ジョン・レノン・スーパーライヴ2010の詳細(5)

詳細(4)からの続き。

 浅井健一さんを迎えて。

 浅井さんとのセッションはスリリングで面白い。彼は決め事をしっかり考えてきて、いろいろ試すタイプだが、実際の本番では、すでに違うアイデアが浮かんでいるように思う。だから、段取り通りにはいかない、予定調和ではないということ。私は、曲のポイント部分では必ず彼の動きと口元を見逃さないようにはしているのだが、それでも追いつけないところはある。
 でも、それはそれで楽しい部分でもある。裏切りは大事、裏切られるのも、これまた、いとおかし、だ。

e0093608_1656833.jpg 最初にやった"Come Together"は何気なくおなじみの感じで始まるが、浅井さんはギターでアヤシげなフィル・インを入れてくるので、すっきりと歌にはいかない。
 Aメロの1回目も本来よりもオクターブ下で歌い始めるから、ムードはグランジ系の感じに。2回目では通常通りに上がるので、ここでポールがやっている下ハモが付けられる。このハモりのセンス、いつもながらではあるが、ポールにしびれる。
 で、「カム・トゥギャダ~」で突入するサビは、頭のBmから全員で爆音でいけ!との指令は絶対。ちょっとやそっとじゃない、爆で激なサウンドで、どうせなら頭も振れ(これは私の勝手な解釈)。だが、1コーラス目はここは1回しか出てこない。
 再び、オクターブ下でささやくように歌うので、危険な感じが漂うのだが、途中から急に上がってサビ突入、今回は3回やれとの指令。もちろん、爆・激・音を全員で。

 この後はエレピのフレーズとギターのハモによる間奏なのだが、そんなものはおかまいなし。浅井さんはエレピのフレーズをそのまま横取りして、弾きまくる。で、ギター・ハモの部分もそのまま突っ張る。ここはコード展開して普段はDからAに行くのだが、そのままDで突っ張れ。思いっきりハード・コアな気分になってきた。

 だが突然、彼はマイクに近寄ってタムを連打するドラムスだけで3度目のAメロ部分を歌い始める。ルー・リードな感じもあるなぁ、結構好き。もちろん、サビの「Bm-A-G」は超ハードX3で。だが、「オーヴァミー」で戻るタイミングは、わからない。ここで、ちょっとした事故発生。だから、どうした。その後は野となれ山となれ、なのだが、そこまででやりきってるから、意外にスパっと終わるのだ。ジョンの持つ、ナイーブさとの裏返しの過激さを、浅井さんは表現してくれた気がする。

e0093608_16562294.jpg ジャーンと終わって、そのまま次の曲のリフを弾き始める浅井さん。昨年もやった"Day Tripper"ではあるが、今回はテンポがぜんぜん速い。こうなると、かなりパンク色が強くなる。タンバリンを16分で振るのはチトやばい。でも、やっちゃったけど。
 サビのコーラスはすごく難しい。でも、キマルとすごくカッコイイのだ。普通に3度の積みだけど、ファルセットで高い。ポールじゃないとバシっと出てこない。ただ、ウチには押葉くんがいるから大丈夫。
 間奏のギター・ソロの後ろでB7のハーモニーがそのままEのダイアトニックで各自上がっていくのだが、ビートルズもそれぞれ「我が道を行く」感じになっていて、実にあやしいが、今回の我々もかなり混沌としていたかも。昨年はかなり整理整頓されていたが、今年はそんなにお行儀よくはいかなかったよ。


 ここで、バンド・チェンジ。斉藤和義さんが、自身のバンドとともに"Jerous Guy"と"Mind Games"をプレイ。斉藤さんは現在全国ツアー中で、リハのスケジュールが合わず、我々とのセッションはかなわなかった。実に残念だ、私は彼のファンだから。

