アバウト・シュミット
2005年 11月 20日
で、「アバウト・シュミット」を観た。とっても良い映画だった。おもしろかった。最後まで全然飽きなかった。ジャック・ニコルソンは本当に素晴らしい演技だった。そして、この監督アレクサンダー・ペインはとっても良い演出をする人だと感心した。
ストーリーは、どちらかと言えば、アメリカ人の好きなロードムービー、孤独な老年の男が自分探しをする旅の物語とでもいうものだが、ニコルソンとペインの才能の素晴らしさによって、よくありがちな「ありもしない設定」や「さあ、泣け!感動しろ!」映画にならず、人間描写がすごく繊細に丁寧にされていて、主人公の男の人生がリアリティを持って画面に映し出されていたと思う。
そして、彼の寂しさ、悲しさを笑いでつつみ、またその笑いの陰に孤独をにおわせる。そういう重層的な感情表現をちゃんと映像で見せてくれた映画だった。でも、自分の将来も見え隠れして、身につまされる内容とも言えるけど。
にしても、ジャック・ニコルソン!「イージーライダー」「チャイナ・タウン」「カッコーの巣の上で」の若い頃の強烈なインパクトある演技も鮮烈に記憶に残っているけど、最近の見事な「オヤジ」ぶりもいい。この前にみた「恋愛適齢期」も良かったが、「アバウト・シュミット」は彼の名演技の中でも最高に近いのではないか。