ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012の詳細(8)

(7)からの続き。

 吉井和哉さん、斉藤和義さんについて

 吉井和哉さんは今回、原点に立ち返りたいとのことで、あえてシンプルにピアノとご本人のギターでのパフォーマンスとなった。ずっと一緒にやっていたので、とても残念ではあったが、これもまた、イベント自体の鮮度を保つためには大事なことだったと思う。

e0093608_1653739.jpg 彼が選んだ1曲目は"Walking Class Hero"、これに吉井さんの日本語詞がついた。うーん、この歌が良かった。楽屋でモニターから観ていても、すーっと惹き込まれてしまった。やっぱり彼のステージングは綺麗だな、とも思った。それは、他の日本人アーティストではなかなか見つけ出せないものだと感じる。2009年の泉谷しげるさんの「激烈」さとは真逆の静けさと寂しさが、やけに心にしみた。

 2曲目にはまさに原点と呼ぶにふさわしい、吉井"Help!"。これは、バンドで何度もやってきたバージョンだが、こうしてピアノのみで聴くと、なるほど、最初に渡されたデモはこんな感じだったと思い出した。まさに、私も原点を見直すことが出来た気分だったし、彼の"Help!"がとても新鮮に響いて心地よかった。

 吉井さんは「次は一緒にやりましょう」と言っていたそうだ。こちらとしても是非にお願いしたいし、楽しみに待ちたい。

 斉藤和義さんはこの時、弾き語りによるツアーの真っ最中であり、我々とリハができる状況ではなかった。ただ、1曲だけバンドと一緒にとの話もあり、こちらとしては本番当日に合わせるのでも良かったのだが、残念ながらかなわなかった。
 とは言え、彼の弾き語りはとても魅力的だ。なので、これを聴けるのは楽しみでもあるわけで、ちょっと複雑な気分。

 1曲目は忌野清志郎バージョンの"Imagine"。清志郎さんの日本語詞による"Imagine"は人気曲で、これまでにも何人かのアーティストが歌っている。で、「やりたい曲は、いつも誰かに取られてしまう」とは、ご本人の弁だ。ようやく今回は彼がゲットしたわけだが、この日のパフォーマンスを観て、清志郎さんの跡を継ぐのは和義さん、と強く思った。本当に乗り移っているのでは、と感じられるような瞬間がいくつもあり、目と耳が釘付けになってしまった。ふー。

e0093608_16101015.jpg ひょっとしたらバンドと一緒に、と最後まで悩んでいたという2曲目の題名を聞いた時、何としてでも実現させれば良かったと後悔した。「A Hard Day's Night」のラストを飾る"I'll Be Back"だったからだ。

 正直、多くの音楽ファン、そしてアーティストの皆さんも、もっとジョン・レノンの書いた名曲を聴いてほしい、自分で探して見つけ出してほしい、と思う。特に、初期のビートルズにおける素晴らしい楽曲は、不当にも忘れられている傾向にある。
 「A Hard Day's Night」は、ビートルズが全曲オリジナルでリリースした初めてのアルバムで、13曲中10曲がジョンの作、それも傑作がずらり。言わずもがなのタイトル曲から"I Shoud Have Known Better""If I Fell"の3連発、A面では"Tell Me Why"もある。B面は完全にジョンの独壇場で、ポールの"Things We Said Today"も悪くないんだが、ジョンの勢いに圧倒されて、かなりかすむ。よって、飛ばしてもいい。そんな流れで"Any Time At All"から一気に聴けってぇの!これが後世「パワーポップ」と呼ばれるジャンルの原点であり、これ以上のパワーポップはない。そして、最高のジョン・レノンが炸裂しているのだ。まだまだ宝物はたくさん眠っている。
 
 "I'll Be Back"はメジャーとマイナーを使い分けたり、1コーラスと2コーラスで違う展開をみせる凝った作りで、いかにもジョンらしい。歌詞は、つきあっていた女に呆れて別れようとするも、未練たらたらで「戻ってきてしまうだろうな」というもの。だが実は、長らく行方不明だった父親と1964年に再会したときのことを元にしたとのことである。
 その辺の話も興味深いが、歌詞よりもここでは、アコースティックによるアレンジがオシャレなのと、3人のハーモニーが気持ちいいサビがサイコーなのだ、に尽きる。
 ポールも曲作りにはかなり貢献したらしいが、彼らがいろいろと試行錯誤して完成させていった過程を今は"Anthology 1"で確認できるのは実に楽しい。


 ワルツで試している"Take2"は「It's too hard to sing」ってことでボツ。で、8ビートにしたエレキ・バージョンの"Take3"、どっちも面白いけどね。

 さて、スーパー・ライヴでは、今回大活躍のRoyくんを迎えて、斉藤さんとの即席デュオでのバージョンとなった。かなり異色の組み合わせだったけど、Royくん、なかなか健闘しておりましたな。でも、やっぱりバンドでやりたかった!

(9)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-07 18:32 | 音楽の仕事

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