水越けいこ/オータム・ツアー2011の詳細(2)

詳細(1)からの続き。

 m4.東京が好き〜5.秋想

e0093608_162143100.jpg 79年の「Aquarius」は、たぶん多くのけいこさんファンからの高い支持を得ている傑作にちがいない。このアルバムは佳曲揃いなのと、それが大きな流れの中で一つになっている印象があり、プロデュース側に意図があったかどうかはわからないが、トータル・アルバム的なまとまりがあるのです。
 また、アレンジを担当した佐藤準さんと大村雅朗さんという、能力の高い二人がうまく個性を出し合って、けいこさんを生かし切ったことが大きい。その二人への曲の割り振りが絶妙で、結果、実にいいバランスが保たれているのが素晴らしいのでした。

 ゆえに、このアルバムに収録された曲の良さを本当に感じるには、それぞれを単独に聴くのではなく、「Aquarius」として続けて聴くことが一番だと思う。

 2008年夏にシンフォニー・クルーズでのコンサートで、アルバムの順番通りでの「Aquarius」全曲ライブを敢行しましたが、良いアルバムであれば、その順番通りに再現することは演奏している方も気持ちがいい。あの時は時間の都合もあり、一部メドレーにしてフルではできなかった曲があったものの、ほぼ全てをやり切ったことで、個人的には大きな満足感があったのをおぼえています。(その時のレポはコチラ

 で、今回のツアーでも、アルバムの2、3曲目である2曲を続けてやったことは、一つのムードを持ったコーナーができて、とても良かったと思いました。ここでの哀感とか寂寥感っていうか、まさにそれが、けいこさんならでは「泣き」であって、聴き手も弾き手も「くー、たまらん」となるわけです。ここら辺に深くハマり込む人は、生涯けいこさんの音楽を聴き続けることになるのでしょう。

 曲についての私の考えは上記のシンフォニー・クルーズ時のレポにも書いてあるので、そちらもみて欲しいですが、久しぶりにこの2曲を続けると、サトジュンさん(東京が好き)と大村さん(秋想)のアレンジが、二人なのに一人のような一体感があることに気づきます。それに、イントロから間奏、エンディングまで、ビシっと考えて作り込まれていることに感心するのでした。
 この2曲にミュージシャン側のアドリブなんて必要ないでしょう。間奏で、どんなにいいソロをやったとしても、ここで書かれたもの以上に効果的になるとは思えないのです。
 だから、ある意味「クラシック」として扱いたい気分になるし、その方が思い入れも深まるのでした。正直、それが過ぎて、演奏が固くなったり、ミスタッチにもつながった部分もあったので、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」、これは反省しなきゃいけない。

 とは言え、この2曲つながりはやはり気持ちよかったです。特に、"東京"のエンディングから、拍手の中、"秋想"のイントロを弾き始めた瞬間に、会場中に凛としたムードが漂うのが、個人的にはしびれるわけですよ、うんうん。

 m5.My Love

e0093608_9321461.jpg ここからは私は引っ込んで、田口君のギターとけいこさんによるコーナー。今回はギターをフィーチャアする(もう一人ギタリストを加える)というアイデアがあったので、2本のアコギによる演奏もあり得たわけ。でも、シンちゃんは、たった一人でもこの難曲をやり切ってくれました。さすがです。

 そもそも、「Like You !」でのサトジュンさんのアレンジは、ただのボサノヴァでは収まらない、いろんなアイデアが盛り込まれていて、本当に面白い出来だと思いますが、実際に演奏する時には、各部分のニュアンスやビート感の切り替えが必要で、意外に難しいのです。おまけに、今回は一人なので、間奏はギターでバッキングしながら、口笛でメロディを吹くということになったので、まさに獅子奮迅の大活躍でありました。

 でもって、迎えた最終ステージ。おもむろに始まって、順調に進んでいたので、楽屋にいた私はいつものように、「どれどれ」って感じでカーテン越しに客席方向を覗いてみたわけですな。フムフム、みんな気持ち良さそうに聞き入っているな、と思った瞬間、何とも言えぬ異様な光景を目撃。よくお見かけするファンの方の手には、青く(白く?)光るペンライトのような小道具(ライトセーバーみたいでもありましたなぁ)が。それを、リズムに合わせて、振ってんじゃないの。エッ、エッエーッ!と驚いた私は、一緒に部屋にいた森社長に報告しました。

 「ファンの人が、ついに、し、仕込みましたぜ!」

 で、二人で再び覗き込むと、一人だけじゃない、何人もの方々が、振ってる振ってる。まぁ、何たることでしょうね、かつて、そう、私が初めてけいこさんのライブの受け持った頃は、皆、神妙に、物音一つ立てずに、じーっと聴いていたっていうのに。拍手だって、最後の締めの音がなり終わるまで待ってからだったし。
 まぁ、あの頃はあの頃で、「本当に楽しんでいるのか」なんて、逆に心配するぐらいの深刻さ、というか真面目さだったですけど。

 それが、ここ数年のライブ・ツアーの成果でしょうか、ファンの方達もリラックスして、一緒になってライブに参加してくれるほど、積極的になってくれたことは大いに喜びたいと思いますよ、ほんとに。まぁ、そのセンスはどうなのか、ということは置いといて(?)。

 いいじゃないですか、ステージ側からだけの一方通行じゃなく、双方向からのやりとりこそが、ライブってもんです。それが、より高く、より深く、お互いを愛し合える環境に導くんですからね。特に大ラスに何かを仕込むっていうのは、気が利いてて楽しいじゃないですか。

 それにしても、ステージ上の二人はかなりヤラレたようですな。詞がかなり小悪魔的、ちょっと悪女的な、あぶない系の恋物語なので、そこにライトセーバーとのギャップで動揺したのでしょう。確かにアヤシイ感じだったなぁ。してやったりです、ファンの皆様。そのぐらいインパクトがなくちゃ、ダメです。
 演出効果としては、ギリギリ・セーフ?、いや、完全にアウトだな、ガハハ。でも、それで今回はOKです。予定調和じゃ面白くありません。

 私は、今回の皆様の行動を高く評価したいと思いますし、これまで数年に渡って、ライブに関わってきた一人として、深く感謝したいと思いますぞ。
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by harukko45 | 2011-10-17 19:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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