 再び、鈴木京香さんが登場で、"Imagine"の詞を朗読。


 そして、奥田民生さんを迎えて。

 今年も奥田さんが選んだ曲は時間が短い。昨年の"I'm So Tired"が2分3秒、"Polythene Pam"が1分13秒。で、今年の1曲目の"Glass Onion"は2分18秒だ。

e0093608_17223692.jpg 確かに短いなら、何とかしてライブ・バージョンでも作るかと思うが、なかなかそう簡単にはいかない。
 ちなみにホワイト・アルバムを聴いてみて欲しい。かつては、玉石混淆の失敗作、というような評論があったものだが、実際にはビートルズの多彩さが見事に収められた傑作だと思うし、私の場合、このアルバムのどこから聴き始めても楽しめるし、どこかで聴くのをやめても、それほど申し訳ない(?)気がしない(何?)。
 つまり、「Sgt.Pepper」や「Abbey Road」のようにずっとハイ・テンションじゃなくてもいいということで、実に気楽に聴けて、満足感もあるって感じなのだ。

 で、肝心の"Glass Onion"、かっこいい曲じゃないか。歌詞にある「ウォルラスはボールだった」がとかく話題になったが、それよりも"Strawberry Fields""The Warlus""Lady Madonna""Fool On The Hill""Fixing A Hole"とビートルズの曲名がたくさん出てきて、それだけで楽しい楽しい。要は、ビートルズ研究家達をからかったジョンお得意の「おふざけ」に違いない。

 そして、このベースを聴け、だ。ポールすごいっす。これはホワイト・アルバム全体のベース・サウンドに言えますがね。このベースのかっこよさを楽しむためには音が明解になっているステレオ・バージョンをおすすめする。ただし、ヘッドフォンで聴いておくれ。

 それと、ジョージ・マーティン・アレンジのストリングス。たいした事やってるわけじゃないけど、やけに耳に残る。エンディングでのサスペンス映画風のストリングスも効果満点だ。元々はサウンド・コラージュが入っていたようだ(Anthology 3で聴ける)が、これはボツで正解。

 もう一つ、3コーラス目の歌詞「Fool On The Hill」のくだりで、わざわざリコーダーをダビングしているという細かさ、周到さにもおそれいる。1コーラス目の「Strawberry Fields」コーナーではメロトロン(フルート)をトライした(これもAnthology 3)ようだが、これもボツ。ポルタメントのストリングスの方が断然いい。
 こういうこだわり方をチェックしていくと、なぜ、このアルバムがビートルズ崩壊のきっかけのように言われるのか、わからない。少なくとも、音楽を作ることに関してのジョンとポールの熱意は凄いし、ちゃんと協力しあっている。

 と、ずいぶん長くなったが、つまり、"Glass Onion"はこの長さで十分に言いたい事を言い切っているし、やりたい事やりつくしている、と言いたい。だから、何も足さないでいい。奥田さんのルーズでいながら、ノリを効かせるボーカルはこの手のシニカルな曲にピッタリなのだ。

 ところで、ホワイト・アルバムを一つのメドレーとしてとらえて、アナログ盤の感じで4曲としてライブでやったら面白いだろうなぁ、なんて。おお、いまさらだが、去年やった"I'm So Tired"とつなげてメドレーにしても良かったか?!うーむ。

e0093608_1853689.jpg 2曲目の"Little Child"は1分50秒。さすがにこれはまずいか?

 ということで、エンディング前をブルーズ・コード進行にして、長田くんと奥田さんとで何回か回すことにした。でも、それほど引っ張るつもりはなかった。が、なんと、本番では突然、ステージ袖から「のばせー!」を表すジェスチャーをスタッフが懸命にやっているではないか!
 何事か緊急事態の発生か? とにかく、これは引っ張るしかない。で、奥田さんのギターソロはかなり長くなった。OKの合図が出るまで、やり続けたから、最後はバンド全員大笑いになったけど、奥田さん、お付き合いいただいて本当に感謝しています。ありがとうございました。
 ところで、いったい何が起きたのかは、全く知らない。後がスタッフに聞くつもりが、全てが終わったときにはすっかり忘れてしまっていた。いやはや。

詳細(6)
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by harukko45 | 2010-12-31 00:40 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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