ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012の詳細(9)

(8)からの続き。

 宮田和弥さんを迎えて Across The Universe

 JUN SKY WALKER(S)の宮田和弥さんは、かなりのビートルズ者であるのに、このイベントは初登場とは何と惜しまれることだったか。が、ようやく今回実現したことは、イベント全体を成功に導く大きな要素だったと思う。やはり、彼のような実力あるアーティストが加わってくれると音楽的なレベル・アップにつながるからだ。

e0093608_1717437.jpge0093608_1717963.jpge0093608_17172184.jpg 宮田さんの選んだ曲は"Across The Universe"。ジョンの作品の中でもかなりの有名曲の一つ。ジョン自身も「本当に良い歌は、メロディーがなくても歌詞だけでその価値を見出せる歌であり、それに該当する曲こそが、アクロス・ザ・ユニバースである」と語るほどの自信作だ。しかし彼は、この曲をビートルズとして満足いく仕上がりにすることは出来なかった。それは、いくつもある別バージョン、リミックス、「ゲット・バック・セッション」でのリハーサル・テイクを聴けば分かる。

e0093608_1717268.jpg あえて、その中での一番を上げろと言われれば、「Anthology 2」に収録された"Take 2"となる。結局のところ、弾き語りに近いシンプルな形(ジョンのアコギ、ジョージのシタールとタンブーラ、リンゴのマラカス)が最上と言う事は、その後のアレンジがどれも失敗であったことを物語る。

 ジョンはビートルズでの完成を放棄(?)したが、前述した彼の言葉の通り「良い歌」であるが故に、数多くのカヴァーを生むことになった。デイビット・ボウイからルーファス・ウェインライトに至るまで、最近では不動産会社のCM、などなど。私はフィオナ・アップルのバージョンが大好きだったし、曲の核心をついている気がする。
 スーパー・ライヴでもこれまでに何度か取り上げてきたが、正直、ビートルズそのままの形では、いまいちステージ向きではないと感じていた。なので、何らかの手を加える必要があり、幻想的で宇宙的に膨張していくようなイメージと、バンドっぽいグルーヴ感を合体させたかった。

e0093608_1794279.jpg そんな中、2011年4月に"Across The Universe"が元オアシスのリアム・ギャラガーのBeady Eyeによって、東日本大震災復興支援チャリティーシングルとしてリリースされた。いち早く、日本のために支援活動をしてくれた彼らに感謝したいと同時に、その出来の良さにとても感銘したのだった。なので今回、宮田さんをボーカルに迎える幸運もあり、是非この「Beady Eye」バージョンでやってみたいと強く思うに至った。
 「Beady Eye」バージョンは、とてもオーソドックスなカヴァーであることに好感するし、ビートルズがループ・トップ・コンサートでこの曲をやっていたら、こんな風になったのではと思わせる。それでいて、現代のバンドらしいタイトさがあって、「今」を感じさせてくれるのだった。

 個人的には、これまでで一番納得のいく"Across The Universe"になった。それはBeady Eyeのアレンジ力が大きいが、宮田さんも頭を弾き語り風にするなど、随所に即興的なアイデアを盛り込んでくれたのもすごく良かった。また、武道館という空間で演奏すると、ますますこの曲のデカさを実感できるようになり、ちょっとしたトランス状態になっているようでもあった。特にエンディングの「Jai guru deva om」は、まさにマントラ唱和の世界だったか。

(10)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-09 22:49 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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