大橋純子/クラブサーキット2011詳細(5)

詳細(4)からの続き。

 m7.Disco Medley

 今年のクラブサーキットの目玉は、やはりこれだったか。ジュンコさんが今年の始めからやりたいと言っていたディスコ・メドレー。我々は過去に2つのディスコ・メドレーを作っていて、1997年から98年にかけて「Part 1」、98年から99年に「Part 2」をメニューに入れていた。
 特に「Part 1」は親しみやすい曲が並んでいて、つながりも良く、お客さん達の反応も良かったので、その後も2001年ぐらいまで、何回かセットに取り上げられていた。その時の曲目は「Ai No Corrida〜Got To Be Real〜Sunshine Day〜I'm Every Woman〜Boogie Wonderland」。
 「Part 2」は「1」の好評を受けて、その勢いで作り上げたのだが、少々通っぽい曲が並んでしまい、また演奏面でもかなり集中力の必要な内容で、実を言うとむずかしい仕上がりになってしまった。それは、我々バンド側はやりがいのあるものだったが、いかんせん、聴き手の皆さんには少々ハードだったようだ。その曲目は「We Can Work It Out〜What Cha' Gonna Do For Me〜Lady Marmalade〜Fantasy〜Getaway」。この「Part 2」は残念ながら、1ツアーぐらいでオクラ入りとなってしまった。

 今回ディスコ・メドレーを復活させるにあたり、一応参考までに当時の音をチェックするために事務所に探してもらったところ、幸運にもMDが残っており、皆で聴くことになった。
 聴いてみて驚いた。何と、「Part 2」のパフォーマンスが凄まじかった。「こりゃ、曲を良く知らない人は引くか?でも、音楽好きが聴いたらブっとんで喜ぶ」というのが、我々の感想であり、10年前の自分達の尖った、勢いのある内容に驚喜したのであった。

 ということで、この二つのメドレーから特に美味しい部分を合体させることになり、5曲が選ばれたが、今の気分や時代性を考え、より充実した内容を目指すべく、細かい部分の修正を行いながら、4曲にしぼられた。それが「2011バージョン」で、曲目は「Ai No Corrida〜What Cha' Gonna Do For Me〜Fantasy〜Boogie Wonderland」となった。

e0093608_23214955.jpg a: Ai No Corrida(愛のコリーダ)

 クインシー・ジョーンズの81年の大ヒット・アルバム「The Dude」の1曲目で、ディスコ・チューンとして最も洗練された内容となった作品の一つと言っていい。オシャレにかっこ良くきまったアレンジだが、サビの日本語がやっぱ、しびれるわけで。さすがクインシー大先生のプロデュース、実にうまくまとめておられます。

 この曲を元々作ったのはイギリス人のチャス・ジャンケルで、彼のオリジナル・バージョンを聞くと、クインシーが意外にもかなり忠実に再現していることがわかる。ただ、やっていることは同じでも色づけが違うって感じ。クインシーはジャズ・フュージョン系の名手と、豪華なボーカル陣を適材適所に配置して、それはそれは見事なアンサンブルで「都会のダンス・ミュージック」を演出。文句のつけようがない。
 だが、今聴くとチャス・ジャンケルのバージョンの何ともエグい感じ、シンセやビートの適度なダサさや下世話さが、より「ディスコ色」を醸し出していて、なかなか良いのだ。個人的にはチャスに1票である。

e0093608_0131069.jpge0093608_0132618.jpge0093608_0143060.jpg さて、クインシー・ジョーンズはこのアルバムの前後に、マイケル・ジャクソンの2大傑作「Off The Wall('79)」「Thriller('82)」をプロデュースしており、85年には「We are the World」も作っているわけで、まさに絶頂期でしたな。

