ジョン・レノン・スーパーライヴ2011の詳細(4)

詳細(3)からの続き。

 BONNIE PINKさんを迎えて。

e0093608_2511253.jpg BONNIEさんとやった2曲は、共にビートルズ1965年の名曲。ビートルズには傑作がズラっと並ぶが、その中で「最高」の文字が上につけられる作品も、かなりの数になる。ただし、人によって選曲への意見は異なるだろう。だが、"Help!"に「最高」の爵位を与えることに異議を唱える人がいるか?少なくともビートルズ愛好者で"Help!"にいちゃもんをつける奴は絶対にいないはずだ!いたとしても、「私は信じない!」とジョン風に切り返してやろう。

 聴いている分には常に最高で常に感嘆するこの曲だが、演奏している時は楽しい気分を満喫できる反面、高いプレッシャーも感じる。だから、バンドとしてはかなり練習した。特にコーラス部分。冒頭の「ヘルプ!」3連発から「ヘーエルプ!」のファルセットまで、ビートルズの完璧さには平伏すのみで、最初から難度が高い。
 Aメロだって油断ならない。ジョンのリードに絡み合うカウンターメロを歌うポールとジョージ、この付かず離れず、最後には合体するアレンジはニクい。
 サビでは「Help me get my feet back on the ground」で、ジョンの上にふたりの声が乗って、3声ハモがいきなり構築され、続く「Won't you please, please help me」ではジョンとポールのみで頂点に達して一気に下降する。ここは一番の難所だが、同時に最高のエクスタシーを感じる瞬間でもある。
 そして、エンディングのA6の和音を形成するまでの「Help!」(ポール&ジョージ)「me」(ジョン)の掛け合いから、3人による「me-e-woo」への流れは、「優雅」でさえある。

 ギターも不思議だ。イントロとサビの最後で印象的なジョージのアルペジオは、うまく弾けずに間違えたようにも思えるが、やっぱりこれしかない。
 A7のコード内での「ミ・ソ・ソ・シ」「ミ♭・ファ#・ソ・シ」「レ・ファ・ソ・シ」「ド#・ミ・ソ・シ」のうち、最初の「ミ・ソ・ソ・シ」が一瞬構える感じになって、たぶん普通なら(ピアノ的には)「ミ・ファ#・ソ・シ」、もしくは「ド#・ミ・ソ・シ」としてしまいそうだ。しかし、演奏的にはなめらかではあっても、音楽的には普通でしかなく、ジョージの方が断然カッコイイのだった。

 コーラス部分を最初は私と押葉くんだけで歌っていたが、BONNIEさん用にキーが上がり、どうしてもパワー不足を感じたため、ピアノの斉藤有太くんとギターの土屋さんにも加わってもらい、うまく厚みが出すことが出来た。ギターに関しては、名手・土屋さんにお任せである。

 BONNIE PINKさんのボーカルは、いつもハマリ具合がいい。それは彼女の声質の良さが大きいのだが、実は歌い回しやニュアンスの付け方にも細かい工夫が成されていて、毎回感心する。それでいて、素直で自然体な印象も受けるのだった。

 もう1曲、同じくアルバム「Help!」に収録されている"You've Got To Hide You Love Away"も楽しかった。わずか2分12秒の曲だが、他に何かを足して長くする気分にはならなかった。オリジナルの長さで演奏するだけで、十分に満足できたからだ。とは言え、私のパートはある意味、曲のカラーリングが役割なので、少しだけ60年代風のエッセンスをふりかける感じにした。BONNIEさんには、スウィンギング・ロンドンが似合うと思う。

 それと、ここでも彼女に感心させられたのが、サビでの「Hey!」のキメっぷりの良さだ。正直こういうのって、ジョン以外ではイマイチになる典型だし、この曲の最大の魅力は、あの部分でのジョンの歌い方にあるわけで、たぶんポールが歌ってもダメだったと思う。なのに、BONNIEさんは実に軽妙にこなして、とっても素敵だった。ギターの長田くんが「最後のサビだけ繰り返したら?」と提案したので、それをすぐに頂いた。もちろん、気持ちよかったからだ。

 ちなみに、BONNIEさんとのリハーサルは2時間の予定だったのだが、実際には18分で終了してしまい、スーパーライヴ史上の最短記録となった。これは、我々がこの2曲をよく練習してあったことと、彼女とのマッチングの良さとの相乗効果だと言えるでしょうな、フムフム。

 さて、本番ではこの後、我々トリビュート・バンドも引っ込み、3組のパフォーマンスとなった。

 まずは、曽我部恵一さんが、復活したバンド、サニーデイ・サービスとして登場。3ピースによる骨太なロックで"The Ballad of John and Yoko"と日本語による"Imagine"を聴かせてくれた。曽我部さんはいつもながらの熱唱ぶりだった。

 続いて、今回の目玉コーナーとも言えた桑田圭祐さんの登場。自らのバンドを率いて、ビートルズの名曲8曲を「完コピ」で再現してくれた。歌・演奏のみならず、当時のギター、服装、髪型にまでこだわってのパフォーマンスは、まさに完璧だった。
 曲は、"She Loves You""You Can't Do That""All I've Got To Do""I Should Have Known Better""I'm A Looser""It's Only Love""I Feel Fine""Slow Down"。楽屋のモニター見ながら、こっちも盛り上がったよ。

 3組目は、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。独自の世界観とサウンドを持つ彼らが、新鮮な"Across The Universe"と"(Just Like) Starting Over"を聴かせてくれた。なかなか充実したプレイぶりは、前2組に負けていなかったし、後半を引き継ぐ我々にも大いに刺激になった。

詳細(5)へ。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-18 00:16 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31