ジョン・レノン・スーパーライヴ2011の詳細(2)
2011年 12月 16日
ROYさんを迎えて。
THE BAWDIESのボーカリストで、バンドではベースも弾くROYくんは、実はかなりのR&B好きとのこと。なので、選ばれた2曲は共に60年代の有名なソウル・ナンバーだった。彼らのプロデューサーであるLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIくんも加わってくれることになったので、リハーサルでの仕切りも彼に任せ、何回かセッションしながら、あれやこれやとヘッドアレンジしていく流れになった。
"Twist And Shout"は、「必殺極めつけ」「泣く子も黙る」ジョンの偉大なるシャウトによる大傑作。ビートルズは、アイズレー・ブラザーズのバージョンを元にしているが、出来上がった音は完全に自分達のカラーに塗り替えられていて、実に見事。初期ビートルズのシグネチャー・チューンとも言えるほどの強いインパクトを残した作品だ。
ただ、アイズレーのバージョンもかなり良く、ROYくんのイメージはこちらのニュアンスの方が近いようだった。で、プロデューサーNAOKI氏は、ボーカルはソウルフルな路線で行くように指示し、バンドは「いつものように」、つまりビートルズ風に演奏することを求めた。と言うことは結局、「まぁとにかくやってみよう」ってことね。
歌い始めるとROYくんは、声を随所に歪ませながら、地声でシャウトする正統派ソウルマンで、最近のR&B系ボーカルにありがちな裏声使いではなかった。だから、「オーティス・レディング meets ザ・ビートルズ」的なムードになり、バンド・メンバー達もみんな「Yeah!」連発で大いに盛り上がってしまった。
とは言え、ただのセッションで終わるのは安易すぎるので、NAOKIくんはギターソロなどをはさんだり、アクセントを強調したりと、細かい配慮も忘れなかった。私は押葉くんとのポール&ジョージの「Woo~!」再現に喜々としており、回りで何が起ころうとも常に「サイコーです!」だったけど。
ちなみに、"Twist And Shout"のオリジナルはThe Top Notesによる61年のシングルで、プロデュースはフィル・スペクター。聴くと分かるが、イメージは全然違ってやったら軽いドゥーワップ、コード進行も別物。作曲したバート・バーンズ(aka/バート・ラッセル)は、この出来に納得せず、翌年アイズレー・ブラザーズを自らプロデュースしてリリース、スマッシュ・ヒットとなった。バート・バーンズがここで再アレンジしなければ、ビートルズも取り上げなかったろう。そして、ビートルズがカヴァーすることで、この曲は完全に歴史に残ったわけ。
YouTubeで聴き比べ。The Top Notes (1961)、これはこれで楽しいけどね。映像はTop Notesとは関係なし。
The Beatles (1963)、王室主催の演奏会でのライブ。ジョンのmc「次の曲では皆さんも協力してください。安い席の人は拍手を、高い席の人は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」がクール。歌・演奏ともレコーディングとかわらぬハイ・レベル。この時の3曲は「Anthology 1」で聴ける。
次にやった"Stand By Me"は、昨年、デリコと演奏したし、過去のスーパーライヴでも何回か取り上げられている。それだけこの曲が、ジョン・レノンの代表曲の一つとして認知されているということ。個人的にはベン・E・キングのオリジナルをすっと追い越すし、アルバム「Rock 'n' Roll」は大好きなので、全曲オリジナルよりも良い、実は全てジョンが書いたんじゃないの、って言いたいぐらいだ。
なんてことを思っていながら、今回の我々はイントロから1コーラスまでは、かなりベン・E・キング風だったっけ、おいおい。でも、ベースとボーカルだけで始める感じは、ROYくんにはピッタリだったのです。その後、間奏はスライドありブルージィなギターソロありで、じょじょにロック色を強めていった。
ROYくんは最後まで堂々としたシャウトぶりで、こちらもすっかり楽しませてもらいました。
この際だからチョット悪のりして、こっちも聴き比べ。Ben E.King (1961) 、歌素晴らしいです。間奏のストリングスは激甘すぎるなぁ。
John Lennon (1975)、ビデオ・クリップ。間奏で「ハロー、ジュリアン!」。エンディングで「ハロー、イングランドのみんな、元気かい?ニューヨークからこの歌を贈るよ」。「僕のそばにいて」がいちいちキュンと来るんだなぁ。
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