安倍なつみ/"Autumn Voice"ツアーの詳細(1)

 昨日終わった、安倍なつみさんの秋ツアーをセットメニューにそって振り返ります。

 その前に、まずは今回のツアーの大きな特徴として、夏ツアー同様に演出家がついたことがあります。俳優・脚本家でもある野沢トオルさんは「秋」という季節感と一つのストーリー性を持った構成を考えてくれました。もちろん、打ち合わせとリハーサルの中で、選ばれた楽曲と流れにところどころ修正が加えられて、自然なライブ感を忘れないような形になっていきました。

 それと、「バンド・メンバーの声も聞いてみよう」という「オータム・ボイス」コーナーは当初は、各ステージ一つのテーマで一人に話を聞く、という「箸休め」的な小さな(?)コーナーだったのが、予想外に拡大。仕舞いには歌まで歌うはめになるとはね。これに関しては、トオルさんの演出というよりも、なっちを始めとする現場での即興的な展開だったのですが、我々メンバーには常に「恐怖」の時間となりました。

 まぁそんな中、徳武さんは「ギターとイカ」という二大キャラを持っているので、ずいぶん楽にしてたなぁ。方や、かなり誠実に話をしていたドラムの高杉さんも、実はマイクを持ったら止まらないタイプでしたね。あのコイズミ的髪型もあって、ファンの人たちが「総理!」って名付けたのはナイスでした。
 ベースの六川さんは比較的無難に乗り切ってた感じ。最初から庶民派の特攻キャラで押切れる彼は度胸も座ってるんだよね。でもって、私は少々支離滅裂な展開でした。正直、後で思い返すとお恥ずかしいかぎりでした、いやはや。

 では、本編。

 オープニングは"恋の花"と決まっていたのですが、メンバーとなっちが登場する時間をとるためにインスト部分を打ち込みで付け加えることになりました。私が作ったものをトオルさんに聞かせたところ、すごく気に入ってくれて、そこになっちのボイスを左右パラレルに挿入するというアイデアになりました。
 よくありがちなシンセ・パッドによる幻想的なイントロダクションみたいなものにはしたくなかったので、今回の出来は私自身も気に入っています。

m1.恋の花

 この曲はグルーヴ感テンポ感が難しい曲です。CDバージョンはテクノ・ポップな感触が良く出ているのですが、なっちにとってはテンポが早すぎるそうです。言葉がちゃんと乗り切らずに歌うのが辛いようでした。とは言え、数年前にやっていたスローバージョンはいかにも苦肉の策的で、いまいち支持も低かったよう。
 やはり、この曲を生かすにはオリジナルの形が望ましい、というのが全員の認識でした。

 というわけで、オリジナルよりは少しテンポを落としましたが、「打ち込み」感覚を残すために、シークエンサーと同期してやってみました。打ち込みリズム部分は生ドラムスとのバランスを考えて、私が新たに作りました。
 イントロなどで出てくる中華風YMO風のシンセ・メロはいかにも打ち込みならではなのですが、やはり生でやらねば演奏家としてはつまらんので、手弾きにしました。

 CDでのパキパキしていながら浮遊しているような感覚は、生になることでかなり薄れてしまいますが、その分ライブならではのダイナミクスの大きさは獲得できたのではないでしょうか。この曲でのオープニングは、比較的「やわらかい」感じもあり、あまりガツガツして会場を煽るわけでもないところが好きです。

m2.あなた色

 これはライブでは定番のアゲ曲と言えるでしょうが、CDのジプシー・キングス風のやり方は少々飽きてきたので、もうちょっとラテン・ロック、ラテン・フュージョン的なアプローチにしてみました。徳武さんがアコギからエレキに持ち替えたこと、「スニーカー」ツアーでの打ち込みパーカッションを同期させたこと、ガット・ギターのじゃかじゃかしたカッティングがなくなったので、その分ピアノやベースで積極的なバッキングが可能になったこと、等が上げられるでしょうか。
 1ハーフになってしまったのは残念でしたが、この頭2曲のつなぎは、これまでの中では一番スマートに決まったオープニングではなかったかと思っています。

m3.ふるさと

 MC後のこの曲、大好きです。つんく氏の傑作曲の一つです、間違いなく。同時に、「娘。」曲というよりも、なっちの代表曲として今後は認識していくべき曲でしょうね。彼女じゃないと、こういうムードになりません。
 私はこの曲が気に入っているので、演奏面でもいろいろ楽しく弾かせてもらっています。ですから、オリジナルに入っている基本的で印象的なフレーズは全てキーボードで再現しているのですが、ここに徳さんのあまりにもシビれるフィル・インがからんでくるので、もうたまらんのです。はっきり言って、これがあるとないとでは全然違います。CDでの若い時期のキュンとした感情から、大人になって少しずつ「酸いも甘いも」知り始めた感情への成長が音になっている部分、これが徳さんのギターの「ヌメヌメ」感なんですね。
 だからといって、なっちが意識して大人風にしないところが、良いのです。あくまで「青い」感じは永遠の若さにもつながる感覚で、この曲の大きな魅力なのです。

詳細(2)へ続く。
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by harukko45 | 2010-10-03 15:23 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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