ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012の詳細(2)

(1)からの続き

 Royさん(The Bawdies)を迎えて Dizzy Miss Lizzy〜All I've Got To Do

 毎年、オープニングには何人かのアーティストに参加してもらい、その年のテーマに沿ったジョン・レノン作品を演奏しており、ここ数年は奥田民生、吉井和哉&斉藤和義によるコラボが定番化していた。だが、今年は一切なし。したがって、トップバッターのRoyくんは、いきなりの大役となった。が、彼は昨年のスーパー・ライヴでのパフォーマンスで、観客席だけでなく、同じステージ上の我々バンドをも魅了して、その実力を示してくれたので、全く心配していなかった。
 それよりも、プロデューサーのNaokiくん(Love Psychedelico)のヘッド・アレンジによるいろいろな変更の方が心配(?)。

e0093608_16131353.jpg まず1曲目はラリー・ウィリアムズ作の"Dizzy Miss Lizzy"。ラリー・ウィリアムズはジョンの敬愛するロックンローラーで、ビートルズとして"Dizzy"以外にも"Slow Down""Bad Boy"と3曲も取り上げている。また、75年リリースの「Rock 'N' Roll」でも"Bony Moronie"を大胆なスロー・ ブギーにしてカヴァーしている。

e0093608_1372177.jpge0093608_16151359.jpg ジョンが惚れ込むだけあって、確かに彼の曲はカッコイイのだ。正直、"Dizzy"に関しては、オリジナルの方がしびれる。ビートルズはキメのギター・リフを延々とリピートしていて、ちょっと飽きるが、オリジナルはイントロと間奏のみで、アレンジのバランスがいいし、ラリー自身が弾くピアノがグルーヴィでサイコーなのだ。ポールもHohnerのPianetで頑張っているが、これはさすがにかなわない。とは言え、サウンド全体にビートルズ特有の洗練さがあることも確か。
 この曲と同じ日(65年5月10日)に録音された"Bad Boy"の方は、圧倒的にビートルズに軍配。それに、ジョンのボーカルは完全にラリーを上回る。

 ちなみに、"Dizzy"はオリジナルがB♭で、ビートルズはA。また、ギター・リフをビートルズはドミナントのところだけ、着地音が2度に行っているが、オリジナルは全て同じ(ルート音)でつっぱっていた。最初、Naoki君はこのパターンで弾いていて、私はビートルズの方しか知らなかったので、フレージングを直してもらったのだが、あらためてラリー版を聴いたら、最初の方でも正解だったわけだ。

 さて、ともかく。Naokiアレンジでは、オープニングということもあり、より積極的に観客へのアプローチするために、いろいろな仕掛けがどんどん加わったのと、基本的なグルーヴ感も60年代メンフィス風に変わっていったので、前述のギター・リフ以外ではビートルズ色は無くなった。だがその分、Roy君のキャラにはピタっとはまったと思うし、「会場の温度を上げる」というNaoki君の意図は明確に伝わった。

e0093608_13452875.jpg 続く、"All I've Got To Do"は、ビートルズの2nd「With The Beatles」に収録されていて、当時のジョンのR&B好みが反映された曲。本人曰く「もう一度スモーキー・ロビンソンに挑戦してみたんだ」は、同アルバムに入っている"You Really Got A Hold On Me"(63年7月18日録音)に続いて(同年9月11日録音)、ということだろう。いずれにしろ、かなり「それ」っぽい仕上がりに、「R&B曲のカヴァーでは」とも思える瞬間も。ここではジョンのソウル・シンガーとしての色っぽさに惚れ惚れしつつ、ポールのコード弾きベースにもしびれる。
 「With The Beatles」は、彼らのアルバムの中で一番「黒い」とされていて、ファーストでのカヴァー曲とともに黒人アーティスト達の作品を積極的に白人社会に紹介した功績は大きい。また、ライブっぽい荒さが魅力だったファーストから、わずか数ヵ月後のレコーディングで、オリジナル曲の質、サウンド作り、ジャケット・デザインに至るまで、格段の洗練と落ち着きを獲得していることに驚く。単に、飽きが来ないという点でも名作に違いない。

 さて、今回のNaokiアレンジでは、あえてアコギだけで始めて、Roy君のボーカルを際立たせるのが狙い。それを後半にも持ってきてライブっぽくサイズを長くした。元々、ソウルフルな曲調だけに、Roy君は実に気持ち良さそうに歌ってましたな。個人的には、サビに入ってるポールとジョージによる「アー」コーラスが好きで、それを歌えたのが至福の喜びでありました。
 この2曲に関しては、リハ後にあらためて譜面に書いて整理し、バンドだけでも練習を重ねた。それによって、我々自身の演奏もよりグルーヴィになったと思う。

(3)に続く。
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by harukko45 | 2012-12-28 14:27 | 音楽の仕事

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