安倍なつみ/"Autumn Voice"ツアーの詳細(2)

詳細(1)からの続き。

m4.メドレー1章(ちょっとずつね〜腕組んで帰りたい)2章(晴れ 雨 のち スキ〜やんなっちゃう〜Memory 青春の光)3章(夢をあきらめないで)
 
 今回のメドレーは「一本の恋愛映画を観ているような感じで聞かせたい」という明解な意図がまずあり、それぞれの曲の歌詞をつないだ時に一つのストーリーを感じさせるような流れを目指しました。
 それと、このストーリーのメインテーマを表現する曲は何かと言えば、"Memory 青春の光"であったので、音楽全体の通奏低音としてこの曲がある、という感覚でとらえることにしました。

 最初の原案では、各章の頭に短いセリフが考えられていたりして、より劇仕立てな方向も見えましたし、規模ももう少し大きかった感じでした。ただ、演出の野沢トオルさんがリハ間際まで超多忙であったため、その具体的な構成に関しては、まずは大枠のような形にしておいて、実際にリハーサルで試しながら修正を加えていくことになりました。
 なので、リハーサル初日から皆で意見を交わしながら、いろいろとトライしていき、それをもう一度私が持ち帰って整理したのが、最終版となったのでした。

 ここで見えてくるストーリーとしては、1章は新たな恋の始まりへの不安と喜び、2章は危うい恋のゆくえ、そして破局、3章は失意の中から希望に向かって、となるのでした。

 各章の冒頭に駅、雨、街のSEを入れて物語の展開を印象づけることになりましたが、これにより演奏する側にとってもイメージをとらえやすくなりました。
 私は「映画音楽風」を強く意識したので、まずはタイトルロールが出ているバックに流れるような感じのイントロダクションを作りました。とは言え、4人編成のバンドでは、おのずと限界もあるので、ほとんどピアノ・ソロ的になりましたが、主人公が抱く繊細に揺らぐ心のイメージをシンプルなフレーズで表せればと思っていました。

 1章の2曲は、まさに恋の始まりと喜びにピッタリでした。"ちょっとずつね"はこのところ毎回登場しているので、イメージはとらえやすいですが、"腕組んで"はオリジナルのエレキ・ギターによるガール・ポップぽいやり方から、逆にアコギをベースにしたより土臭いサザン・ロック風でやってみました。この方が詞もよく聞こえてくるし、あまり「はしゃぎすぎない」感じが出て、この恋のストーリーの流れをこわさないで出来たと思います。
 なっち自身はこの曲が入ることで、イメージが崩れてしまうのを一番心配していたのですが、今回はとてもうまくつなげることに成功しました。

 2章の前は同じピアノのフレーズでも、聞いている人には印象が変わっているように心がけ、"晴れ雨..."への導入がキュンとしてくれればと思いました。
 かなりの佳曲である"晴れ雨..."と"Memory"にはさまれてしまった"やんなっちゃう"は、どうしても曲としてのパワーで負けてしまい、少々不利な立場に追いやられたのですが、音楽的に流れを止めないで、気持ちのいい展開をするためにサビの部分だけ引用することになりました。
 バンドとしても、この辺の流れは演奏のしがいがあるもので、ステージを重ねるごとにどんどん躍動感のある内容になっていきました。特に"Memory"でのファンキーなリズム隊の動きは実にゴキゲンでした。

 私はこの2章はかなり大忙しで、全くもって息が抜けません。でも3曲とも好きだし、外せないフレーズやサウンドは出来るだけカバーしたかったので、大いに頑張りました。

 さて、このストーリーは一応"Memory"で終わるわけですが、ちょうど映画のエンドロールが流れるイメージで"夢をあきらめないで"をやるというグッド・アイデアがあり、あの実に印象的なアカペラによる歌いだしになりました。なっちは絶対音があるので、どんな状況でもビシっと歌い始められるのです。
 ただ、バックに流れるSEの中に入っている靴音やクラクションなどに微妙な音程を感じてしまうので、最初はちょっとやりにくそうでした。私も一度だけピアノで手助けしましたが、逆にスリリングさに欠ける感じがしたので、すぐにやめました。で、ステージ上に流れるSEの音量を下げることで、なっちは本来の調子を取り戻し、ツアー後半では毎回完璧にやりこなしてくれました。このシーンはバンド全員もしびれる部分でした。

 そして、バンドが加わってからの"夢を..."はメドレーの最後を締めくくるにふさわしい形でまとめることができました。演奏の方も、どんどん感動的なフィナーレを作り出せるようになっていき、今回のバンドの力量の高さを示すものだったと思っています。

詳細(3)に続く。
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by harukko45 | 2010-10-04 12:17 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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