ブライアン・ウィルソン、スマイル・ツアーを観る(2)

 昨日に引き続きブライアンのコンサートについて。約20分程の休憩後に第2部は“Smile”の全曲演奏、3部構成のトータル約47、8分にもおよぶ大曲だ。一切のMCなしで一気に演奏された。それはそれは大変素晴らしいものだった。全く持って文句のつけようのない、あら探しもする必要もない、充実しきった内容とパフォーマンスに感無量の思いだ。ブライアン・ウィルソンをこれまで精神的に苦しめつづけたと同時に、その反面ファンにとってはずっと答えを探し続けた謎であった“Smile”、今やこの大組曲は彼の最高傑作として堂々と永く語り継がれていくだろう。

 “Pet Sounds”とともに、これこそがブライアンの内面を深く映し出した世界なのだろう。彼には、職業作曲家としてキャッチーなポップチューンをたやすく書いてしまう面と、もう一つとても内省的で芸術的な面があるのだが、その影ともいうべき部分の代表(つまりヘンな曲の集大成)がこの“Smile”であり、それをついに彼は見事に完成させ、レコーディングのみならずライブでも完璧に披露してくれたことに大いなる敬意を表したいと思う。
 
 そして、私はものすごく幸せな気分である。アカペラの“Our Prayer”から“Cabin Essence”が第1楽章、“Wonderful”から“Surf's Up”が第2楽章、“I'm In Great Shape” から“Good Vibration”が第3楽章。各楽章の間に拍手がわき起こったが、我々観客はほぼ50分間、ひたすら音楽のみに集中して聴き入った。こういう体験はクラシック・ミュージックを聴くのに似ているが、ポップスのコンサートではめずらしいことかもしれない。しかし、スタイルの問題ではない。とにかく、良い物は良いのだ。“Good Vibration”が始まると我慢できずに立ち上がった人達もいたが、私はこの時はこのポップミュージック史上最高の名曲をじっくりと聴きたかった。そして、大エンディングを決めて全曲終了した瞬間、私も含め全ての人が立ち上がって拍手をした。それは、ただノリたいのではなく、真に心からの敬意と感動の証であった。

  1部と2部では感動の質が全然違う。この2部の素晴らしい体験は筆舌にしがたいものがある。ひょっとすると伝説になるのかもしれない。正直、1部ではPAのサウンドに不満を感じていた。ある意味PAを通して音楽を鑑賞するのには限界を感じている。そのことをこのブライアンのコンサートでも感じたのだが、結局2部のような圧倒的な内容の音楽であれば、それも些細なことに思えてくるのだった。逆に、これが特別だったからとも言えるのか。
 
 さて、アンコールは大騒ぎのロックンロール・ショウで、“Do It Again”から誰でも知ってる“Help Me Rhonda”“Barbara Ann”“Surfin' USA”“Fun Fun Fun”とくれば大盛り上がりでしょう。そしてダブル・アンコールに“Love & Mercy”でこちらは大満足のフルコース・メニューを堪能させていただいた。
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by harukko45 | 2005-02-02 00:00 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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