クラブ・サーキット斬り!大阪編3/5(2)
2005年 04月 10日
“Beautiful Me”
のっけのコーラス、さっきより吠えてますけど、気持ちが入ってる証拠でしょう。演奏のスケールはまたさらに大きくなった気がする。いやー、ギターソロたまらんね。どのテイクも違う内容で、どれも捨てがたいってすごいね。ジュンコさんの声が若くなっているように感じます。
“Crystal City”
もうこの曲のツボはつかみましたね。細かいところは1回目の方がいいかもしれないが、ほぼ同レベルの内容で満足いくパフォーマンス。私とゴトウさんのブラス・アンサンブルは完璧だね。オッサンのコーダのリフレインでのフィルが泣ける。
“Simple Love”
一瞬、頭でエレピが途切れるのは、MIDIトラブル。一人でいろいろやるから、この手のトラブルはある程度しかたない。でも、そんなにはわからないでしょ?で、この曲はもう今回最高にノリまくっている。またまた自分で感動。
“残響”
リズム・セクションはかなり良い。オッサンはやっぱりBメロのフレーズがやりにくそう。私は全体にまあまあ。間奏は1回目出来が良くなかったので慎重になった?お、エンディングが割とよく出来たかも。
“The Hotel Marginal”
音楽的には1回目より良いが、独特のリゾートな感じが少し薄らいだかも。微妙だね、ライブって。でも、お楽しみはまた後で!!
“When I Think Of You”
ディックがここで歌うことにだいぶなれてきて、自由な感じが出てきた。それとともに夜も更けて高級ホテルのラウンジのようなムードも。この曲、転調する瞬間がいい。
さて、ここでディック・リーについて少し語りたい。
1989年の‘Mad Chinaman’は今聴いても傑作だ。多少、サウンド面で古さを感じるところがあるが、彼の斬新なアイデアがそれらを凌駕していく。冒頭の“Rasa Sayang”から3曲目の“Mustaph”までなど、多くの日本の音楽関係者が「やられた!まいった!」と思ったはず。私など完全にそのくちだ。このアルバムは彼のオリジナルよりもインドネシアやマレーシア、中国、中近東の有名なトラディショナルを驚くほど大胆なアレンジで蘇らせたのが素晴らしい。彼にかかると、昔の曲でもシンガリッシュによるラップもちゃんとマッチしてしまうのだった。
それに、彼の主張があの時代にピタっときた。彼は自分のことをバナナと呼んでいて、その意味は「外は黄色なのに、中身は真っ白」、つまり外見はアジア人に違いないのに、頭で考えるのは完全に西欧的発想なのだ、と素直に認め、しかしそれこそがシンガポールに生まれた私なのだと主張した。それは、日本人も含め、自分のアイデンティティーを探す多くアジア人たちの共感を呼んだ。特に日本での盛り上がりはすごく、瞬く間に時の人、アジアの代表に祭り上げられた感があった。しかし、彼自身の豊かな才能がそういったある種のアジア・ブーム、ワールド・ミュージック・ブームに押し流されることなく良質な作品を発表し続けたことは高く評価すべきと思う。
私はアルバムでは‘Mad Chinaman’とほぼ同傾向の‘Asia Major’も傑作だと思うが、この中ではアジアのトラディショナルより、彼のオリジナル曲“Still Friends”や“Asia Major”が光っている。その他、香港のサンディ・ラムの‘The Wild Flower’などでの仕事も素晴らしいと思う。
現在はことさら「アジア」を主張することなく、アルバム‘Secret Island’以降の落ち着いたAOR路線のようだが、今回お会いしてそのエネルギーはまだまだ十分に残っている様子。また新たな世界を見せてくれるにちがいないと大いに期待しているよ。
では、ステージに戻ろう!
“Laughter In The Rain”
最初、ちょっとノリきれない感じだったが、どんどん盛り上がっていくね。ほんとにこの曲好きなんだね、ディックさん。では"See you later."
“シルエット・ロマンス”
イントロはさっきの方が良いが、その後のピアノよるテンポ出しは完璧。ただしその後、全体はちょっと落ち着かない感じに。何となく、あっけなく過ぎていくのだった。結局、この曲は大阪では合格点はあげられませんでした。残念!
“Say Love”
最初、ウレしくなりすぎでテンポが早い感じだったが、これはこれでいいノリで進んでいく。かなり完成度が高いね。ただし、私とオッサンのコーラスが聞こえないのはカットされたか?悲しいなぁ。おお、間奏の各自のからみがカッコイイ!ベース最高!
“Safari Night”
前の曲同様、さっきより早いね。でも、ノリノリできちゃえばこれもライブ。やっぱ、男性コーラスいないよ。Muteボタン押したまんまなんじゃない?このギターソロもいいなぁ。後半は怒濤の勢いがワクワクする。
“星を探して”
始まりはちょっと不安げだが、じっくりと進みながら、中盤のギターソロに向けてかなり集中してるのがわかるね。で、オッサンのソロはかなり過激で泣ける。なかなか感動的な仕上がりで満足。
アンコール“The Hotel Marginal (all member's version)”
おお!ディックのイントロ、これまでで最高。だけじゃない、Bメロあたりからシンセが加わって、サビに向けて盛り上がっていく!で、来た!サビからはディックが新たなコーラス・パートを歌う。最高にゴージャス。はっきり言って、このバージョンは素晴らしい。我々バンドの出来がすごくいいし、ところどころにディックのピアノのフィル・インも気が利いててムードを盛り上げてくれた。それをバックにジュンコさんも余裕の歌い回しで言うこと無し。
“You've Got A Friend”
もう、はしゃぎっぱなしのディックさん、かなりおもしろいです。で、ああー出た!「Junko ! Junko ! Junko !」「Dick ! Dick ! Dick!」そして、そうです「TOMODACHI ! TOMODACHI ! TOMODACHI !」。本番ではまだまだ盛り上がったのですが、MDは途中で時間切れ、残念!!でも最高。
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