ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012の詳細(4)
2012年 12月 31日
藤巻亮太さんを迎えて Stand By Me〜Oh My Love
レミオロメンの藤巻さんが来てくれたのは、とてもうれしかった。私は彼らの"粉雪"が好きなのだ。あの劇的なサビをシャウトする彼はタマランよ、だいたいその歌詞が「コナーッ!ユキーッ!!」なんだからシビレル。
それと、当初は"Happiness Is A Warm Gun"も選曲候補に上がっていて、これはこれは、バンド的には毎日練習しちゃうよ!って感じで、秘かに秘かにかなり盛り上がっておりました。残念ながら"Happiness"はもれてしまったが、それでも彼のような若いロック・ミュージシャンが参加してくれることは大いに喜ばしい。
藤巻さんの1曲目が"Stand By Me"だったのは、ちょっと意外だった。それに、初めてお会いしてみると、ずいぶん柔らかい感じで、こちらが勝手にストイックな印象を強く持ちすぎていたのが間違いだった。
で、とにかく、彼のギターのカッティングで始めたかったので、これは是非にとお願いした。歌い始めるとすごく爽やかな声に一瞬驚くものの、そうか、これが彼の本質だったのかもしれないと思うようになった。
彼が来る前のリハでは、ある程度レミオ的な要素を意識して、普段この曲をやる時よりもアグレッシヴに、ちょっと硬質的なイメージで演奏していたのだが、実際にはもっとオープンで広がりのあるサウンドでよかったのだ。つまり、いつもの感じでバッチリはまるってこと。
さて、ここでは我がバンドを賞賛したい。特にギター二人の絡みは最高だった。土屋さんのワウワウから、ちょっと歪みを強くしたフィル・イン、長田くんのキレのいいカッティングと、間奏でのボトルネックは、どちらも素晴らしかった。また、ピアノとオルガンでのガッチリしたバッキングは、ボーカルとギター陣に広大なフィールドを提供していた。
私としては、これまでで最高の"Stand By Me"であったと自負したい。
続いての"Oh My Love"も、前曲同様にこのイベントでよく取り上げられる曲の一つ。美しいバラードというだけでなく、東洋的なニュアンスをもつメロディが、日本人アーティスト達のハートを揺さぶるのだろうか。
東洋的なのはメロディだけでなく、愛と悟り、悲しみと諦観を隠喩的に語る歌詞(オノ・ヨーコ作)にも見られる一方、静かで美しいバックのサウンドは、時にヨーロッパ宮廷音楽風の気品と厳格さを感じさせる。ジョージ・ハリスンのギター、ジョンとニッキー・ポプキンスのピアノ、クラウス・フォアマンのベース、どのプレイも意味深い。なので、やはり細部にこだわった取り組みになってくる。
2年前に元ケミストリーの堂珍嘉邦さんとやった時の感じをベースにしながら、今回はより熟れた形を目指し、最後に藤巻さんのボーカルと交えることで、理想に近いもの仕上がったと思う。
再び自画自賛で恐縮だが、この曲では、二人のキーボードの絶妙な絡みと、バランス感覚の良さを讃えたい。イントロでの十川さんのピアノは、凛とした弾き方と具合のいいディレイ感が素晴らしく、歌始まりからは、高音中心に深めのリバーブで響くもう一台のピアノを弾く私とのコンビネーションが実に美しかった。
前の曲とは逆に、ギター陣はバッキングに徹し、長田くんの渋めのエレキと土屋さんのアコギは決して出しゃばらない。ベースの押葉君は、クラウスさん直伝の奏法なのか、スタジオ・テイクに残された不思議なラインを見事に再現してくれた。
もう一つ、かなり隠し味的だが、サビで鳴らされる「チーン」というベル、これも無いと困るほど印象的。もちろん、古田くんは十分承知していた。
(5)へ続く。