ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012の詳細(10)

(9)からの続き。

 宮田和弥さんと奥田民生さんのコラボで Come Together、奥田さんとの Girl

 ジュンスカとユニコーンは、80年代後半から90年代に日本のロックシーンを牽引した両雄。そのメイン・アクター同士の共演というのは実にワクワクした。ただ、リハはあっという間に終わるだろうな、と予測していた。二人ともベテランだし気心知れた仲、四の五の言わずにパッとやって、「後は本番で」ってなるのは目に見えてた。
 で、その通りになった。奥田さんがスタジオに着くや否や、宮田さんとの簡単な打ち合わせがあって、すぐに宮田さんがカウント。後はみんな知ってる"Come Together"である。1回やってみて、歌い分けの確認をし、先発をどちらにするかをジャンケンで決めて、さあ、もう一度。ということで「本番よろしく」。あっという間にコラボ・コーナーのリハは終了した。

e0093608_1835743.jpg 事前に、宮田さんからの要望があり「"Come Together"はニューヨークでのライブ・バージョンで」とのことだった。「Abbey Road」との大きな違いは、キーがDからEに上がっていること。どうしてライブでキーを上げたのかは不明だが、よりロック感を出したかったのかも。それによって、全体の音楽的温度は明らかに上がっているし、ヘビーなムードもかっこいい。ただし、サビでのジョンは高い音がちゃんと出ていない。
 宮田さんは、ライブでのジョンの熱さを再現したくて、あえてこのテイクを指定してきたようだ。我々もそのことは容易に理解出来たし、コンサートの後半部であることからもバッチリな提案だった。それに、宮田・奥田両名とも、キーが上がってもサビを問題なく歌い切ってくれていた。

 間奏、エンディングでは宮田さん曰く「奥田君の唸るエピフォンソロ」が本当にサイコーで、大いに盛り上がった。スタジオ版はクールの極みみたいでシビレるが、なるほど、ライブではこっちの方が燃えるわい。ジョンは正しい。

 宮田和弥さんを送り出し、一人奥田さんが残って、もう1曲。「みんな盛り上がってくれたのに、次はすごく暗い曲。Cマイナーですから、こんな響き。」と自らCmのコードを鳴らして、会場大爆笑。「なので、座って聴いてください」という流れから、"Girl"。

e0093608_18381254.jpg 名作「Rubber Soul」は65年10月半ばからレコーディングが開始され、12月3日の発売されるという、信じられないスケジュールで制作された。わずか1ヶ月足らずで全てを仕上げたにもかかわらず、傑作・名曲がズラリと並び、アルバムとしてのトータル性もあり、ビートルズの音楽が一躍「アート」の世界に踏み込んだ記念碑的作品と言える。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがこれを聴いてショックを受けたというのも、すごく理解できるし、これによりブライアンは「Pet Sounds」に着手するのだから、素敵じゃないか!
 ここから、ビートルズ対ビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)のハイ・レベルなアルバム対決が始まるわけだ。

e0093608_16223654.jpg "Girl"はもちろん傑作の一つ。まずは、全体のけだるいムードが最高であり、ジョンの語りかけてくるようなボーカルが絶妙で素晴らしい。12弦ギターを使った地中海風のフレージングもいい。バック・コーラスの「tit,tit,tit...」は「おっぱい」と「バカ者」の両説があるらしいが、いたずらっぽく聴き手を煙に撒くジョンならでは。有名な「吸い込み音」も実に効果的で、「ったく、女ってやつは...」と嘆いた後に一服でキマリだ。
 さらに彼が"Woman"を発表した際に、「ビートルズ時代に作った"Girl"の1980年版だよ」と語っていること。そうなると、"Woman"のフェミニスト・ジョンにはますます裏がありそうな気配だな、うーん面白い。

 と、いろいろと話は広がってしまうが、とにかく、この曲は何回やっても楽しくて楽しくてしょうがない。演奏される楽器は少ないが、全てに意味があるので、緊張感はピンと保たれる。「tit,tit」コーラスは途中で息切れして苦しいが、それでも幸せを感じる。そこから解放されて「グァ〜ア〜ル」とハモるところなどは、まさに失神ものの気持ちよさだ。わずか2分半程度でありながら、極めて充足した気分で満たされ、なおかつ中毒性もある、とんでもない曲だった。

(11)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-11 16:25 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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