水越けいこ/スプリング・ツアー2011の詳細(1)

 昨日、京都から車で戻りました。水越けいこさんの春のツアーを無事に終え、それもいい形でまとめられたことが、とてもうれしく思います。

 当初のスケジュールだと、4月初旬に名古屋・関西をまわった後に東京でのファイナルで、期間的にも2週間程度で終了だったのが、震災で延期になったことで、トータル約1ヶ月になりました。今回はこれがかえって好結果を生んだかもしれません。東京初日の後に、もう一度各自が整理することが出来、曲の解釈に余裕と深みが加わったと感じました。
 もちろん、セットリストやアレンジの細かい部分での修正・変更もしていったので、最終日には全員が納得できる形で仕上がったと思います。

 それでは、京都でのセットリストにそって振り返ります。

m1.海潮音(みしおね)〜2.地図〜3.波に寄せて〜4.15の頃

 私のキーボードと田口慎二くんのアコギのみのバックによる4曲は、昨年までのアコースティック・スタイルからの流れを引き継ぐ演出であり、また、それ以上に3月の大震災で犠牲になった方々へのレクイエムとして、とても大事な4曲でありました。もし、震災がなければ、このような4曲が頭に並ぶ事はなかったでしょう。なので、思い入れも深く、常に心を集中してのぞみました。

 特に、m1はけいこさんと縁の深い気仙沼で生まれた曲であり、私もCDでのアレンジをさせてもらった者として、曲への思いはより大きいものがありました。リハの初日、この曲を静かにはじめ、けいこさんが歌いだすと、抑えようのないものが胸にこみ上げてきてしまいました。その時のことはずっと忘れないでしょうし、この曲を演奏する時の心構えを強く記憶に刻んだ瞬間でした。

 1978年の「Lady」に入っているm2は、伊藤薫さんの作家としての優れた力量を示す隠れた名作でしょう。短いながらも、深みのある歌詞が素晴らしい。今、あらためて読み返すと、映画「インセプション」的な世界観があるようにも感じられて、すごく心を動かされますし、サビでの裏声による「ずーっと」というけいこさんの歌声にキュンとしてしまう人もかなり多いのでは。
 今回は曲自体・歌自体を強調するために、出来るかぎりシンプルにやりましたが、その分、いかんともしがたい「切なさ」に包みこまれた気分になりました。m1からの流れもあり、ますますそういう気持ちを強く持ったのかもしれません。でも、素晴らしい体験でした。

 ライブではおなじみであるm3,4も、今回は特別な思いが自然と加わったことは言うまでもありません。と同時に、やっている方としては、前2曲での強い緊張感からの解放もあり、「癒し」のような世界も感じられたのでした。ですから、目の前の現実は辛く悲しいけれど、この2曲には「未来」を感じることが出来ると思いました。

 ここで、ベースの内田悟くんとドラムスの春木淳一くんを加えて4リズムに。

m5.少年〜m6.Slow & Slow、m7.会えたあと〜m8.好きでいさせて

 久しぶりのリズム・セクションとのサウンドはやはり楽しい。それに「元気になる」。でもって、まさに「少年の時の夢を忘れるな」っていう応援歌であるm5は、以前だと、いかにもフォーク・ソング的なメッセージに、多少抵抗感を抱いたのですが、今一度、詞をチェックしてみると、伊藤薫さんは聴き手に「自分自身を見つめ直す」ことから語り始めているし、今の自分と社会に「疑問を持つ」ことをちゃんと含んでいる。今、日本全国にあふれかえっている「頑張ろう日本」的な平易で安直な「元気ソング」「応援ソング」とは明らかに一線を画す楽曲であることを再確認しました。

 同じく、伊藤薫さんの曲であるm6は、81年の「Jiggle」収録で、全体にAORやウエストコースト系ロック色が強い内容。ただ、我々は比較的70年代っぽいアプローチになったかもしれません。田口くんはそれまでのアコギからエレキに持ち替えての曲だけに、常にハイテンションのプレイを聴かせてくれ、前半戦のピークを作ってくれました。

 MC後のm7は、ニューアルバムに収録予定の曲。レコーディングではアコースティックなサウンドを強調した仕上がりですが、今回は流れに任せて、ガツンと行きました。これもアリです。85年の「Moon Flower」のラストに置かれた愛らしい佳曲であるm8も、ライブではバラード曲としてより自然な形で演奏できた気がしています。

m9.You Are My Life〜m10.boy〜m11.アフリカ
 
 このコーナーはけいこさんのご子息である麗良くんに捧げた2曲から。97年のm9、2006年のm10ともに、けいこさんのレイくんへの愛がいっぱい詰まっているわけですが、この2曲の時間の経過とレイくんの成長がリンクしているので、こうして続けて聴いてもらうことは実に素敵だなと思いました。まるで,昔の写真やビデオを見るような懐かしい想いに浸りながら、深い愛情を感じ取れることは、演奏しているものにとっても、幸せなひと時だったのです。

 さて、東京と名古屋ではMCをはさんでのm11でしたが、流れのスムースさを重視して、大阪・京都では続けることになりました。レゲエっぽいドラムのフィル・インから始まって、全体にスタジオ版よりもアグレッシヴなアプローチで、しっとりしたムードから一転、明るく後半に向けて盛り上がっていく感じをより強調できたと思います。文句なく楽しい曲だしね。

 ということで、後半は詳細(2)に続く、と。
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by harukko45 | 2011-06-22 18:47 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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