水越けいこ/クリスマスコンサート2012(1)

 15、16日は水越けいこさんのクリスマスコンサート2012があり、大阪と東京で演奏しました。両日ともアット・ホームなムードの中で、お酒と食事を交えてのライブであり、リラックスして楽しみながらも、適度な緊張感もあって、ステージと客席との一体感がとても心地よく感じられたコンサートになりました。
 まずは、お越しくださった皆さんの真摯で大人な態度に感謝です。けいこさんのファンクラブが長く、ちゃんと続いているのは、やはり、ファンのみんなの素晴らしさにつきるでしょうね。だからこそ、その愛情に応えるべく、パフォーマンスもビシっとやり遂げねばならない責任を強く感じるのでした。
 とは言え、最終的には相変わらずナチュラルなけいこさんのノリに私もお客さんも完全に巻き込まれて、全てはハッピーな気分に収まるのですから、本当にすごいことです。

 では、いつものようにセットメニューにそって振り返ります。

 m1.Ave Maria〜2.この夜に

 クリスマスコンサートと銘打っていることから、そのテーマに沿った曲が何曲か選ばれました。m1はフランツ・シューベルトの超有名曲ですが、元々は宗教曲ではなく、「湖上の美人」という歌曲集の中の《エレンの歌 第3番》が正式名。くわしくはウィキペディアをご覧ください。まぁ、とにかく、シューベルトの美しい旋律と素晴らしい和声によって、世俗曲として書かれたものが、宗教的な意味合いまでも含むほど大きな存在になったということ。
 ただし今回、 キーをFまで上げて(オリジナルはB♭)、響きが変わったので、マエストロが書いた譜面ではなく、ポップス調にコード・ネームで弾いていく感じにしました。でも、シューベルトへの敬意は忘れないように心がけました。
 けいこさんは、ファルセットを使った歌で、普段とは違ったアプローチをトライして、より厳かで凛とした演出をしていたのでした。始まりとしてはとても効果的だった思います。

e0093608_23502384.jpg そして、ほぼ間を置かずにm2へ。この曲は、けいこさんの作品の中でも、一番「祈り」を感じさせるものと言えるでしょう。詞の内容も、最後には普遍的な愛へと導かれるものとなります。この曲のボーカルは、前曲とはうってかわって、低い音でずっとコントロールしていくむずかしさがあるのと、今回はピアノだけの伴奏だったので、全体に静謐な趣きをキープしながら、内に秘めた熱い思いをじょじょに表していくようにしました。でも、実際にはライブの臨場感の心地よさから、二人でいろいろと出し引きしたり、自由に会話した感じになり、とても楽しいオープニングになりました。

 m3.一人にさせて〜4.Hold Me Tight

 1990年の「Sepia」のm3、1982年の「Vibration」のm4は、隠れるようにひっそりとアルバムに収められた曲とのことで、2曲をつなげるように演奏しました。なるほど詞の内容も、共に許されない愛がテーマなんですが、曲自体の印象は全く違います。

e0093608_1837214.jpg 小島良喜さんアレンジの"一人にさせて"は、あまり飾り気のない表情のシンプルな仕上がりで、90年代風ナチュラル志向と言える感じ。それゆえに、寂しさや悲しさを抱えていても、芯の強い女性の悟ったような爽やかさがあります。

e0093608_198352.jpg 一方の佐藤準さんアレンジの"Hold Me Tight"は、82年当時の明るさや派手さが十分あって、危険な恋の内容もどこか楽しげで、「不倫は文化」的匂いが漂います。だから、アルバムの影でひっそりと、って割には存在感が強いです。
 個人的には、サトジュンさんの方向性は大好きなので、大いに共感して演奏しちゃいます。ゴスペル風のイントロから、ファンクっぽいAメロ、レゲエ風のサビ、メロディアスなハーモニカの間奏と、聴く者を飽きさせない構成が楽しい。エンディングで、ガラっとバラード風になるところも、ちょっとしたストーリー性を持たせている感じで面白い。
 本当ならバンドで再現したい楽曲ですが、今回のようにピアノだけでやり倒すっていうのも、秘かに燃えるものがありました。けいこさんのナチュラルな「ヘンさ」とサトジュンさんの「やんちゃ」がうまく合体していて、実に印象的な1曲だと思います。

 m5.Feeling Blue〜6.You〜振り向いてほほえんだら

 このコーナーでは、ファンの方からの支持が多く、ライブでもよく取り上げられているおなじみの曲達。

e0093608_10325790.jpge0093608_14393442.jpg m5は、1stアルバムからの代表作ですが、スタジオ版との大きな違いは、テンポがかなり遅くなっていること。タイトルの"Blue"に導かれて、よりスローなオールド・ジャズやブルーズっぽいムードになっています。けいこさんの歌もいい渋さがあって、今の感じはとても好きですねぇ。
 81年の「Jiggle」からのm6は、「くー、たまらん」的な佳曲ですし、大村雅朗さんのアレンジもさすがです。ライブでも、曲中での強弱がとても生かされるので、演奏効果の高い作品と言えるでしょう。

e0093608_2310161.jpg 87年の「Proportion」からのm7も、演奏効果が高い部分が多く、ライブでも映える楽曲。今回は前半部分のラストとして、きっちりと貢献した感じ。クリスマスというテーマにも合うロマンティックなファンタジーってムードがあるんですなぁ。

(2)に続く。
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by harukko45 | 2012-12-18 15:23 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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