安倍なつみ/"Autumn Voice"ツアーの詳細(3)

詳細(2)からの続き

m5.雨上がりの虹のように

 大作メドレーが終わると、ステージ上はある種の開放感が生まれてきます。もちろん、次の曲は久しぶりのシングル・リリース曲で、前曲のライターである岡村孝子さんの書き下ろしですから、大事に扱わなくてはいけません。これは当然なのですが、どんな場合でもニュー・リリース曲に対しては敬意を払って、まずはオリジナルの再現を試みるわけです。

 また、今回は日本のポップス/歌謡曲界の重鎮で数々の名作を作ってきた萩田光雄さんのアレンジですので、ますますそういう気分になりますね。それに、キッチリと譜面に書かれているフレーズが満載で、特にギターは重要な役回りになっていました。
 徳武さんは本来の自分のキャラとは違う感じではありましたが、かなりCDのサウンドを再現するように頑張ってくれました。

 他の3人はどちらかと言えば、しっかりバックを支えるって感じですが、全体的にはCDよりも躍動感のある演奏になったのではないでしょうか。まさにライブならでは、気の合うバンドならではのグルーヴ感が随所に感じられて楽しかったです。

m6.青空

 続けてやった"青空"は個人的には今回のメニューの中で一番気を使ったものでした。この曲は詞・曲ともに実はかなり「古風」な作りで、他の曲とは違った趣きを持っています。「古風」なのは、「古くさい」のではなく、かつての歌謡曲などが持っていた良さがこの曲にはあると言うことです。
 だから、無意味に長い余計な部分がなく、簡潔な作りながら言いたいことをしっかりと言い切っているのでした。

 なっち自身もとてもお気に入りで、思い入れも強い曲なのでした。ですから、テンポやノリなどにもちょっとしたこだわりを感じさせるのでした。

 CDでは全体に打ち込みっぽいニュアンスで、固い仕上がりに思えます。曲自体が良く、広がりを感じさせる内容なので、同じアレンジでも、生でもっとセンシティブにやっていけば絶対に活きると考えました。今回はバンドでやれたので、その思いがほぼ表現できたのではないかと思っていますし、会場からの反応もかなり良かったように感じられました。ひょっとしたら、"雨上がり..."を食っちゃったかも?それはないか。でも、こちらの気分はそのぐらいのレベルだったということです。

m7.鳴り止まないタンバリン〜m8.恋した女の子どすえ

 さて、ここからは大いにはじけて盛り上がろうコーナー。個人的にも"ふるさと""メドレー""青空"と神経を使う曲が終わったので、「こっちも楽しむぞ」的気分になりました。

 "タンバリン"は元々完全なる打ち込みで、打ち込みだからこその良さというものがある曲。なので、リズムに関しては同期ものを使って、ラップ・ロック的な感じにしました。とは言え、やはり生のドラム、ベースの威力というのは絶大で、打ち込みものとの相性さえ合えば、インパクトとダイナミクスに関しては圧倒的に良くなるのでした。
 ドラムの高杉さんは打ち込みのスピード感をちゃんと残しながら、生バンドの大きさや柔軟性を生み出してくれましたし、よりロック的なかっこよさが強調されたと思います。

 それは続く"...どすえ"においても言えるわけです。これはどちらかと言えば、徳武さんのロカビリー・スタイルのギター・テクニックを大々的にフィーチャアしているのですが、強烈にロールするリズム・セクションのかっこ良さも大いに讃えたいです。特に、ツアー終盤になるにつれ、どんどん凄みを増すように燃え上がって、テンポもギンギンに上がって行く感じでしたっけ。
 ロックに関しては年期が違う!さすがオジサン・バンドどすえ。

m9.愛しき人〜m10.微風(そよかぜ)

 本編最後は、言うことなしの代表曲2曲。たぶん、ほとんどのファンも納得の2曲ではないでしょうか。"愛しき人"では会場中を巻き込んでの大合唱のシーンを作り出したかと思えば、一転して"微風"では、じっくりと大作バラードをビシっと歌い切る、なっちのパフォーマーとしての力は本当に素晴らしいです。

 m10のような曲は、ツルさんがいてくれたらとリハでは思った時もありましたが、本番での会場の熱気を感じたら、すっかり燃え上がってしまいました。だから、かなり興奮度の高い"微風"で、「そよかぜ」どころではなかったかもしれません。

En1.大人へのエレベーター

 いやぁ、面白かった。個人的には中村あゆみさんのライブやっている時を思い出した。そうそう、まさにこういう盛り上がりと熱気だよなぁって。

En2.beautiful

 そして、大ラスは夏に引き続き、この曲。ただし、リズム隊が入ったことで、ここでもよりロック色、それも60年代のサイケ色、ビートルズ色が強まりました。個人的にはニンマリです。今回のメンバーはその辺のニュアンスが体にしみ込んでいる連中なので、ほとんどツーカーでコミュニケイションが取れるのでした。
 おかげで、私自身もすごく感動するラストになりましたし、まさに「やり切った」と思えたラストでした。

 ファイナルの最終ステージ、全曲終了後になっちが我々メンバーにハグしてくれたのには驚きましたが、それぐらいお互いにやり尽くした気持ちで一杯だったのでした。そして、楽屋に帰ってからも全く興奮覚めやらぬ彼女も実に印象的でした。
 それは我々バンドも一緒。もう終わっちゃうなんて。

 さて、今回のファイナルはDVDに収録されて発売されるそうですが、確かにそれはそれでうれしいし、楽しみではありますが、やはりあの日あの場で体験したことは、その瞬間でしか味わえないもの。絶対に録音や録画では全ては取り切れてはいないのです。だからこそ、札幌からの7カ所13公演一つ一つが素晴らしい体験、一期一会の感動だったのでした。

 この場から、つねに熱い思いをステージに送り続けてくれたファンのみんなに、再び感謝したいと思います。本当に本当にありがとうございました。なっちとはしばらくお別れですけど、もしまた再会する時があったら、よりいっそう良いステージを目指して頑張ります。その時が来るのを楽しみにしたいと思います。
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by harukko45 | 2010-10-04 17:03 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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