e0093608_0241945.jpg とは言え、私が好きなクインシー・ジョーンズは70年代。「The Dude」と同じディスコ・ダンス系の作品なら、78年の「Stuff Like That」がいい。スティーヴ・ガッド、リチャード・ティー、アンソニー・ジャクソン、マイケル・ブレッカーらニューヨークの一流ミュージシャンが中心で、それまでのLAの制作(「The Dude」は再びLAに戻る)とは一味違う。とにかく、彼らのプレイは本当にサイコーだし、それを生かし切って、ポップ・ファンもフュージョン・ファンも満足させてしまうクインシーのプロデュースが素晴らしい。チャカ・カーン、ルーサー・ヴァンドロス、パティ・オースティンのボーカル陣も凄い。

e0093608_040429.jpg だが、もっと好きなのは74年の「Body Heat」。リオン・ウェアを中心としたボーカル陣(ミニー・リパートン、アル・ジャロウら)がチョー・カッコイイ。もう1曲目のタイトル曲だけでしびれまくり。この曲のイントロのカッコ良さたらっ!!! ラストの"If I Ever Lose This Heaven"もいいし、"Everything Must Change"もこれがオリジナル・バージョンで作曲家ベナード・アイグナーが自ら歌っている。このアルバムは、クインシーがマービン・ゲイやスティービー・ワンダーらのニュー・ソウルに最も近づいた作品、リオン・ウェアはマービン・ゲイの大傑作「I Want You」のプロデューサーだから、当然か。

e0093608_0515934.jpg でもでも、もっともっと好きなのが73年の「You've Got It Bad Girl」。クインシー自身はあまり気に入っていないアルバムだとの発言があり、CD化もどういうわけか、ようやく最近になっておこなわれた。だが、私はこのアルバムが一番好きだ。
 クインシーが初来日(たぶん73年)したさい、何とNHK(ん?TBSかも)が彼の特集を組み、彼のオーケストラがスタジオ・ライブをやったのをテレビで見て、私は大感激大興奮。その頃に、一番新しいアルバムとしてリリースされていたのが、これだったのだ。来日メンバーはレイ・ブラウンがベース(彼はクインシーのマネジャーでもあった)、サックスとフルートがジェローム・リチャードソン、ハーモニカとギターでトゥーツ・シールマンスもいたと思う。で、ピアノはデイブ・グルーシンだったらしい。じゃぁ、ドラムスはグラディ・テイトだったのかも。

 その時聴いた"Manteca"(アルバム7曲目)がかっこ良くてかっこ良くって。

 それから、このアルバムの1曲目、ラヴィン・スプーンフルの"Summer in the City"なんだけど、これが何とも言いようの無いほど、オシャレで、センスのいいインスト(中盤からヴァレリー・シンプソンのボーカル登場、これもたまらん!)に仕上がっているのです。クインシーはこの曲でもグラミーをもらってますね。
 それから、アレサ・フランクリンとロバータ・フラックに捧げるメドレーと称して"Day Dreaming"と"First Time Ever I Saw Your Face"をやっているんだけど、このアレンジがもうサイコー、サイコー。いや、別に何やっているわけじゃないんだけど、もうたまらんのです。歌っているのは、これもヴァレリー・シンプソンだと思うんだけど、これが本当に大好きです。ヴァレリー・シンプソンは作曲家としても素晴らしいけど、ボーカル、バック・コーラスとしても最高ですよ。

 ついでに、もう一つ。私のクインシー初体験はアメリカの刑事ドラマ「鬼警部アイアンサイド」。そのテーマ曲が彼の作編曲。これも超名曲です。毎週火曜夜10時にTBSでした。必ず見てた。で、このテーマ曲にしびれまくっていたのでした。いつのまにか、「ウィークエンダーのテーマ」みたいな言われ方してたけど、じょうだんじゃない!「アイアンサイド」はドラマ自体も面白かったんだ。ペリー・メイスンやってたレイモンド・バーが主演で、若山弦蔵さんの吹き替えも良かったなぁ。




 まだまだ続くと。

 
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by harukko45 | 2011-09-01 01:23 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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