安倍なつみ/Live2012の詳細(1)

 安倍なつみさんの6月2日O-Eastでのライブと、8月10日AXでのライブには相関関係というか、ある種の連続性があったので、まとめて書いていきたいと思います。まずはO-Eastバージョンから。

 5月の中旬にライブ・アレンジのためのミーティングがあり、そこで話された方向性は「Pop性を強調して、思いっきりはじけたい」ということ。選ばれた曲もそういった流れに十分沿っていると思った。
 で、これまでに何度も登場している曲の、おなじみのフレーズなんかも、よりアグレッシヴなムードで強調してほしいとのことだった。確かに、そろそろ何かしらの変化をつけたい気分であったので、私も大きくうなづいた次第。

 m1.愛しき人〜2.恋のテレフォンゴール〜3.恋にジェラシー申し上げます

 いつもアンコールでの大ラスが定位置の曲を、ど頭に持ってくるというのも、「のっけから、はじけたい」という意志の現れ。ただし、「愛しき」とすぐに分かってしまうのでは芸がないので、全く違うムードのオーバーチュアを付けることになった。私はちょうどその頃、ザ・フーの「Tommy」や「Quadrophenia」なんかを聴きまくっていたので、そんな大仰なムードを引きずっていたかも。でも、「何がくる?おー、最初からこれか!」って驚いてもらって、爆発する感じにはピッタリだったと思う。

 本編に入って、イントロ・ヴァンプ・エンディングと何度も登場する、ファンにはおなじみのフレーズはこれまで、オルガン系の音で演奏されるのが常だったが、今回からディストーションのギターを芯に、オルガンとモノ・シンセ系のキーボードで太めにユニゾンすることにした。もう、こうなると昔には戻れないね。なっちの歌が入っても、バンドは常にプッシュする感じを忘れないように心がけた。

 間髪入れずに続けた「ピロリン」は、私としてはかなり好きな世界。つんく氏の作るコミカル系の曲は、どれもなかなか味があって飽きないし、「うー、やるなぁ」と感嘆させられる瞬間も多いのだ。そもそも、こういう曲の方が、真剣に作りこんで、マジに演奏しきらないと中途半端になっちゃう。だから、実際に演奏すると秘かにかなり燃える。
 今回は、ブラスやストリングス、間奏のホンキートンクっぽいピアノなどを出来るかぎり生かしたので、それはそれは大忙し。鍵盤の上下はもちろん、右手と左手も別音色。他のメンバーもモータウン系のソウル・ビートを基本に、速いテンポに巻き込まれていく感じになるんだけど、でも、そんなギリギリ感が楽しい。

 そして、そんな流れでの「恋ジェラ」という構成には、リハの前の準備段階ですでにシビレたし、前やった時から好きな曲だったので、扱いもおのずと濃いめになる。基本はギター中心のサウンドなのだが、今回は新たに、サイケっぽいシタールの音色や、アナログ系のシンセ・ブラス音も加えてみた。より派手目にしたかったし、とても効果的だったと思う。まぁ、とにかく「ネギ」のところがたまらんわけ。

 m4.恋の花〜5.スイートホリック〜6.小節の中の二人

 個人的には最初のブロックとともに、このブロックも好きだった。これまで、いろいろなアレンジでやっているm4,5は、打ち込みのビートを併用して、CDにある「パキパキ感」を適度に保ちながら、ライブバンドっぽい良さも引き出せたと思う。特に、「スイートホリック」は個人的に今までの中で最高の出来、久保田くんとAsamiちゃんのコーラスが実に効果的で、よりポップになったのと、キーボードでラテン色を強めたのも、曲にあっていた。
 m6は、いつもピアノ中心だったのを、あえてガット・ギターでのバラードにしたのが新鮮で、チェンジ・オブ・ペース的役割をうまく果たしてくれた。これは、久保田くんに感謝です。

 m7.くちびるで止めて〜8.愛ひとひら

 今回のバンドはちゃんと歌える人が揃ったので、m7でもコーラスがいい感じにキマった。途中のメンバー紹介でのソロ回しではベースのしょーこちゃんのグルーヴがかっこ良かったぞ。
 m8は、ハネるノリが難しい曲で、こういうのはベテランのメンバーには一日の長あり、ってところかな。

 m9.糸〜10.Rosier〜11.NO.N.Y.

