大橋純子/夏の陣(6)

夏の陣(5)からの続き。

 m9.愛は時を越えて

 「アイトキ」は、これまでとあまり変わらない状態で、今回ものぞんだ。しいて言えば、ストリングスをソフト・シンセから出したので、音質が良くなった程度か。リハの時までは、いろいろ想像力を働かせて、考えていたアイデアを試してみたのだが、それにより、肝心の演奏への集中力がとぎれとぎれになり、これでは本末転倒になるように感じた。なので、これは「変えない」ことにした。

 それと、こちらの思い入ればかりが前面に出て、ボーカルを大事に扱う配慮に欠ける部分が出始めていた。そういうエゴは、この曲では禁物だった。いつもそうなのだが、私は「やり過ぎ」なところがある。時には引き算することで、プラスの効果があることも理解しているが、自分勝手なエゴがそれを消し去ってしまう危険が常に潜んでいるのだった。

 ただ、そういう時は必ず、どこかで失敗する。先日の安倍なつみさんとの仕事でも、自意識過剰ぎみの自分が勝手につまづいた。よく言えば、そうやって失敗することで理解できるのだから、少しは成長したとなるのだが。
 最初は、純粋に「もっと良いものにしたい」という気持ちから始まったチャレンジが、ある時、自分本位な欲に変わってしまうのだろう。とは言え、何もしないで同じ事を続けるのみで、進歩をあきらめるなんて御免だ。結局は、つねにリスクを意識して、それでも挑戦を忘れるな、しかない。

 本番では、前よりもバランスの取れた内容だったと思う。また、エンディングで六川さんが少し絡んでくれるようになり、とても良くなった。正直、同じフレーズの繰り返しに物足りなさを感じていたところだったので、絶妙なタイミングでの助け舟に大いに感謝したのだった。

 En1.シンプル・ラブ〜サファリ・ナイト

 ジュンコさんのライブで、"シンプル・ラブ"も"サファリ・ナイト"もなしなんてあり得ない。それなら、今回はつないでみようというジュンコさん、ケンさんのアイデアは大成功。ひょっとしたら、ディスコ・メドレーをも上回るか、と感じるほど、会場中が熱狂的に支持してくれた時もあったのでした。
 もはや、鉄板すぎて解説不要。永遠のジュンコ・スタンダードへの敬意はけっして消えることはない。

 En2.In My Life

e0093608_17253343.jpg ライブの最後の曲はビートルズの有名曲である"In My Life"。他にも何曲か候補があり、ジュンコさんにお任せしていたが、最終的にこれになったのは、うれしい驚きだった。アレンジもオリジナル通りでない形になったので、新鮮な気分で名曲に関われることが出来て楽しかったし、ジョン・レノンが書いた歌詞についての、ジュンコさんの解釈が素敵だなと感心した。
 ジョンが人生を回想し、さまざまな思い出に浸りながらも、今の恋人への思いでまとめたものを、より普遍的なテーマに広げたと思う。ジョンの持っていた前向きさは、単純なプラス指向ではなく、ちゃんと失った過去への情愛や敬意を忘れていないものであり、だからこそ、今のあなたをもっと愛する事に意味があるのだった。

 全体的には80年代風のサウンドでまとめ、私はあの当時っぽいDXエレピ系をベースに、トレモロ・エフェクトのローズ系を加え、それに2種類のパッド音を用意して使い分けた。幻想的で映像的なバックグラウンドを作れれば最高だな、と思っていたからだ。女性コーラスのお二人も素敵にからんでくれて、なかなか美しく仕上がったと思っている。
 土屋さんにはギター・ソロをお願いしたが、彼はアドリブ・ソロにせず、ビートルズ・オリジナルにある、ジョージ・マーティンによるバロック風のソロを再現してくれた。やはり、この間奏部分は曲として切っても切れない部分であるので、すぐにそれを取り出してきてくれたことに感動した。
 私は、下のパート(左手部分)をカヴァーしようかとも思ったが、それこそ余計なお世話と思い、あくまでベーシックに豊かなバックグラウンドを作ることに専念した。少しは、大人だったでしょ?

 昨年の"You've Got A Friend"に比べて、かなりしっとりとしたエンディングとなったが、個人的には深みにおいて圧倒的に良かったと思うし、この選曲に感謝したい。
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by harukko45 | 2012-08-19 17:26 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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