、どこもかしこもちゃんとやらないと良さが生きない感じがするわけで、どうしても、いろんなところを再現しないとならない気分になるのでした。だから、ピアノだけでやるのは大忙し。多少無理があっても今回はとにかくやり遂げることにしました。
 ただし、「水越けいこ」という方向から見ると、"第二章"も"さよなら..."も「っぽくない」と感じる部分があります。それもそのはずで、"さよなら..."の作曲はけいこさんじゃないし、"第二章"は来生兄弟による作詞曲ですから。
 なので、「既製服を着た」けいこさん的な印象がどうしても残るんです。ならば、デビュー当時の伊藤薫さんの曲にそれを感じるかというと、そうじゃない。こちらはちゃんとフィットしてる、オートクチュールなんです。だからこそ、余計にちゃんとその通りに弾くって気分が強くなったのかな。結局、そのためにずいぶん時間を割いたのでした。まぁ、本番では何とかうまくやり切れたと思いますが、少し自己満足的だったかもしれません。

 (2)へ続く。
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by harukko45 | 2013-02-04 01:14 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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