 3曲のカヴァー・コーナーのうち、LUNA SEAのm10は、かなり激しい内容だったけど、なっちは元々ロックものが好きなのだから、どうせ「はじけたい」のなら、好きな曲で思いっきり爆発しよう、ということ。ただし、オリジナルを丸々コピーするだけじゃつまらんので、「今回のメンバーの」解釈でOKとした。だいたい、50過ぎのオジサンが、ヴィジアル系ハードコアをそのままやるのはおかしいでしょ。私の世代だと、こういうものは「パンク」と「メタル」の合体的な感覚の方がしっくりくるわけ。というわけで、ピアノもオルガンもギター以上に歪ませました。それにしても、スラッシュ系の急速ドンタン・ビートを叩きながら、なっちのボーカルにハモをつけてたAsamiちゃん、恐るべし。
 BOOWYのm11は文句なく楽しい。基本のロックンロール魂が根底にあるから、自然に盛り上がれた。

 この中で最も意外性があったのは、中島みゆきさんの「糸」だったが、Bank Bandによるバージョンのアレンジがなかなか良かったので、オリジナルではなく、こちらを参考にカヴァーした。ただし、なっちの大掛かりな着替えをはさんだので、エンディングをかなり長くしなければならなかった。で、オリジナルのインスト部分などを加えたりして引っ張ることにした。
 みゆきさんのオリジナルには、どの曲にも何とも言えない「毒」があるので、Bank Bandで消えていた、そういう要素を戻すことで、次のLUNA SEAに違和感なくつなげられたと言えるかも。

 m12.シャイニング・バタフライ〜13.浪漫〜14.あなた色

 後半もまだまだイケイケ。m12はドリームモーニング娘。の最新曲なのだが、けっこう演奏的にはややこしい曲。なっちによる冒頭の歌いだしあたりでは、かなり期待させる内容なのだが、個人的にちょっと残念なのは、過去のモー娘。曲を、つんく氏が自らコピーしているような仕上がりになってしまったこと。だからこそ、悪い曲ではないんだ、とも言えるけど。

 それは、続けてm13に突入したので、余計そう感じちゃうのかもしれない。これは完全に、布袋系メロディを持つ80年代風ロックで、リンドバーグ、レベッカにバービーボーイズのメンバーがレコーディングに入ってるという徹底ぶりからして、つんく氏の80年代J・ロックへのオマージュとして、よく出来た作品。それと、モー娘。バージョンは「なっち後」なので、今回の安倍ソロ・バージョンはかなり新鮮だったし、曲の強さが増したと思う。
 ただし、込み入った間奏は少し勢いをそぐ感じがするという、なっちの意見だったので、流れを止めないように、シンプルな形にした。

 本編ラストの「あなた色」も、こんな流れを受けて、かなり攻撃的な出来に。ジプシー・キングス風のアコースティック感を無視したことで、よりストレートに爆発する感じになった。若いリズム・セクションが思いっきりはじけてくれたし、打ち込みのパーカッションなどが常に煽ってくる感じにしたのが効果的だった。私もピアノ、ぶっ叩く感じになってたし。

 En1.息を重ねましょう〜2.大人へのエレベーター

 アンコールでは、なっちがバンド・メンバーを紹介、なごみ、いじるコーナーから、「息かさ」にすっと入るように、との要望に加え、オリジナルのレゲエ・アレンジから離れて、本編に通じるようなポップ・ロック感でまとめてほしい、とのことだった。
 曲自体はとてもフックのあるサビが印象的だから、どのようにやっても大丈夫。ハネたグルーヴ感をやめて、フォーク・ロック風にしてみた。

 で、最後の「大人」は、個人的にはローリング・ストーンズっぽいイメージでのぞんでいる。時にブルース・スプリングスティーン風でもあるけど。いずれにしても、どの世代の人にも受け入れられるであろう王道ロックを目指したい。とりあえず、四の五の言わずに盛り上がろうが大事。

 というわけで、駆け足でO-Eastのライブを振り返ったけど、私はこの時のセットリストが今でも好き。よく出来た構成だと感心したし、演奏していても実に楽しかったし、バンドの良さもうまく引き出せたと思っているのでした。

 さて、次は8月のAXバージョン。詳細(2)へ。
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by harukko45 | 2012-08-13 14:44 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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